ちゃらんぽらん・冨好と、矢野・兵動の矢野が、好きな曲を存分に歌い、好きなことを存分に語らうイベント『冨好・矢野の「ふたりのビッグショー」』。
大阪・ロフトプラスワンウエストのスケジュールの中でも、一際強い"なにわ感"を放つこのディナーショーが、クリスマス直前の12/20(水)に帰って来る!
今回はイベント開催を前に、出演者の1人「パイセン」こと矢野・兵動の矢野にインタビューを敢行。イベントのことや、共演者のちゃらんぽらん・冨好について伺いました。(interview:平松 克規[Loft PlusOne West])
〈マジ〉と〈お調子者〉の2人よるディナーショー
——今年の6月に『冨好・矢野の「ふたりのビッグショー」』を開催されましたが、イベントをやってみていかがでしたか?
矢野:トークでちゃんと笑かす〈芸人の部分〉と、歌をしっかり聴かせる〈芸人やない部分〉のどっちも見せられたイベントやと思いました。1つのモデルケースになっても良いんじゃないかってくらい面白かったですね。出てるボクらもみんな楽しくて、司会の(浅越)ゴエちゃんも「またあるんですね」って笑ってくれました。
——みなさん気に入ってるんですね。矢野さんから見て、このイベントの魅力はどこでしょうか?
矢野:「ふざけない」ところですね。イベントでは、オリジナル曲じゃなくて他の人の曲をマジで歌ってます。元の曲があるので、どんだけその曲を自分のものにしたかっていうアレンジ力がハッキリ分かるんです。「この人、この曲こんな風に歌うんかぁ」って発見もあるし、それが原曲と全然ちゃうくてもそれはそれで面白いしね。
——矢野さんは、「ふたりのビッグショー」以外でも歌われてるんですか?
矢野:主宰してる劇団PUNKでも歌ってるし、他のイベントでもちょいちょい歌ってますよ。クレイジーケンバンドの『タイガー & ドラゴン』が十八番なんですけど、一説には年間『タイガー & ドラゴン』歌う回数、横山 剣さんを抜いてます。
——本家よりも(笑)。でもやっぱりマジで歌うのって面白いですよね。
矢野:そう。歌う時って、ふざけたらあきません。水谷 千重子(友近)や倉 たけし(ロバート・秋山)が面白いのも、ちゃんと歌ってるからでしょ? 歌い切った後に、「何やねん普通に歌いやがって、そんで上手いんかい!」っていうのが、1周回って最大のボケやったりするんですよね。ただ一緒に出てる冨好 真という男ときたら……。
——? 冨好さんがどうかしたんですか?
矢野:あの人はね、ちょけてモノマネしたりするんです。
——めちゃくちゃふざけてるじゃないですか(笑)。
矢野:そんなボケするから、曲の1番しか保たないんですよ。ワンコーラスで曲を止めたりもしますし。
——矢野さんと全然方向性が違いますね……。
矢野:そうなんです。やっぱりディナーショーなんで、ボクは歌とトークをひっくるめて酒の肴にして欲しいのに……。
——そういう話し合いはしないんですか? 「ふざけないでおこうよ」みたいな。
矢野:言うてますよ、散々。前回のイベント中にも言いましたし。「最後まで歌いなはれ」って言っても、「ええやん、ええやん」って。それで「矢野くん、あれやなー」って、歌と全然関係ないトークをし出すんです。
——自由(笑)。
矢野:あれは究極の照れ屋か、糞どアホのどちらかです。でも舞台上で見せるそんな関係性が、普段のままですね。だから片っぽふざけてるのも含めて、『ふたりのビッグショー』なのかもしれませんね。
ちゃらんぽらん・冨好という男
——そんな冨好さんとは、いつ頃から親交があるんですか?
矢野:冨好さんとは、ボクが若手の頃から約20年間の親交があります。昔はよくナンパの出汁に使われたりしました。
——ナンパの出汁?
