『斬鉄拳』は野音に向けた決意の歌
──そして、7月に『絶頂BANG!!』を出して、早いペースで9月に『斬鉄拳』をリリース。『斬鉄拳』って、すごくインパクトがあるタイトルを付けましたね(笑)。
左迅:ゲームに出てくるキャラクターの必殺技で、本当は“拳”が“剣”なんです。メンバーと話し合いをしていて、“斬鉄拳”という言葉が出た時に「それいいね」って話になって。でっかい壁があって、それが何発殴っても壊れないぐらいの厚い壁だとしても、俺たちは必死になってぶっ壊してやるぞという意志が詰まった曲ですね。10月28日の日比谷野外大音楽堂でのライヴが決まってから歌詞を書いたんですけど、野音に向けての決意や思いを書きました。俺たちの決意の歌を野音で歌って、ようやく完成するんです。だからこの曲を聴いてから野音に足を運んで欲しいですね。
── 私はこの曲の歌詞で、「ラスボスは結局 弱いお前自身だろ?」の部分が、バンドの前に立ちはだかる壁や、自分自身と戦ってる感じ、そしてさらに先に向かおうとしていることを想像し、みなさんが掲げる反骨精神など全部が詰められているんじゃないかと思ったんです。
左迅:弱い自分を越えて、さらに先に進んでいくという思いもこもっている曲ですね。
── 曲はパーティーチューンの『絶頂BANG!!』とも全然違い、ゴリゴリとしたサウンドにシャウトが入り、違う一面も提示していますし。
左迅:今回リリースするにあたり何曲か候補があって、『絶頂BANG!!』の延長線の曲もありましたけど、野音に向けての意志を伝えるにはこっちのほうが攻撃的だし、今の自分たちの心境に合ってると思ったんです。次はどう来るんだろう、こう来たかという、良い意味でお客さんの期待を裏切るのも大事なんじゃないかなと思っています。
── ゴリゴリとしていてメタルのようなサウンドでありながら、どこか歌謡曲の要素が感じられましたけど、それはみなさんが今まで聴いてきたものが影響されたりしているんですか?
左迅:昔からJ-POPばかり聴いていたので、そういう部分は出てるよねっていうのはまわりのスタッフからも言われてますね。そこがギルガメッシュのキャッチーさだったりに繋がっていると思います。ただ激しいだけの曲は誰でも出来るので、激しい中でもメロディーがあって、何回でも聴けるようなものは昔から考えていたことでもあります。メロも大事にしている部分なので、そこは常に磨き上げて行きたいですね。
── 歌も立ってますしね。食わず嫌いの人もいると思うので、そういう人にこそ聴いて欲しいですね。
左迅:そうなんです。
── 今回タイトルもインパクトありますけど、ジャケットの写真も目を惹きますね。前作は侍の格好で、今作は消防士となり勇ましい姿を提示しています。
愁(Ba.):どちらも戦う姿勢を出しているんです。昨年出したアルバム『GO』に続いて絵でも良かったんですけど、これから戦っていく意志を見せた衣装を着ようって前作が侍になって、今回の消防士は凛とした雰囲気を出したんです。
左迅:みんなジャケットを見て最初は笑いますけど、よく見るとかっこいいねって(笑)。
── しかも今作は限定盤で、 “東京Sadistic〜ぶっとおし13days〜”の最終日“東京 Sadistic day”LIVE DVDが収録されるんですよね。
愁:最終日のライヴから今の俺たちのモードを伝えるアツい曲をセレクトしたんです。その最終日というのが、ほぼバラードなしで、激しい曲だけで…。
左迅:前日に決めたんだよな。最終日だし全部激しい曲にして終わりたいって。その結果死にそうになりながら終えた(笑)。歌ってる時に後悔しましたよ。
愁:まだ10曲目かって(笑)。
左迅:この日は攻めましたね。
── みなさんも必死ですけど、お客さんも相当体力がいりますね。
左迅:ボロボロになってましたね。「ボロぞうきんになって終えました」という手紙をいっぱいもらいました(笑)。
── お客さんも巻き込んでる感じもしますね。
左迅:スタッフやメンバー、お客さんも合わせてみんなで作った13日間だったので乗り切れたというのも絶対にあると思います。本当にみんなで作った文化祭でしたね。
── 13日間全部来た人もいたんですか?
左迅:ぶっとおしチケットというのを販売したんですけど、予想の3倍ぐらい予約が来ました。13日のライヴが終わり、「喪失感でいっぱいです」と言ってる人もいましたし、僕はライヴハウスの近くに部屋を借りてそこから通っていたんですけど、最終日が終わって部屋を出る時は寂しくて泣きそうになりましたよ。
── 今後はやらないんですか?
左迅:やりたくなったらやると思います。アルバムを5枚出しているので、聴きたくても聴けない曲がいっぱい出てくると思うんです。最近ファンになった人も昔のギルガメッシュの曲を生で聴きたいという人がたくさんいると思うので、それを何かの節目でやれたらとは思っています。
お客さんを期待させるのがバンドの役目
── 今年は“やれんのか? 野音”というタイトルが付いた初の野音ワンマンも控えてますし。
左迅:常に目標がないと、日々過ごしていてもどうしても身が引き締まらないというか、明確な目標があったほうが体力作りだったりとか個々の練習だったりとか、ひとつひとつ気合が入るので常に目標は立てておきたいです。
── 野音自体はイベントなどで出演されたことはあるんですか?
愁:僕と左迅は何度かライヴを見に行ったことがあるんですけど、ステージからの絵面は見たことがないので当日まで楽しみです。ギターの弐はDVDでしか見たことがないって言ってたし、ステージはどういう感覚なんだろうなって。
── リハはこれからですか?
愁:10月あたまからですね。
左迅:夜空を生かしつつ。…星が見えるかどうかはわかりませんが(苦笑)。
愁:僕、4回野音に行って2回雨を降らせてるんです。だいたいでっかいところで雨降らしている。
左迅:AXでワンマンやってる時は台風来たし。あと時期的にけっこう寒いらしいです。
── そこはみなさんがライヴでアツくしてくれたら。
左迅:そうですね。
── 今年はシングル出して、野音でのワンマンがあって、その後はどういう動きをするんですか?
愁:今はメンバーもスタッフも野音を見ていて、まずは野音を成功させたいです。次のことを考えるのはそれからですね。
── 走り続けてますね、今年は特に。
左迅:2011年に充分休んだので、もう止まりません。
── 追い込まれたほうが出来ますか?
左迅:追い込まれないと出来ません。小さい頃から。夏休みの宿題も始業式の前日に泣きながらやってました。どんどん追い込んで欲しいですね。
── 作詞とかも早く作れと言われないと?
左迅:最近ようやくそうでもなくなってきましたけど、前はギリギリにならないと無理でしたね。
── でも、そうして左迅さんが生み出した言葉で勇気づけられる人もいますから。
左迅:性格上、追い込まれたほうが本心が出るんですよ。制作サイドから言ったら大迷惑な話ですけど(苦笑)。でも、追い込まれて作ったとは言っても絶対に納得したものは作っていますし、そこは妥協してないのでご安心を。聴いてくれる人に対しても、期待させるのはバンドの役目だと思うので、それは常に考えていて、人を驚かせる活動をしていきたいですね。