一度は解散という選択肢を選んだ理由
──今回のアルバムは、結成から10年分の楽曲すべてを詰め込もうと意図して作られたんですか。
田島:そうですね。解散前に作ったデモがズタボロの出来だったんで、ちゃんとしたものを録りたかったんです。最初のデモを出したのは俺がまだ10代の頃で、とにかくボコボコな感じだったんですよ(笑)。
──2枚のデモに入っていた曲は、今回の収録曲で言えばどの辺りなんですか。
滝:ほぼ入ってますね。「photograph」と最後に入れた「keep you see my eyes」は再結成後に作った曲で、あとの曲は当時ズタボロでどうにかしたかったものばかりです(笑)。
──全15曲中13曲が敗者復活したわけですね。
太田垣:お客さんからよく「デモの再販はないんですか?」と問い合わせをもらってたんですけど、あのデモだけは勘弁して下さいって感じだったんですよ(笑)。その代わりアルバムを作るので、時間はかかるだろうけど待ってて下さいと。これでやっと約束を果たせたのでホッとしてますね。
──2007年に一度解散という選択肢を選んだのは、どんな理由で?
滝:俺の掛け持ちしてるバンドがメジャーに行くことになって、jamming O.P.としての活動をセーブせざるを得なくなっちゃったんです。それまでのペースではできなくなってしまって、4人でこのバンドができないなら解散するしかないでしょ、ってことになって。
──3人で続けようとは思わなかったんですか。
太田垣:思わなかったですね。誰か1人欠けても続けるのはムリなんで。音楽的な部分はもちろん、人間的なグルーヴも大切なバンドですから。
──それが2年後には再結成を果たすわけですけれども。
田島:別にやりたくなくて解散したわけじゃなかったし、滝さんがやれることになったから、またやることにしたんです。
滝:自分なりにいろいろと経験を積んで、実力をつけてからjamming O.P.を復活させたかったんですよね。解散の話し合いをした時、俺が太田垣に「3年待ってくれ」と話したみたいなんですよ。俺は酔っぱらってよく覚えてないんですけど(笑)。でも実際、ちょうど3年ぐらいで戻ってきたんですよね。
太田垣:jamming O.P.をまたやることになって、滝に「お前、ちゃんと約束を守ってくれたんだな」って言ったら、「エッ、何のこと?」みたいに言われたんですよ(笑)。
滝:まぁ、3年ぐらいで自分が落ち着きそうな予感もあったし、実際その通りになったんだなと思って。
──憂いを帯びたメロディを緩急のついたアンサンブルで聴かせる「photograph」、フュージョンの要素も色濃くありつつ疾走感に溢れたメロディック・チューン「calling my name」というシングルにもなった2曲がjamming O.P.の持ち味を最も凝縮させたナンバーだと思うんですが、これらは自分たちの代名詞的な楽曲という位置づけですか。
太田垣:結果的にそうなった感じですかね。「calling my name」は特に、このバンドの特性みたいなものがだいたい入ってるので。
──だいたい入ってるし、ヘンなところでブレイクが入りまくるじゃないですか。つくづく一筋縄じゃ行かないバンドだなと思って(笑)。
滝:ブレイクが多すぎてノレないっていう(笑)。
田島:俺がそういうのが好きなんですよね。HOLSTEINってバンドが凄い好きだったのもあって。
滝:疾走感があって、プログレっぽい要素もある感じだよね。訳分かんないけど美メロって言うか。
──「alcohol and homeless」という6分を超える大作はその典型ですよね。プログレ的に目まぐるしく展開していく複雑極まりない構成で、怒濤のスクリーミングもあればコーラスの美しいハーモニーもある。最後はオーケストラまで登場して大団円を飾るという過剰さもあって(笑)。
滝:あれは誰も完成形を予想できなかった曲だったんですよ。なんであんなに複雑な展開にしたのか、自分たちでも思い出せませんからね。当時、19か20そこそこで作ったんですけど。
田島:バンドを始めて5曲目くらいに出来た曲なんですよ。俺が最初のスラップのリフを思いついて、それを滝さんちでちょこちょこ合わせて。
滝:気がついたら、もの凄くごちゃごちゃした構成になってて。
太田垣:エンディングをちょっと長めに録った以外はほぼ変わってないんですけどね。メロディを少し変えた部分はあるんですけど。
滝:全体的なフォルムは当時のままですね。まぁ、オーケストラが通り過ぎた後にギター・バトルが始まるっていうのも過剰だけど(笑)。
太田垣:あんなふうになるなんて最初は全然思ってなかったんですけど、チャックが録ってきたドラムを聴いたら、エンディングの尺が凄い入ってたんですよ。
滝:「この曲はフェイド・アウトで終わる予定だから長めに録っておいてね」とお願いしていたら、凄く長く録ってきた上に、最後は気持ち良く叩き終わってたんです(笑)。
チャック:俺の頭のなかでは、2人のギター・バトルを想像してたんだけどね。
田島:ギター・バトルなんて一度もやったことないじゃん(笑)。
滝:最後の引き延ばした部分はドラムのテンションがムダに上がっていくから、分量を落とせなかったんですよ。落とすと「ああ、もったいない」って感じになっちゃうので。それでギター・バトルを入れることにしたんです。