Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビューMAMORU & The DAViES

どこまでも転がり続ける炎のパブロッカー、ワタナベマモルのヘイル!ヘイル!なロックンロール・ムーヴィーは荒野をめざす!

2012.04.05

今は亡きツータンに捧げたマボロシハンターズのトリビュート・アルバム1204md_ap3.jpg

──このDVDと同時期に発売されるのが、『マボトリ』と題されたマボロシハンターズの2枚組トリビュート・アルバムで。この作品もMAGIC TONE RECORDSとROLLER☆KINGからの販売なんですね(発売元はHandsome Tone Records)。

M:僕がお手伝いさせてもらったんですね。マボロシハンターズっていうのは奈良県出身のバンドで、僕が『ニッポンのロックンロール』を作った時にも参加してくれたんです。レコ発ライヴにも彼らを呼んだんですよ。僕は前から知ってたけど、関東の人はよく知らないだろうと思って。そのクラブドクターでやったライヴの数ヶ月後に、ギター&ヴォーカルのツータン(福本強)が亡くなってしまったんです。これからもっと一緒にライヴをやれたらいいなと思っていた矢先に。

──確か、マボロシハンターズはその年(2008年)のリー・ブリロー追悼ライヴにも出演する予定だったんですよね。

M:そう、呼んでたんだけど、ライヴの1週間くらい前に突然ツータンが亡くなって、来れなくなっちゃって。

──マボロシハンターズの音源をMAGIC TONE RECORDSから出したい、マボロシハンターズこそMAGIC TONE RECORDSに最も相応しいグループのひとつだったとマモルさんは当時のブログに書いていましたね。

M:ツータンともCDを出せたらいいねと話していたんです。と言うのも、彼らには凄くいい曲がたくさんあるんだけど、ちゃんと世に出た音源はCDとEPが1枚ずつだけなんですよ。そういうのんびりしたペースのバンドでね。

──マモルさんから見たツータンさんはどんな方だったんですか。

M:「奈良のミック・グリーン」と呼ばれた男で、体がでかくてねぇ。もともと力士だったことを亡くなった後に知ったんですよ。でも、見た目と違ってナイーヴで、曲作りのセンスも凄くあった。

──MAMORU & The DAViESは『かくかくしかじか』という曲をカヴァーしていますが、これはマモルさんのお気に入りということで選ばれたんですか。

M:もちろん好きな曲なんだけど、マボロシハンターズのベースをやっていたタニー(谷藤広明・The Specialty's)から「この曲でお願いします」と言われたんですよ。ツータンが一番最初に書いた曲らしいってことでね。半ば命令で(笑)。タニーはこのトリビュート・アルバムの企画者で、前からこういうアルバムを作りたいねと話してたんですよ。これだけの数のバンドを取りまとめたわけだし、よくやったよね。

──DAViESの『かくかくしかじか』は、カヴァーだと言われなければマモルさんのオリジナル曲だと思う人もいるんじゃないですかね。

M:うん、そうだね。ポップでいい曲ですよ。

──DAViESを筆頭に、THE PRIVATES、片山ブレイカーズ&ザ☆ロケンローパーティ、ザ・サイクロンズ、博多ザ・ブリスコ、YOUNG PARISIAN、ザ・たこさん等々、総勢45組が参加しているのはマボロシハンターズが如何に愛されていたのかを如実に物語っていますが、日本にはまだこんなに面白いパブ・ロック系バンドがいるんだと窺い知れるアルバムにもなっていますよね。日本のパブ・ロック名鑑的アルバムと言うか。

M:東京には少ないけど、京都や大阪には土壌的にそういうバンドが多いんです。マボロシハンターズと知り合って、このトリビュートに参加してる若いバンドと出会うケースが増えましたね。どういうわけか、関西にはパブ・ロック好きな連中が多いんですよ。まぁ、ごく一部のエリアにギュッと凝縮されてるんだろうけど、あまり流行に左右されない土壌っていうことなのかな。

埋もれてしまった名曲をリリースしていきたい1204md_ap4.jpg

──日本のバンドだけではなく、カウント・ビショップスの初代ヴォーカリストだったマイク・スペンサーのカンニバルズが参加しているというのも凄いですよね。何せあのジョニー・ロットンよりも先にセックス・ピストルズに誘われた人ですから。

