子どもの頃から自然と慣れ親しんだ洋食はいつまでもごちそうであり、ワクワクの宝庫だ。お子様ランチで味を覚え、青年になると食欲に身を任せカツカレー大盛りや、ジャンボチキンカツ定食をもりもりと食べはじめる。大人になったらワインやビール片手にビフテキを頬張る。ハムエッグやポテトサラダも捨てがたい。ワンディッシュでごちそう感があるオムライスなどは、男女共に得意な一品で、玉子がふわりとろり系が好きか、やや硬めが好きか好みが分かれ、ふわとろ系はナイフを入れるとトロトロの玉子がケチャップライスと絡み、「ごちそう感」を演出するパフォーマンスとなる。想像するだけで涎が止まらない。本書は、洋食の発展史から定番メニューの研究と考察、さらに著者が食べ歩いた全国の洋食屋約100店の紹介まで。本書を参考に店を巡れば、相当数の名店を網羅できる。しかし、深夜に読むのはあまりオススメしない。（Asagaya/Loft A：山崎尚哉）