Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューeastern youth(Rooftop2017年10月号)

生存の実感と尊厳と自由を赤心の歌に託して

2017.10.01

孤軍奮闘して一人ひとり生きる「おれたち」

──「黄昏の駅前には何かある」のなかで、さまよう街や人の波を「大海原」「大草原」と表現されていますが、そんなめまいがするほど雄大な言葉にとてつもない寂寥さを感じますね。喧騒のなかにこそ孤独を感じるというか。

吉野:「茫洋」って感じですよね。「どこでも自由に行っていいよ」って言われても、どうしていいのか、どっちへ行っていいのかわからない。人はいっぱいいるけど誰も知らない人だし、そこで孤独も感じるし、茫洋としてしまう。でもそれが自由ですから。そのなかで生きていくしかないと思ってるんですよ。

──「おとぎの国」に出てくる「おとぎの国」や「白けたお伽話」とは、セミの抜け殻のように生気のない人たちとか、実体のないはりぼてのような世界の比喩なのでしょうか。

吉野:なんて言うんでしょうね。自分自身で掴み取ったものじゃない何かの威光を笠に着て自分の光とする、みたいな。ひとつたとえを挙げるなら、日本万歳番組みたいなのっていっぱいあるじゃないですか。「ここがすごいよ日本人」みたいなさ。「日本人のここがすごい!」ってみんなで言いつのって、さも自分まですごくなったみたいな気持ちになってるけど、それはたまたま日本国籍のその人がすごいんであって、お前とは何の関係もない。お前はひとつもすごくない。そういう共同幻想みたいなものにすがる人が非常に多いと思ってるんですよ。それは国という形態だけじゃなく、宗教とかもそうだし、自分がすがりつきたい仲間内のコミュニティだったり、いわゆるシーンみたいなもんだったりするかもしれないし、そういった集団が俺には白けて見える。すがらないと立っていられないという人間の弱さは肯定したいけど、その威を借りて誰かを攻撃したり抑圧したり、もしくは自分が偉くなった気でいるのはとても白々しい気分になるんです。

──なるほど。そういう話を伺うと、「ソンゲントジユウ」で唄われていることが色彩を変化させながらどの曲にも通底しているのを感じますね。

吉野:そうですね。そんなにたくさん唄いたいことがあるわけじゃないし、いろいろな場面を提供してみなさんの生活に暮らしのアクセントを…っていうアルバムではないので(笑)。それはしょうがないんです。言いたいことはただひとつ、「冗談じゃねぇんだ、生きてるんだぞ!」ってことだけですから。

──アルバムの最後を飾る「おれたち」はいかにもイースタンユースらしい人生讃歌で、今度のツアーのアンセムにもなりそうな堂々たる世界観のある曲ですね。

吉野:「俺たち3人」っていう意味の「おれたち」じゃなくて、孤軍奮闘して一人ひとり生きている人たちのことなんですよ。自分ってなんだ? 自分の人生ってなんだ? って悪戦苦闘しながらそれぞれ生きている人たち、俺も含めた「おれたち」だよな、っていう意味合いです。

──サビの部分の盛り上がりは、クアトロのフロアで大合唱が起こる画が目に浮かびますね。

吉野:いやぁ、そこまで唄わんでしょう。唄ったら「俺が唄うんだからお前は唄うな!」って言いますよ(笑)。

──山下達郎さんみたいに(笑)。でも、コーラスのアレンジは大勢で唄い上げる一体感があって、すごくいいじゃないですか。

吉野:あんなふうにやってみたかったんですよ。ちょっとゴスペルっぽい感じで。せっかく転調もするし、ああやって終わるといいかなと思って。

20170715-DSC_5404.jpg20170715-_DSC2034.jpg──今回、形にするのに手こずった曲は特になかったですか。

吉野:いや、どの曲も手こずりましたよ。1曲1曲、手こずりましたね。

──それは自身のOKラインにぜんぜん届かなかったということですか。

吉野:(ため息まじりに)ぜんぜんダメだこりゃあ…っていう感じだったですよ。いっちばん苦しかったですね。今まででこんなに苦しんだことはなかったです。今までもたいがい苦しんでやってきましたけど、今回はホントに苦しかった。どうなの、これ? どうもピリッとしねぇなぁ…なんでだろう? って感じで、ここをちょっと変えてみようとか。それでもさっぱりダメで、なんだこりゃ…の繰り返しですよ。ちょっと良くなってきたかと思っても、やっぱりどこか納得できなくて。同じ曲を何回も何回も繰り返して、「ダメ、もう1回!」「やっぱりダメ、もう1回!」の連続でしたけど、2人は文句も言わずに付き合ってくれました。

──現場で何度も何度もやり直して七転八倒を繰り返したと。

吉野:そうです。いったい何がおかしいんだろう? と思いながら、「8のところを4にしてみてくれ」とか「そこは違うフレーズにしてみてくれ」とか、納得いくまで何回もやり直しましたね。村岡さんには特に言うことはなかったけど、田森にはガンガン注文を出しました(笑)。やっぱりドラムの叩きかたひとつで曲の印象がかなり決まるし、前からそうなんですよ。田森はそういう役割だから、あきらめて付き合ってくれますけど。

──「おれたち」のドラムから入るイントロや、「おとぎの国」の「どこにある?(なにがある?)」と唄われるブレイクの部分はムーディーで小粋な雰囲気があるじゃないですか。ああいう部分はさりげなくも新機軸なのでは?

吉野:ふだん聴いてる音楽がブラック・ミュージックみたいなのが多いんで、そういうニュアンスを入れたいんでしょうね。ブラック・ミュージックの影響って意外と大きくて、昔から好きなんですよ。ただ、なかなか形にできないだけで。

 

SONGentoJIYU

2017年9月27日(水)発売
定価:2,600円+税
HOS-003
レーベル:裸足の音楽社
販売:PCI MUSIC

【収録曲】
01. ソンゲントジユウ
02. 明けない夜はないのだ
03. ちっぽけだって、なんだっていいから、歌を俺にくれ
04. なんでもない
05. 同調回路
06. 黄昏の駅前には何かある
07. 口笛吹いて駆け抜けろ
08. 旅の空
09. おとぎの国
10. おれたち

LIVE INFOライブ情報

極東最前線 / 巡業2017
おれたちのSONGentoJIYU

10月21日(土)千葉 LOOK
10月28日(土)札幌 cube garden
10月29日(日)弘前 Mag-Net(弘前Mag-Net 20周年記念)
11月4日(土)京都 磔磔
11月11日(土)仙台 CLUB JUNK BOX
11月12日(日)新潟 CLUB RIVERST
11月25日(土)岡山 ペパーランド
11月26日(日)福岡 DRUM Be-1
12月2日(土)名古屋 APOLLO BASE
12月3日(日)大阪 umeda TRAD
12月9日(土)渋谷 TSUTAYA O-EAST

LOFT MUSIC & CULTURE FESTIVAL 2017
11月23日(木)川崎 CLUB CITTA'
*詳細はこちらをご参照ください。

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