明るさって必ずどこかから出てくる
──あとこの映画は松村さんの周りに集まる人達の群像的な映画にもなっているのが特長的ですよね。佐藤さんが久しぶりに友達と集まってお茶を飲んだり演奏したりする所にすごく大事なメッセージを感じました。
鵜戸:あの撮影はジルが提案したんですが、ああいうふうに女の人同士でお茶を飲みながら自分たちの近況を語ることで、自然に彼女達の生き方が浮き上がる。胸のつかえが取れるような感じがあっていいですよね。それまでの男性的な世界から女性的な世界に流れていくのが結果的に成功していると思います。
──原発事故という絶望の中で生きる松村さんの生き方は、テロで愛する人を失いながらも生きていく鵜戸さんの姿にも重なりますね。
鵜戸:私もまさかこんな展開になるとは思わなかった。自分がテロという災害にあった人間としてより福島の災害に寄り添う気持ちが強くなりましたが、自信を持って生きていれば絶対次があるから生きていけるし、また違う道が開けてくる。世の中には自分の力だけではコントロールできないことがいっぱいあって、この先もテロとか原発事故とか戦争とか、考えると不安になることもあるんですが、でも何があっても生きていこうと。明るさって必ずどこかから出てくる。自分がそういう立場になって、悪い事ばかりでもないし、私自身も自分の中の強さを再認識した所もあります。ジルがいなくなった寂しさは消えないけど、それを埋めるようなことも起こるんです。この映画を通していろんな人と関わっている中で、そういうメッセージにもなればいいなと思います。それは、私の個人レベルの話ではなく、ジル本人もすごく喜んでいるんじゃないかと思います。