M:そうなんですよ。いろいろとツテを辿ってね。カンニバルズが4年前に初来日した時に僕もマイク・スペンサーに会ったことがあるんですけど、マボロシハンターズはその時にカンニバルズのサポートをやっていたんです。

──アルバムの最後に『I Want To Hug You』というツータンさんの未発表デモ音源が収録されていますけど、これも胸を締め付けられる憂いを帯びたメロディが素晴らしくて、バンドとして完成させていたら代表曲のひとつになっていただろうなと思いました。

M:とにかく彼は無類の音楽好きで、変わったヤツでしたよ。『ニッポンのロックンロール』のジャケットは参加してくれたバンドマンの合成写真なんだけど、ツータンは何を考えたのか阪神タイガースの帽子とユニフォームを着た写真を送ってきましたからね(笑)。「それでいいのか?」って訊いたら「いいです」って(笑)。

──ツータンさんはマボロシハンターズの新曲をカセット・テープに入れて、いろんな人たちに渡していたそうですね。

M:もったいないよね、売れば良かったのに(笑)。彼はそうやっていろんな人に聴いてもらうのが好きだったみたいだね。あと、郷ひろみの曲をパブ・ロック調にしたのを配ったりもしてたんだけど、それがけっこう格好良かったんですよ。

──このトリビュート・アルバムを聴くと、余計にマボロシハンターズのオリジナルを聴きたくなるんですよね。

M:そうでしょう? 僕もオリジナルを入れろってタニーに言ったんだけどね。半分をオリジナルにすれば良かったんじゃないかな。そうすればカヴァーとオリジナルの違いが分かるからね。

──このトリビュート・アルバムと同じ曲順のベスト・アルバムをMAGIC TONE RECORDSからいつか出して頂きたいですね。

M:うん。奈良や京都だけに埋もれてるのはもったいないしね。だから今回はROLLER☆KINGの力を借りてちゃんと全国流通させたかったんですよ。そうすればマボロシハンターズを知らない人たちにも聴いてもらえるチャンスが増えるし。

──マモルさんは以前から「ヴィジュアルやイメージばかりが先行する近頃のロック界で、どこか埋もれてしまってる名曲をリリースできたらというのが僕の思い」と語っていましたよね。話題性だけならすぐに仮面が剥がれるけど、良い曲は100年経っても色褪せない、と。

M:今も思いは同じですね。マボロシハンターズの音楽はまさにそういう類のもので、埋もれているのが単純にもったいない。そういうバンドはマボロシハンターズ以外にもまだいっぱいいるんです。

──ところで、今年も4月7日が迫ってきましたね。18年にわたって開催され続けているリー・ブリロー追悼ライヴですが、今年は久し振りにシェルターでやって頂けるということで。

M:まぁ、クラブドクターが新宿からなくなっちゃったからね(笑)。リー・ブリローが死んだ年からずっとやってるけど、別に意地でやってるわけじゃないんですよ。シェルターでやってた時期が長いからシェルターのイメージが強いけど、一番最初はロフトだったんです[1994年7月15日。マモルは「SHOT GUN BLUES」として出演]。最初はこんなに続くとは思わなかったけど、要するにやってて楽しいんでしょうね。ドクター・フィールグッド好きな連中が集まってワイワイやるから純粋に楽しい。

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MAMORU & The DAViES
Texas Punk

MAGIC TONE RECORDS MAGI-0008
定価:2,100円(税込)/2012年4月18日(水)発売
*新曲『夢の原子力』のビデオクリップを含む、MAMORU & The DAViES初の映像作品(約50分)。

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【収録内容】
1. 夢の原子力(PV)*未発表新曲
2. 少年ロック(PV)*アルバム『MEXiCO MONK』より
3. 東京出発風景(ワタナベマモル弾き語りライブ at 前橋クールフール)
4. インタビュー1(グレイトリッチーズ結成など)
5. 森へ行こう(PV)*アルバム『MEXiCO MONK』より
6. ロックンロール賛歌(PV)*アルバム『SESSiONS』より
7. インタビュー2(グレイトリッチーズ解散など)
8. 余裕がない(MAMORU & The DAViES LIVE at 新宿クラブドクター)
9. とりあえずメリークリスマス(MAMORU & The DAViES LIVE at 新宿クラブドクター)
10. インタビュー3(MAMORU & The DAViES結成など)
11. 今週週末来週世紀末(PV)*アルバム『ヒットパレード』より
12. インタビュー4(現在に至るまで)
13. ヒコーキもしくは青春時代(PV)*アルバム『ヒコーキもしくは青春時代』より
14. キャデラック2号(PV)*アルバム『Pretty Swing』より
15. インタビュー5(『夢の原子力』についてなど)
16. キャデラック4号(ワタナベマモル弾き語りライブ at 前橋クールフール)