矢野:ボクが若手の時に、若手ブームみたいのがあったんですよ。一緒に須磨の海岸に行って、冨好さんがボクに「どうなん最近、2丁目(劇場)はお客さん入ってんの?」みたいな業界話をわざと大声でするんです。ボクは兄さんが言うてるから、答えるしかない。そんなことしてたら、まわりの人はボクらのこと見ますよね。それで「あれ矢野さんじゃない?」って、ボクの顔を指すのを待ってるんです。そうすると、女の子に「矢野くん、エラい人気やん、誰と仲良かったんやっけ? ホンマかいな。へー」って。ホント地引き網みたいな。
——それ女性の方は、冨好さんのこと気付いてるんですか?
矢野:冨好さんは気付かれてないです。
——(笑)。それ冨好さんイヤじゃないんですか?
矢野:イヤじゃないよ。出汁に使ってるだけやからね。
——らしいエピソードですね(笑)。
矢野:あと、冨好兄さんが『上方漫才大賞』を獲った時に、「オレ、『漫才大賞』獲ったから、みんなに振る舞わなアカン思てんねん。矢野くん、サシで行かへんか?」って言ってくれて。「エエとこあるやん!」って思ってたら、連れてかれた場所に社長みたいなんがおってね。2人でその社長に奢ってもらいました。
——全然振る舞ってくれてないじゃないですか(笑)。
矢野:そう。「オレはトミ兄とサシで吞みたかったのに、何で社長に礼言わなあきまへんの」って言うたら、「かめへんがな、得やがな。祝ってもらってナンボや」って。
——冨好さんと真面目な話をしたりするんですか?
矢野:しませんね。大概下ネタとか、嫁に浮気がバレたとか、そんな話ばっかりしてます。
——ハハハッ。
矢野:でもね、そこが好きなんですよ。トミ兄ってもう56,7歳なんですけど、若手以上に落ち着きがない。そこが可愛らしくて、面白いんですよ。ただ……。
——ただ?
矢野:冨好さん、「ふたりのビッグショー」に全然お客さんを呼んでくれないんです。前回来てくれたんも、ボクのお客さんばっかりやったし……。せやのに、夢はでっかく語るんですよ。「このイベント、NGKでしたいな!」とか。「いや、アンタ手売りする自信あるか?」と、このイベント。プラスワンウエストでもやらしてもうてんねやでって。だからね、ホンマ変わった兄さんですよ。
12月20日(水)は「ふたりのビッグショー」へ!
——冨好さんの話は尽きませんね(笑)。12月20日(水)に開催される2回目の『ふたりのビッグショー』は、どんなものになりそうですか?
矢野:前回のお客様から、「2人のコラボ曲をもっと聴きたい」って要望があったんで、今回はデュエット曲を中心にしようかと思ってます。あとボク個人としては、女性ボーカルの曲を歌いたいですね。
——デュエットだと、練習しないとダメですね。
矢野:練習なんてほぼしてないです。というか、できないんです。トミ兄、打ち合わせしてくれませんもん。「あー、大丈夫、大丈夫。矢野くんと2人やったら大丈夫やー」って。
——(笑)。今もずっと冨好さんと遊んでるんですか?
矢野:最近はもう遊んでないですね。だからこういうイベントでガッツリ喋るっていうのは、懐かしくて嬉しいですね。
——イベントで冨好さんに訊きたいことはありますか?
矢野:そうですね……。トミ兄に「あの仕事どうでした?」って訊いたら、全然ウケてなくても「爆笑やった」「最高やってん」って説明するんですよ。それは気になってますね。いつ爆笑とったんや! いつ最高やってん!って。
——ぜひイベントで真相に迫って下さい(笑)。それでは読者に一言メッセージをお願いします。
矢野:他の場所で1時間、2時間過ごすなら、このイベントに来て欲しいですね。絶対に損はさせません。非日常・異空間、必ず普段味わえない気持ちになって帰ってもらいます。満足していただけると思うので、ぜひ来て下さい!