HEREが両A面シングルとライブ映像を収録したDVDがセットになった作品『感情超常現象/余すことなく隅々までアイラヴュー』を9月4日にリリースする。超絶テクを持ったツインギター、ツーバスを連打するドラム、そして過剰なまでの熱量で見せるボーカル、さらに存在感のありすぎるサポートベースとサポートキーボードの最大6人編成で繰り広げられる超ハイテンションのライブが、ライブハウスを中心に話題になりつつあるバンド。
今作の感情が爆発した新曲の2曲はもちろん、DISC-2に収録された5月9日に渋谷O-WESTで行なった自主企画"「死ぬくらい大好き愛してるバカみたい」発売記念ツアーファイナル HERE presents「GLAMOROUS STUDY:point 10」"は、まさに彼らの迫力を充分に感じられるだろう。また、稲村太佑(アルカラ)と滝 善充(9mm Parabellum Bullet)が特別ゲストとして演奏に参加、さらに当日の出演者全員がステージに飛び入りした楽曲も収録されるなど、ファン待望の作品となった。今回のインタビューでは、シングルのことやDVDに収録された5月9日のライブについてなどを訊いた。(interview:やまだともこ/Rooftop編集部)
作業は常にハイテンション
── 9月4日にリリースされる両A面シングル+ライブDVD『感情超常現象/余すことなく隅々までアイラヴュー』ですが、『感情超常現象』はここ最近のライブではよく演奏されてますね。
尾形:そうですね。『余すことなく隅々までアイラヴュー』はまだ1回しかやってないですが。
宮野:『余すことなく隅々までアイラヴュー』は一途なラブソングなので、これまでのように勢いで聴かせるというよりは、しっかり歌ってしっかり聴いてもらいたいと思い、まだライブではあまりやってないんです。
── 昨年3月にリリースしたシングル『みっともないぜ 愛がこぼれてる/絡みつくような愛をくれてやる』ぐらいから特に、過剰な愛を歌う曲が強くなったような気がしますが、そういうモードなんですか?
尾形:ラブソングは多いですけど、『感情超常現象』は新たなHEREの方向性を打ち出して、『余すことなく隅々までアイラヴュー』は『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』(2013年3月6日リリースのアルバム)の延長線上にある曲だと思ってます。次のリリースを考えて曲作りを始めているところなんですが、『死ぬくらい大好き愛してるバカみたい』と次の作品の架け橋になるような位置に来るシングルを作りたいというイメージがあったんです。
──『余すことなく隅々までアイラヴュー』は、紙資料に「もっとも共感出来ないラブソング」と書かれていて、妙に納得してしまいました(苦笑)。それにしても、今作も相変わらずインパクトあるタイトルを付けましたね。
尾形:今回は珍しく2曲ともタイトルから出来たんですよ。前のアルバムの時はタイトルを考えるのがすごく大変で、最後の最後までどの曲も悩んでましたけど、今回はタイトルが最初に出来たので、『余すことなく隅々までアイラヴュー』は詞から作り始めたんです。そこにメロディーを付けていくという、いつもとは逆のパターン。言葉のパワーがあったのと、“アイラヴュー”を連呼したいというのがあって。J-POPとかロック、パンクにもあるかもしれませんが、日常生活でよく見かける“アイラヴュー”をHEREなりの形でぶつけてみたかったんです。それで、世にあるどの歌よりも“アイラヴュー”を連呼したんですよ。自分たちでもすごい数だと思います。
── 『感情超常現象』のタイトルはどんな感じで思いついたんですか?
尾形:最初、“超常現象”って良い響きだなって思ったんです。韻を踏んでるじゃないですか。その前に何か付けたいと考えていたら、“感情”という言葉を思いついて。『感情超常現象』は直訳すると、僕らのテーマにもなっているハイテンションなんです。この歌詞を書いている時は、テンションが高くなりすぎて、狂気の世界に入っているなと感じたぐらいで。前のアルバムで言うと『みっともないぜ愛がこぼれてる』と『ゾッコンROCK ON』のちょうど中間点にあるような曲だと思っていて、言葉やサウンドはわりとシリアスなんですけど、歌詞は言葉遊びの要素が強くて、韻の踏み方とかすごく気に入ってますね。その辺がハードな曲調と、ちょっとユニークな歌詞をうまい具合にミックス出来て、オリジナリティ出ちゃったかなって思ってます。
宮野:あとは、これまでの曲もそうかもしれないですけど、尾形の歌詞って、つべこべ言わずに頑張ろうぜという曲が多いじゃないですか。HEREのメンバーや周りの人たち、お客さんやバンド仲間に対してテンション上げてこうぜって。普段のライブでも、尾形がバンドや周りを巻き込もうとする、うざったいぐらいに(笑)おせっかいな感じがこの歌詞に込められていると思います。すごく等身大の歌詞ですね。
── サウンド面で言うと、前作に比べてもバンドのアンサンブルがたくましくなっている感じがあって、力強さが歌詞にも音にもありますね。
尾形:演奏うまく出来たよね。前回のアルバムよりじっくりやった感じもあって。あとはグルーヴをいかに出せるかということを考えて、録音前に何回も何回も練習して。前にも話しましたけど、HEREは基本一発録りで、レコーディングでクリックを聴いてないので、差し替えがうまく出来ないんです。曲の中でグンとテンポが下がったりいきなり速くなったりは意図的にやってますけど、そこをどれだけスムーズに演奏出来るかを毎回考えてます。
宮野:レコーディングはみんな輪になってアイコンタクトをしつつ、汗ダラダラ流しながらやってます。
── そこでもハイテンションなんですね。
尾形:ライブの良し悪しもそこですよね。みんなの気持ちが合うかどうか。1人だけがうまい演奏を出来てもしょうがないし、少しぐらいミスってもグルーヴを感じられればそれが一番良いテイクだと思ってます。
宮野:でも、ホント今回のサウンドはマッチョでソリッドに仕上がっていると思いますね。
尾形:サポートベースの壱くん(ユーノ)は今入って2年経ってないぐらいなんですけど、サポートとは思えないぐらい空気に馴染んでるんですよね。ハジメタルも含めて6人のグルーヴ感はすごいことになっていると思います。
── 『感情超常現象』のPVでも、サポートのお2人含めて、テンションが振りきれてますしね。
宮野:面白い感じになりましたね。