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SION /からっぽのZEROから

2010.09.14   MUSIC | CD

TECI-224 1,000yen (tax in) / 9.22 IN STORES

プライヴェート・アルバム『Naked Tracks 3〜今日が昨日の繰り返しでも〜』、ファン投票で選ばれた上位10曲を盟友・松田文と新たなに録り直した『I GET REQUESTS』と怒濤のリリース・ラッシュに沸くSIONだが、デビューから四半世紀を迎える今年はまだまだけっぱり続ける。古巣であるBAIDISレーベルからの発表となる本作『からっぽのZEROから』は、“SIONと福山雅治”名義で発表した『たまには自分を褒めてやろう』以来5年振りにGoofy moriをプロデューサーに迎えたデビュー25周年記念マキシシングル。カップリングの『そしてあ・り・が・と・う』と共にアレンジを富田素弘(藤井フミヤの『Another Orion』や福山雅治の『桜坂』の編曲家として知られる)が手掛けているが、2曲とも打ち込みを基調としたデジタル・サウンドという異色の仕上がりなのが特筆すべき点である。SIONに打ち込みだなんて、まるで鰻と梅干しみたいな食べ合わせの悪さじゃないかと感じる人もいるだろうが、ところがドッコイ、これがなかなか滋味に富んで味わい深いのだ。社会の中で苦境を強いられている同世代に向けたと思しき『からっぽのZEROから』での滾るようなメッセージは無機質なサウンドだからこそ余計際立って伝わるし、“積み重ねぶち壊し今の俺をさがす”と唄われる一節には武骨な男の身の来し方が滲み出ていて、何度聴いても胸に沁みる。来月発表されるオリジナル・アルバムと野音が俄然楽しみになってきた。(Rooftop編集局長:椎名宗之)
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