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ビートたけし「アナログ」

新潮社
1,296yen(tax in)

 スマホやメールなど敢えて使わず「会えたら会いましょう、ダメなら時の運」…。ヒロイン像はザ昭和。青年らの下世話な熱さも著者の「人間関係、こうあれかし」が詰まり題名通りのアナログ感、「こんな男も女も30代にいないよ!」という指摘は無意味でファンタジーとして読むとなかなか興味深い。
 芥川賞を獲った又吉直樹を意識したと思わせる即興コント風の下世話なやり取りは『火花』より平易。和洋の古典芸能など教養的な部分も濃い。家庭不全感と「偉大な母」の影が全ての人物に色濃く、たけし実母さきさんの影響の大きさが明らかだが、介護、患者の生き方の尊厳など現代性も孕む。
 面白く読んだが複数人物の会話が続きすぎキャラ分けが判じ難い部分(映画脚本癖だろうか?)は編集が指摘し整理できたのでは…と惜しく感じる。ともあれ、『アウトレイジ最終章』も含め、自身の「老い」について向き合い始めたたけしの新境地が覗ける本だ。(尾崎未央)