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私家版 精神医学事典 / 春日武彦

河出書房新社
3,024yen(tax in)

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 平山夢明や萩原朔美と親交深くアングラ文化に精通する異色の精神科医、最高の事典! 項目は例えばリスカ、残遺状態、町山智浩、高所平気症、電波系、東郷青児、大陰唇…五十音でなく「連想」で繋がる。一応索引あるが春日先生の脳を覗き見るには順番読みがいい。前作『鬱屈精神科医、お払いにすがる』で亡母との相剋書き留め、新境地に達した。
 しゃらくさい言い換えせずアウトサイダーアートについて論じエセ医学を断じ、カルチャー愛しつつもどこか醒め。公刊心配なほど不謹慎な言辞もあり痛快。自分の欲情ポイントとかもさらり出てきてびっくり。ともあれ文化、言葉への愛溢れ、理(科系)に勝ちすぎる医師には厳しい。一方シニカルなようで弱い/不運な立場の病者には同情深い。天才児から発狂し転落した作家・島田清次郎に関心深かったり、精神疾患で画家の絵が変わったと伝わる「ウェインの猫」は並び順がネットで知られるのと違うなども驚く。(尾崎未央)