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映像としての面白みを出した表現を

──隔週で月2回の放送ですと、毎週放送のTVシリーズに比べて余裕をもった制作ができているんでしょうか。

境：そのはずだったんですけど、結構カツカツです（笑）。普通は省略する線を全部入れているので、単純に線も多いです。原作準拠が命題でスタッフともやっていこうと決めていたので、かなり細かいところまでしっかり描かれています。その分、出来上がった画面はすごいものになっていると思っています。

──公開されている映像もかなりのクオリティーでしたね。

境：最後の5人がそろっている絵以外はほぼそのままで、1話のシーンをチョイスして編集しているので全編あんな感じです。

──あれをそのまま見れるというファンにはうれしいけど、現場は大丈夫ですか？

境：大変だけど、かなりがんばってやってくれています。

──セーラームーンはアクションシーンも魅力のひとつですよね。

境：原作があまりがっつりとした殺陣が入る感じではないので、アクションをという風にとらえてはいません。耽美で様式的な美しさのある表現ではあるので、そこは意識をしています。

──そういったシーンも含め当時とは規制も変わっていますし、今回はWEBで海外の方も同時に見ることができるので、アニメにするのは大変なんじゃないかと思っているんですが、いかがですか。

境：表現としてWEBはボーダレスなので、原作に近いものを世界の皆さんに届けることができ強みになっています。そういった意味では、逆に可能性が広がっていると感じています。

──より厳しいのかなと思っていたので意外でした。WEBは作品の良さをより伝えやすいということなんですね。

境：作品の持つ禍々しい部分や、艶っぽい部分は世界観に必要なものだと思っています。そこに規制が入ってしまうと違うものになってしまうので、しっかり描けるのはうれしいです。もちろん配慮すべきことはするべきですが、映像としての面白みを出したいと常々思っていたので、それができるのは嬉しいですね。

──表現として気をつけていらしゃる点はありますか。

境：女性が見て綺麗・カッコイイと思っていただけるようにという点です。例えば変身シーンなどで体のラインを綺麗に見せるといった感じですね。そこは臆するわけではなく作品の魅力として表現していこうといってます。

──今回の月野うさぎも三石（琴乃）さんが声を充てられていますが、そこはやはり外すことができないポイントだったんですか。

境：やっぱりイメージとして一番強いので、三石さんじゃないとという所はありました。新しいものを作るという意識ではいますが、セーラームーンという作品が持つDNAをポイントとして入れていきたいとも思っています。作品の軸として三石さんがいると新しい中にもしっかりとしたDNAが根付いた形で生まれ変わったというムードが出ると思っています。

──他のキャストの方を決める際は、以前のアニメを意識してのキャスティングだったんですか、それよりは原作のイメージに合う方ということで決められたんですか。

境：キャラクターからのインスピレーションで決めました。決まったキャストの方も含めセーラームーンを大好きな方がたくさんいらっしゃって、そういう方たちは作品を知っているだけに物まねになりがちなんです。そこはキャラクターとして演じてくださいとお願いしてやっていただいた結果です。もちろん以前のものもリスペクトしています。だからこそ物まねはするのはよくないと感じていて、新しい形として作っていきたいなと意識しています。

──新しく作るという意識を伝えるのは大変だったんじゃないですか。

境：スタッフの中でも勉強熱心な方は一生懸命20年前の作品を観てきてくださるんです。それはありがたいんですが、今回は違うアプローチを目指しているので、観るのであれば原作コミックのみにしていただいて、今回なりのイメージを固めてもらうようお願いしています。似たものを作るだけに終始してしまっては、今回改めて制作する意味はないと思うので。

──今だからこそ作れるセーラームーンを、ということなんですね。

境：そういった色をしっかり出していければと思っています。

──最後にファンの皆さんへのメッセージをお願いします。

境：昔見ていた方はもちろん、新しく見ていただく方にもこの耽美な世界観とかっこよさで魅了されて浸っていただければと思っているので、是非楽しみにしていてください。