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直井卓俊(Rooftop2017年1月号)

 数々の名作、監督、ミュージシャンを輩出していることで知られるMOOSIC LAB(ムージック・ラボ)が来年も開催される。12月19日、2017年度のコンペティション部門に出品された監督や作品が発表された。さらに、ショートフィルム部門の新設が決定。公式サイトでは2月24日まで企画案を募集している。それを受け、1月23日にロフトプラスワンで各組の現状報告会と監督討論会の開催が決定! 2011年に始まったこのプロジェクトも6年目に突入。MOOSIC LAB 2017について主催のSPOTTED代表・直井さんにお話を伺った。[interview:日野弘美(NAKED LOFT)]

まんだらけから、UPLINK

 

―直井さんが最初に出会った映画はどの作品ですか?

 

直井:映画館が遠かったのでなかなか行けず、初めて友達と観たのはテアトル宇都宮での『孔雀王』かな(笑)。あとは、録画した『ぼくらの七日間戦争』は擦り切れるほど観てましたね。その後は、図書館とレンタルビデオ屋で借りまくってました。『俺たちに明日はない』を観たときは、ラストに吃驚して眠れなくなったことを覚えています。

 

―人生を変えた映画はありますか?

 

直井:松田優作好きの先輩経由でたまたま出会った森田芳光監督の『家族ゲーム』と、当時、異常な品揃えで有名だったTSUTAYA新宿店で出会った神代辰巳監督の『恋人たちは濡れた』ですかね。そのころ、ATGとかロマンポルノを観まくっていて。低予算を逆手に取った創意工夫が発見に満ち満ちていて。ほとんどVHSでしたけど、映画を観るのが一番楽しい時期だったかもしれません。

 

―その影響で、映画系のお仕事に就職しようと思ったのですか?

 

直井:最初はまんだらけに就職したんだけど、つらすぎてすぐバイトに格下げしてもらって。それで、形だけでも再就職をしないと実家に連れ戻される事態になって、たまたま求人していたのと、漫画も映画も演劇も音楽も、ごった煮でいろいろやってそうで興味があったのでUPLINKを受けました。本当は、面接では次点で落とされたんですよ。でも合格した人が1日で辞めたので繰り上げ昇格しまして、そこから4年半いました(笑) 。

 

―その後、独立して「SPOTTED PRODUCTIONS」を立ち上げようと思ったキッカケは何でしょうか?

 

直井:UPLINKではDVDの営業が主な仕事だったんですが、なにせ人がどんどん辞めて行くから、徐々に制作とか宣伝もやらなきゃいけなくなって。DVDの仕事は1ヶ月単位なんです。リリース作品を探して売って、また企画して…という流れ作業になってしまい、1作品ごとに丁寧に関われなくて。でも、企画・製作・配給の流れをきちんと知りたいと思ったんですよね。それで思い切って辞めて。法人にしたのは仕事を振ってくれる先輩たちから「やりにくいから法人化しろ」って言われて、渋々でしたけど(笑)。

 

―会社の経営って難しくないですか?

 

直井:うーん…好きなことだけではやっていけないから、収入とのバランスが大変ですね。僕みたいな小さい規模のものをやっていると、平行して複数の作品をやらないとまわせないし、発注される仕事もローコストのものが多いですし、人も雇いづらい。とにかく常時、手と頭が足りないのは困りものなんですよね。

 

 

面白い監督たちを1人1人推してる時間がない焦りから生まれた企画!

 

―MOOSIC LABを主催しようと思った経緯を教えてください。

 

直井:2011年に入江悠監督の『劇場版 神聖かまってちゃん』を作っている時、プロトタイプの映画祭をやったんですが、震災が来て。その頃に出会った面白い監督たちを1人1人推している時間がないって焦って、いっぺんに打ち出してみるか! と始めました。あと、ピンク映画の3本立てとか、ライブハウスの対バン形式みたいに事故的に知らない監督・俳優・アーティストと出会うのが楽しかったのでそれを持ち込みました、とにかく、この先どうなるかわかんないし「みんなでお祭りやろうぜ!」的な感じだったかと思います。

 

―MOOSIC LABを開催して手応えはありましたか?

