SHELTERの2daysではロックスターになろうと思います
── 1年前のAXと、今回のAXって、ステージへの思いは全然違いますか?
「そうだと思いますけど、不思議と心が冷静になっているので、自分に問うと正直同じような気持ちもありますね。意味がわかって、やり方がわかって、もちろん憑きものが落ちたようにせいせいとした部分もありますけど、どこか思い詰めてるというか。でも、今はやるしかないという思いです。2月22日という奇しくも昨年の休止直前ライブと同じ日にしてますけど、以前とは心持ちを変えてライブに臨むつもりです」
── そのライブをやって成し遂げたいことってありますか?
「いっぱいありますね」
── ひとつ教えてもらっても良いですか?
「休止していた間も曲がたくさん出来ていて、素敵だなと思う曲を、私たちを好いてくださっている全ての皆さまと、これから出会いが待っている方々に、生きてるうちに出来る限り届けることが一番の目標です」
── たくさん出来ている素敵な新曲は、AXでも演奏されるんですか?
「はい。1曲だけ」
── どんな感じの曲になっているんですか?
「直球のラブソングだと思います」
── 直球のラブソングって珍しいですよね。
「会いたいっていう気持ちを詰め込みました。抜けると言ったメンバーにもう1回一緒にやりたいよって気持ちで書いた部分もありますし、1月の告別式からの帰り道で聴いた時に涙がこぼれた曲でもありますね。どんな場面でも聴いて頂けると思いますし、この曲を聴くと私は国道沿いを走りたくなるんです(笑)。清涼感もあって大好きな曲です。生きていると悔しいとか思う時もあって、部屋でボーッとキャンドルを見つめて、吹き消して、寝よう、でも寝れないどうしようという時に、この曲を聴くと頭を振ってイェーイってなって、布団から出て、寒いのに踊って、ちょっと泣いて疲れて寝るっていう、そんな曲です」
── なるほど。けっこう激しめの曲なんですね。それはSHELTERでも聴けますか?
「SHELTERでも大事なキーとなる1曲になってます。SHELTERでやるのもうってつけだと思って、曲ありきでSHELTERを選んだところもあります」
── 下北沢SHELTERでは3月26日・27日にライブがありますが、こういう規模のライブハウスってここ最近の女王蜂では珍しいですね。
「バンドの初期とかにはもちろんやってましたけど、ちょっと懐かしい感じもありますね」
── SHELTERの出演は初めてですよね?
「そうなんです。出演したことも、見に行ったこともないんです」
── 今回SHELTERでの開催というのは、どんな経緯があったんですか?
「歴史があるライブハウスで、ロックバンドの初ワンマンはSHELTERでやるという話をよく聞いていたので。それで活動休止中に、ライブハウスでやりたいなぁっていう気持ちになって、やるならSHELTERがいいんじゃないかなって思ったんです」
── SHELTERでの2日間はどんな感じをイメージしていますか?
「今までの女王蜂と違うかな。開いた口がふさがらない感じにしようかなって思ってます。タイトル通り“灼熱戦”にしたいと思います。それこそロックスターになろうと思います」
衣装は、女王蜂そっち行くの? みたいな感じになると思います
── SHELTERのようにステージと客席の距離が近いと、よりみなさんの迫力に圧倒されそうですね。
「今迫力って言われて、その通りだなって思いました。女王蜂のひとつのチャームポイントとして迫力っていうのはありますね」
── ただ、会場が大きくないのでチケットを取れる人が限られてくるとは思いますけど。
「“灼熱戦”のチケットを争奪戦して頂きたいです」
── それと、女王蜂のライブは衣装も見どころのひとつだと思っているので、SHELTERでの衣装も気になります。
「私たち、パンツ姿とかブラでステージに立つことが多いですけど、実用的なエロではないというか、奇跡的にエロくなくて、逆転ホームランみたいな感じですかね(笑)。今回も、女王蜂そっち行くの? みたいな感じになると思います。アヴちゃんってかっこいなって言って頂けたら嬉しいですね。この日のドレスコードは“若気の至り”なので、思いっきり若さに甘えようかなと思ってます」
── “若気の至り”というドレスコードは頭を悩ませますよ(苦笑)。ところで、毎回ドレスコードを設けているのはどんな意味があるんですか?
「ある程度決まっているほうが楽しくないですかって思うんです。ライブに行くことが3ヶ月前に決まっていたら、ライブまで100日あるわけじゃないですか。その間に何着ていこうかなって考えて、ドレスコードが革ジャンって決まっていたら、革ジャン着た人がたくさん集まるライブになるんだなって考えただけで楽しいし、革ジャンにワンピースを合わせようかなとか、ホットパンツでイケイケにして、それこそ若気の至りでアホみたいなTシャツ着ようかなとか。ライブを楽しんでもらうとか、広げるためのひとつとしてドレスコードを考えたんです」
── いつぐらいから、ライブでドレスコードを設けるようになったんですか?
「結成した時からメンバー間では次の衣装はこういう感じでっていう話をしていて、それもドレスコードだと思いますけど、お客さんに言い出したのは3年前ぐらいですね」
── ドレスコードが仮面着用だったり、前回の白兵戦では白を身に付けるだったりでしたが、お客さんもドレスコードを含めて楽しんでいる感じはありますよね。ライブはSHELTERの2daysを含めて現在5本が発表されてますが、これからは頻繁にライブをやられていくんですか?
「頻繁というよりは、面白いものをやって行きたいですね。それこそ、SHELTERやLOFTのような伝統あるライブハウスでのイベントもあれば、劇場のように使わせて頂くイベントもあって、1本1本しっかりと。今回で言ったら、SHELTERだから出来ることを考えていて、ライブハウスと私たちのライブの迫力をかけ算していきたいと思っています。パンツでライブをしている時に思ったんですけど、イベント等で対バンのバンドがかっこいいフレーズとかかっこいい音楽をやっていても、その後に女王蜂が出てきてパンツ姿で命懸けでライブをやっていたら、そっちのほうが残るよなって(笑)」
── 女王蜂のライブは昨年リリースされたライブDVD『白兵戦』を見ていても思いましたけど、衣装がほぼ下着というのもありますけど、とにかく色気を感じたのと、でも狂気と迫力もすごかったんです。DVDを楽しく見ましたって言うと語弊がありますけど、いろいろ考えながら見ましたね。
「楽しいにもいろいろな意味がありますよね。いろいろ考えるDVDだってよく言って頂きます。楽しかったけどそれだけじゃないって言って見てくれてる方が多くて。そういう方々を裏切らないようにこれからも活動していきたいですね」
── 今回お話を聞かせて頂いて今後の活動がもっと楽しみになりましたし、いろいろな経験を経て、改めてアヴちゃんが今女王蜂を楽しいと思ってる感じも伝わりました。
「楽しいし、笑えるし、泣けるし。これからも辛いことってたくさんあるんでしょうけど、ピンヒールで駆け抜けて行きたいですね」
PHOTO BY:中野修也