V.A.
マボトリ〜マボロシハンターズ・トリビュート〜

MAGIC TONE RECORDS MAGI-0007【2枚組CD】
定価:2,100円(税込)/2012年4月1日(日)発売
1993年〜2008年、関西パブ・ロック・シーンを駆け抜けたバンド「マボロシハンターズ」。2008年4月、マシンガンのようなギター・スタイル、そして稀代のソングライターでもあったバンドの中心人物「ツータン」が他界。このトリビュート・アルバムはそんな彼(バンド)の遺した名曲の数々をリスペクトしてやまない、豪華45バンドが参加して作られた、全パブ・ロック・ファン必聴&必携の2枚組CDだ! 今もパブ・ロッカーたちに脈々と受け継がれるスピリットが決してマボロシでないことを体験せよ!

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LIVE INFOライブ情報

リー・ブリロー追悼ライブ
2012年4月7日(土)下北沢SHELTER

OPEN 18:30/START 19:00
料金:前売 2,200円/当日 2,500円(共にDRINK代別)
出演:MAMORU & The DAViES/THE 3CHORDS/ミステルズ/ココロー&ヘルニアンズ/DJ:KAWATO
問い合わせ:下北沢SHELTER 03-3466-7430

マボトリ発売記念ライブ ウーララ編
2012年4月8日(日)京都西院 ウーララ

OPEN 18:30/START 19:00
料金:前売 1,500円/当日 1,800円(共にDRINK代別)
出演:MAMORU & The DAViES/ベルバット/タカダスマイル/三文からす
*オカモトマサヒコ欠席のため、タニー(The Specialty's)がベースを弾きます。
問い合わせ:ウーララ 075-925-8121

DVD発売記念“夢の原子力ツアー”
*無記名はワタナベマモル弾き語りライブ
4月1日(日)仙台 サテンドール2000
4月2日(月)郡山 #9
4月14日(土)上越 メモリー
4月15日(日)新潟 WOODY
4月21日(土)大阪 ムジカジャポニカ
4月22日(日)京都 ウェラーズクラブ
4月23日(月)岐阜 高橋商店
4月24日(火)今池 ハックフィン
5月2日(水)新宿 レッドクロス【MAMORU & The DAViES】
5月3日(木・祝)本八幡 サードステージ【MAMORU & The DAViES】
5月20日(日)新宿 LOFT
5月26日(土)北千住 カブ
6月2日(土)前橋 クールフール【MAMORU & The DAViES】
6月3日(日)静岡 サナッシュ【MAMORU & The DAViES】
6月9日(土)いわき バロウズ
6月10日(日)福島 マッチボックス
6月22日(金)美瑛町 HERMIT
6月23日(土)稚内 BB
6月24日(日)北見 夕焼けまつり
6月25日(月)静内 カバチ
6月26日(火)恵庭 モジョハンド
6月28日(木)南小樽 キッチンぐるぐる
6月29日(金)苫小牧 JAM
6月30日(土)札幌 フライアーパーク
7月1日(日)函館 オウンゴール
7月8日(日)伊那 グラムハウス
7月13日(金)神戸 チューリップハット
7月14日(土)宮津 ホワイトルーム
7月15日(日)島根県大田市 カフェギャラリーポー
7月16日(月・祝)仙台 エン【MAMORU & The DAViES】
7月20日(金)名古屋 ハックフィン【MAMORU & The DAViES】
7月21日(土)大阪 ハウリンバー【MAMORU & The DAViES】
7月22日(日)福岡 エキマエ音舗【MAMORU & The DAViES】
7月28日(土)小田原 鴨宮姿麗人【MAMORU & The DAViES】
8月11日(土)久留米 サンライズカフェ
8月12日(日)宇部 ZAN☆CRO BLUES
8月18日(土)伊勢 バンブーバー
……その他、続々決定中!

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