 

直井:これはね、かなりあったんですよね。まず才能との出会いとか化学反応はもちろんなんですが、ここをきっかけに自分の色を発見してくれた人たちもいて。実際にここを媒介にして、いろんなところから声がかかって、1つ上のステージへ輩出していく意義なんかも出てきました。「百円の恋」のクリープハイプ、「14の夜」のキュウソネコカミの主題歌のブッキングやらせてもらった時も、ここで培ったものがあったからこそ、自信を持って推薦できたりして。

 

―MOOSIC LAB2012年〜2016年までで、方向性は変わりましたか?

 

直井:変わったと思います。やはり参加監督やアーティストが飛躍したり、実績が出てきたせいか、参加してくる人がみんな本気過ぎるかなと思う時があります。ここで一気にブレイクしてやるぜ! という気持ちは嬉しいのですが、クラウドファンディングでお金も集めたり、このままいくと謎のセミプロ映画祭になってしまう危機感を感じていました。

 

―2016年を観た方が「ムーラボの分岐点になった」とおっしゃってましたが、直井さん的にはいかがでしょう?

 

直井:あ、ほんとですか? でも実際そうですね。制作費25万の『マグネチック』がグランプリを取って、クラウドファンディングで300万集めた『神宿スワン』が無冠だったことは象徴的だと思います。

 

―単館上映への野望を持った監督が多くなったとお聞きしましたが、やはりショートムービーは日の目を見ることが難しいのでしょうか?

 

直井:そうですね。映画祭以外での出口はなかなか難しいと思いますし、なにせ長編と混合で戦うとなると、グランプリ争いでやはり不利なんですよね。審査員特別賞が限界になってしまうのが主で、作る人がいなくなってしまったという。

 

―今回、短編映画のみの参加者を募集しますが、どんな方に参加してほしいですか?

 

直井:得体の知れない人に参加してほしいですね。どうも大学生とかが多くなりがちなので。あと去年は17歳の女子高生監督(松本花奈)がいたので、今度は70歳の監督とか(笑)。

 

―短編だからこそできることってなんでしょうか?

 

直井:枠組みがせまくるしいからこそ、自分の長所を活かしたアイディア一発勝負もできるし、作劇もコンパクトにしなきゃいけないから濃縮できるんじゃないかと。長編よりも実験できると思うので、まさに「ラボ=実験室」という体が成されるのではないでしょうか。」

 

―2017年以降の方向性を教えていただけますか。

 

直井:まだ何にもわからないです。2017年はある意味、今までで一番濃い年になるかもしれません。逆に、ここで焼け野原になって終わるかもしれない。そうしたらそうしたで、焼け野原に生き残った人たちと、何かまた面白いことを考えればいいかなって思っています(笑)。

 

―最後に、MOOSIC LABで出会った監督のこれからに期待していることは?

 

直井:ムーラボどうこうということはなくて、みんなそれぞれの状況があると思いますけど、その人ならではの作品をタフに作り続けてほしいですね。メジャーでもインディーズでも映画でもMusic Videoでも何でもいい。それでたまたま噛み合う作品があれば、何か力になれたらと。あと上映に困ったら、毎年、招待枠を空けて待っていますので、いつでも連絡ください(笑)。

Live info.

MOOSIC LAB 2017 KICK OFF PARTY!

【出演】MOOSIC LAB 2017参加監督&アーティスト大集合

2017年1月23日(月)

OPEN 18:30 / START 19:30

前売 ¥1,800 / 当日 ¥2,300(税込・要1オーダー400円以上)

前売り券はe+にて発売中!

会場&問い合わせ:新宿ロフトプラスワン TEL03-3205-6864

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