2015年に結成されたお笑いコンビ・大自然。まだ短い活動歴ながらも、『M-1グランプリ 2016』準決勝進出、『第37回ABCお笑いグランプリ』準優勝など、賞レースで着実に結果を残し、目の肥えたお笑いファンも彼らに熱い視線を注いでいる。ロフトプラスワンウエストは、そんな2人にインタビューを敢行。ネタからは分からない白井さんと里さんの素顔に迫りました。[interview:松本 尚記/平松 克規(Loft PlusOne West)]
結成から『M-1グランプリ 2016』まで
——お二人はどのような経緯で、大自然を結成されたんでしょうか。
里:お互いピン芸人だった時に、僕から誘いましたね。
——なぜ、白井さんと組もうと思ったんですか。
里:パワーのある人と組みたかったんですよ。それで「一撃でテレビに出たい」っていう謳い文句で誘いました。
白井:でも僕は最初、断ろうと思ってたんですよね……。
——え、そうなんですか。
白井:里をボケの人間やと思ってたんで。でも喋ってるうちに、「俺はツッコミがしたいんだ」って言われて。「あ、ツッコミか」と思って。で、ちょうどコンビ組んだらやりたいネタがあったんですよ。『焼肉屋で肉を溶接して、牛を作る』っていう無茶苦茶なネタなんですけど。試しに「牛を作りたい」って言ったら「俺の勘だけど、6時間かかるけどやってみようか」って返しをされて。それが新しいなと思って、組みました。
——僕が大自然を初めて見たのは、2015年の『オールザッツ漫才』だったんですよ。
白井:まだ結成して半年くらいで、あれが初めてのテレビでしたね。組んで最初に決めたのが、「オールザッツに出よう」ってことだったんで。僕らボケたりツッコんだりしないし、見た目もあれなんで、劇場で若いお客さんがつくって感じじゃないと思ってたんです。だから一撃で先輩に見てもらえるオールザッツが一番良いかなと。
——オールザッツまでは、劇場にはよく出てたけど、まだ先輩には知られてないみたいな感じだったんですか。
白井:いや、オールザッツに出た時もまだ劇場に入れてなくて、下のオーディションばっかり出てました。オールザッツも、土肥ポン太さんとか、ダイアンさんとか、笑い飯さんが審査員の公開舞台オーディションで選んで頂いたんですよ。
——へえー。初めて見た時は、めちゃくちゃ衝撃的でした。
白井:ありがたいですね。(千原)ジュニアさんとか、東京の先輩が結構反応してくれて。
里:トレンディエンジェルの斉藤さんも、ルミネのトークライブに呼んでくれたりとか。僕らまだその時、劇場に入ってないんですよ。
——え! そうなんですか!?
里:劇場入りするまで、オールザッツが終わってから3ヶ月くらいかかりましたから。
白井:なかなか入れてくれなかったですね……。
——(笑)。ある意味公平なんですかね、ちゃんとオーディションで勝ち上がってこいよっていう。
里:にしても厳しすぎますけどね。
白井:東京の方が、早く気付いてくれましたね。ネプチューンさんが、ローラとやってるネタ番組も、劇場入りする前に呼ばれましたし。
——去年の『ABCお笑いグランプリ(以下:ABC)』でも、審査員だったスピードワゴンの小沢さんとアンタッチャブルの柴田さんが、激賞されてましたよね。二人とも東京の方……。
白井:そうですね(笑)。でも大阪の先輩は、もともと知って下さってたんで「良かったなー」みたいな感じで、安心してくれてましたね。
里:『ABC』に出るまで、仕事なかったですからね。ほんとに劇場出番が月5回くらいで。たまに東京のネタ番組の収録みたいな。
——それで去年のM-1では、準決勝まで進んだんですよね。どうでしたか、準決勝は。
里:みんなめちゃくちゃウケてましたね。その中でも、ボコボコウケてた人が、ちゃんと決勝に行った。「何かコイツら、テレビのあれかな」っていうのはなかったですね。
——敗者復活も経験されて、なにか心境に変化はありましたか。
白井:……めちゃくちゃ悔しかったですね。生で、目の前で、決勝1組行かれて。そのあと決勝戦を楽屋で負けたみんなと見てたんですけど、もうイヤっすね、あれは。あとM-1の準決勝で、やっぱりキャラだけじゃなくて、ネタの中のボケも面白くないと勝たれへんなと思いました。
里:今はネタの作り方も、ボケを際立たすって方向になってるんです。だからこっち(白井)に生み出して欲しい。
白井:僕がボケて、里に返してもらうって作り方なんですけど、良いフレーズやけど、ボケに当てはまらんから、そのフレーズに合うボケを作り直して、簡単にしていって、ボケが面白くなくなったりしてたんです。そういうのはあんまりせんようにしようかなと。
里:こっち(白井)が提出したやつに、僕が合わせていかないとキツくなっていくと思うんでね。今はそういう感じですね。
好きな芸人について
——里さん、芸人になるまでお笑いにはそんなに触れてこなかったんですよね。
里:そうですね。大学で芝居をやってたので、その関係で喜劇は観てましたけど。
——お笑いを始めてから「この人、すごいな」と思った方はいますか。
里:もちろん能力が高い人は多いんですけど、僕は矢野・兵動の矢野さんですね。DNAが面白いんですよ。面白いことは決して言うてないんです、あの人。でも生き方とか、まわりに対する態度とかがめちゃくちゃ面白くて、憧れてますね。喋らせてもらった時に「普通のことが分かれへんねん、俺。兵ちゃんのボケが面白かったらええねん、いけんねん」って言ってはって、素敵やなと。ああいう人になりてえなーって。
——それだけ相方を信頼してるってことですもんね。
里:そういうことですよね。
白井:矢野さん、若手を集めてライブをやってたんですけど、若手のアピールタイムでも一人で全部喋って、若手が何かしようと喋ったら話を盗って、自分で喋りますからね。
——(笑)。それ嫌われるんじゃないですか。
白井:もうなんか諦めちゃいますよね。最終的にはみんなでツッコんで。でも矢野さんは、ツッコんでも全然怒らないんですよ。「何してんねん!」「ちょっと黙っとけ!」って言っても、全然笑ってるんで。
——矢野さん最強ですね。白井さんは、どなたが好きだったんですか。
白井:僕も家が厳しくて、お笑いをあんまり観てこなかったんですよね。だから一番観てたのが、ジャルジャルさんとか、天竺鼠さんとか……。
——あ、結構新しい世代の方々なんですね。それくらいの人だと、会う機会も多いんじゃないですか。
白井:会うんですよ。ご飯とかも行くんですけど、めっちゃ緊張して何喋ったらいいかも分からないですね。全然、ダウンタウンさんとかの方がふざけれますね。
——それめちゃくちゃ強みですね(笑)。
里:上すぎるっていうのもありますけどね。
——でも、世代的にそういう人も増えてるんでしょうね。僕らも、笑い飯さんとかでお笑いを好きになった世代ですから。
白井:笑い飯さんもメッチャ好きですね。あの2人はどっちもお笑いが好きすぎて、後輩とか関係なく、みんなでゲームしたり、大喜利したり「おー!」って話を聞いてくれるイメージです。西田さんと4人くらいで焼肉に行った時に、ウィンナーを最初に頼んで、そのウィンナーでボケるみたいなノリを4時間くらいやったんですよ。その時に「芸人や! 笑い飯さんや!」って感動したんです。いろんな方とメシ行った中でも、それが1番楽しかったんで、僕も年をとっても後輩とこういうことやりたいなと思いましたね。