トップ > インタビュー > zArAme(Rooftop2018年7月号)

zArAme(Rooftop2018年7月号)

 札幌を拠点に活動を続けるzArAmeが待望の1stフルレングス・アルバム『 1 』を自身のレーベル《DISRUFF》より発表する。結成から約4年を経て満を持して世に放たれる本作は、ハードコア・パンクやディスコーダント・ハードコアの要素をベースにシャープでソリッドなキレがさらに研ぎ澄まされつつ、ミドルエイジならではの濃密なコクや深みが格段に増した出色のアンサンブルを堪能できる傑作だ。屋台骨を支えるベーシストの交替劇をプラスに転じてバンドが進化と深化を遂げたのを実感する上に、従来の殻を打ち破るような広がりのある表現に果敢に挑むことで新境地を開いたのをまざまざと見せつけている。ポップであることを恐れずに"ANTIMATTER"であることを証明してみせた意味でも、この『 1 』はzArAmeにとって記念碑的作品と言えるのではないか。バンドを代表してタケバヤシゲンドウ(guitar, vox)に話を聞いた。(interview:椎名宗之)

情景が勝手に脳内再生されるような作品を

──ベースのオオノさんが正式加入して半年、バンドのコンディションはいかがですか。

G:確実に良い方向に向いたと思います。やっとメンバーの足並みが揃ったかと。

──オオノさん加入の前と後ではバンド内でどんな変化が生まれましたか。

G:イイ歳こいて言うのも恥ずかしい限りですが、自分とzArAmeのなかのパンクの部分を取り戻せたような気がします。ポール・シムノンと一緒にやっているようなドキドキ感があります。

──このタイミングでフルレングスのアルバムを初めてリリースする計画は当初の予定通りだったのでしょうか。EPを3枚出した後にファースト・アルバムを出すという、徐々に段階を踏んでいく考えはありましたか。

G:まぁ、FUGAZIに倣ってのアレですが(笑)。本当は2017年末には出す予定だったんだけど、曲作りの最中にメンバーの交代劇もあり。なるようにしかならないもんだなというのを痛感しました。

──新体制のzArAmeとしてはライブを一度しかやっていないにも関わらずフルアルバムを録るという暴挙に出たわけですが、今の勢いをパッケージしておきたかったという意図もあったのでしょうか。

G:暴挙というか、それくらいの気概じゃないと。中年バンドなんて限られた時間を、集中力を高めて使わないとただダラダラと活動してしまうだけなので…メンバーみなイイ歳なんで技術的にはとっくに打ち止めだろうけど、経験値だけは稼いでるはずなのでやればできるでしょう! と。

──今回のアルバムを制作するにあたり、ざっくりと考えていた指針、テーマとはどんなものでしたか。

G:映画的な。曲ごとにシーンが切り替わるような。聴いてくれたその人なりの情景が勝手に脳内再生されるようなアルバムにしたかったです。単体での名曲を作るより、全編を通して聴いてトータルで1曲みたいな。飛ばし聴き不可みたいな。

──ラフミックスを組み始めた段階で「鳥肌がおさまらない」ほどの手応えがあったそうですが、早い段階から良い作品ができる予感はしていましたか。

G:レコーディング以前の曲作りの時点ですでに感じてました。あとはどれだけ演奏力がついてこれるかという(笑)。

──再録されているとはいえ、3rd EP『COLD』の収録曲(「coldwaver」、「searchlight」、「isolation」)をまるっと入れ直したのはどんな理由からですか。

G:アルバムを作ることになった時点で再録は決めてました。明らかにU(オオノ)の個性によって曲が覚醒しているので、全然別の曲に仕上がったと思います。

──たとえば1st EP『LAST ORDER』収録の「ラストオーダーはディスオーダー」や2nd EP『AMNESIA』収録の「butterfly effected」、SOSITEとのスプリット7インチ収録の「No Fear」といった人気曲を再録して、より“ファースト感”を強める考えはありませんでしたか。

G:前述の「FUGAZIに倣って」の部分なので。編集盤『11』=『13 songs』です。

 

『 1 』はzArAmeなりの『Repeater』

──なるほど、『 1 』=『Repeater』なわけですね。今回はとにかくキラー・チューンのオンパレードで、1曲目の「lowpride」から安定と信頼のzArAme印サウンドが聴けて思わず小躍りしてしまいます。カオティックで疾走感溢れる「スラッジ」、コーラスワークも光るメロディアスなミディアム・チューン「アネモネ」、気怠い雰囲気から羽ばたくように広がりのあるサビへの連なりがクセになる「unequalizer」など、どれも聴き応えのある曲ばかりですが、ストックはどれくらい用意を?

G:ボツになってるのは2、3曲だと思います。ある程度曲順を考えながら曲を作っていったので、ほぼ全部出し切りました。

──スネアにスネアを重ねたり、録音したベースの音をリアンプしたり、ボードのディレイを増やすか否かを熟考したりと、細部にわたって深いこだわりを貫いたレコーディングだったと思いますが、音の録りにおいて重きを置いたのはどんな部分ですか。音に対する感触や熱量、その場の空気をいかに封じ込めるか、とか?

G:思いついたことは全部やってみようと。意味がないような音でも全部録っておこうと。結果的に無駄になった音はひとつもありませんでした。

──これまで発表してきたEPの反省点を今回活かせた部分があるとすれば、どんなところでしょうか。

G:時間に追われることなく納得のいくテイクが録れるまでやり直す。今までのレコーディングは日程や予算の関係でかなりタイトめな状況でやってましたが、今回は少しだけ余裕を持たせました。

──本作はとにかくギターの音色と残響音が全体的に素晴らしくて、かなり理想的な音が録れたのではないかと思います。ゲンドウさんは「シングルコイルとフローティングの音が欲しくてストラトを試した」とおっしゃっていましたが、その後、ジャズマスターが実にいい仕事をしたとか。ストラトとジャズマスターの端的な違い、また両者の特性がよく出たのはどの曲なんでしょうか。

G:「アネモネ」、「unequalizer」、「転生」ではジャズマスターを、「liquiddream」ではストラトを使いました。いわゆるジャズマスの音に作品が引っ張られてしまうのを懸念してストラトを持っていったんだけど、結果的にほぼジャズマスターを抱えてました(笑)。呪いですね、ジャズマスターの。あと他の曲でも部分的にジャズマスターを使っているので、よく聴いて探してみてください。

──歌入れは今回も難儀だったのでしょうか。渇ききった声で突き放すように唄うボーカルがクールで、とても良く録れてあると思うのですが。

G:嫌いですね、歌入れは(笑)。声がイイとか好きだって言ってもらうのは嬉しいですけど、正直内心ではそうでもないだろと思ってます。子どもの頃から憧れてる大江慎也さんや山口洋さんにはほど遠いので。

 

1st full length album
『 1 』

2018年6月27日(水)発売
DISRUFF DFF-6
定価:2,300円+税

amazonで購入