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トップレビューTracey Thorn「遠い渚 a distant shore」

Tracey Thorn「遠い渚 a distant shore」

2018.01.05   MUSIC | CD

Cherry Red 2,700yen(tax in)

 タワレコが英チェリーレッドと提携し同レーベルの再発を始めた。その第一弾として1982年のネオアコの名盤、トレイシー・ソーンの「遠い渚」がベン・ワット「ノース・マリン・ドライブ」、エブリシング・バット・ザ・ガール「エデン」と共に最新リマスターで発売された。レコード時代から何度も買ったアルバムだが、そのぐらい私にとっては大切な一枚だ。まだ大学生だったトレイシー・ソーンがたった一人で吹き込んだ23分ほどのレコードは、80年代初頭というポストパンクの時代を象徴するものだ。ベルベット・アンダーグラウンド「宿命の女」のカバーを含む全8曲はどの曲も印象的だが、特に1曲目「スモール・タウン・ガール」の切実さは何回聴いても鮮烈だ。「こんな小さな町の女の子には手に負えることじゃないの。私はただ立ち尽くすだけ。今、自分がどこにいるのかわからない」と歌うトレイシーの戸惑いと彼女なりの戦いをしていこうという決意は、10代の頃の自分をどれほど勇気付けたことだろう。(加藤梅造)

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