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水野美紀

 女優・水野美紀と脚本家+構成作家・楠野一郎による演劇ユニット"プロペラ犬"。2007年に活動を開始し、年1回の本公演を目標に、これまでに4回の舞台を行なってきた。また、月に1回"プロペラ犬ひみつ集会"と題し、お酒を飲みながらのトークイベントを下北沢のカフェなどで開催している。そして今回"プロペラ犬ひみつ集会エクストラ"が、3月13日(日)の昼の時間に下北沢シェルターで行なわれる。ライブハウスで行なうのは初めての試みだそう。ネイキッドロフトで働いていた時から店長の上江洲が出演のオファーを続け、ようやく実現したこのイベント。水野美紀さんに、プロペラ犬のこと、初のライブハウスでの構想を伺った。(interview:上江洲修/下北沢シェルター店長 text:やまだともこ)

演劇ユニット“プロペラ犬”とは

── ここで“プロペラ犬”を知る方もいると思いますので、プロペラ犬とは? というところからお話を聞かせて頂きたいと思っています。
「プロペラ犬は、2007年に放送作家出身の楠野一郎と私の2人で結成した演劇ユニットで、楠野さんはこれまでにもドラマや映画の台本を書いたりしていたんですけど、小劇場の芝居をやりたいと話をされ、協力してやってみようかということで旗揚げしたんです。脚本を楠野さんが書き、私は出演したりプロデュースしたり、外部から演出家の方と出演者の方を招いて毎回形を変え、年1回のペースで赤坂レッドシアターをホームにやっています。昨年は番外公演ということで赤坂ブリッツで特別公演をやらせていただき、今後は通常公演に戻るんですが次の公演は来年の1月頃を予定しています」
── ご自分でプロデュースも出演もとなると、ひとつの舞台に対しての責任がずっと重くなりますよね。
「私は楽観主義ですけど、楠野さんはものすごく慎重派で心配性で細々したものを全部先に気が付いてくれるので、私はラクさせてもらってました(笑)。演出家さんもスタッフの人も出演者さんも招く側なので、その人たちに不備がないようにとか、楽しかったって言って終わってもらえるようにとか、当日お客さんが入るかなとか、他でしたことがない心配は毎回ありますね」
── 脚本は基本的に楠野さんにお任せなんですか?
「アイディア出しはしますよ。演出家さんが決まって打ち合わせをやる時に、アイディアを頂きながらこっちも考えながら」
── 演出家さんやゲストの方を、お2人で決める時の基準はあるんですか?
「プロットが出来た段階で、この人とやりたいなというイメージは膨らませます。お互い一緒に仕事をしたい人の感覚が共通しているので、来年はこういう人とやりたいねとか、この間観た芝居のあの人がすごく素敵だったからうちに出てもらえないかなという話はよくしてました」
── 水野さんは、これまでにもドラマや映画にも多く出演されていますが、舞台と映像はやはり違うんですか?
「全然違いますね。映像はストーリーがあっても話が前後するから、今日はこの部分を撮りますという時に、頭の中でこういうことがあってこうなってるっていうことを想像してモチベーションをキープしていなければいけないんです。舞台は1時間半なり2時間なりのギュッとした時間の中で集中して、流れで出来るのでそこが舞台と映像の違うところ。表現方法も、映像はアップで撮ったり引きで撮ったりカメラも芝居をするので動きも制限されるし、お芝居もそれに合わせなければいけない。舞台は、映像でやっている芝居では全然伝わらなくて、目の前のお客さんに全身と声を使って伝える力が必要なんです」
── 舞台はお客さんの反応もダイレクトに入ってくるので、それを受けて演技が変わったりするんですか?
「お客さんによって毎日空気が微妙に変わるので、お芝居もその日の空気によって変わることはあります。特に笑いだったり、喜劇だったり、オモシロの要素が入っているものは、先輩の俳優さんはその日の空気を読んで笑いの間とかリズムとか全体をコントロールしていきながらお芝居をされてます」
── 長い公演になると体調の維持が大変だと思いますが、コンディションはどう整えているんですか?
「1ヶ月や2ヶ月の公演をやってる人たちや、ミュージカルの方は特に体調に気を配っていて、怪我をしたり声が出なくなったり病気になっちゃったりすると代わりがいないから大変なんです。とにかく本番の責任を果たすのは絶対ですね。そのために体調管理したりコントロールしたりするのは必要で、アスリートみたいだと思います。でも逆に言ってしまえば、どれだけ飲んだくれて夜更かしして不摂生しても、本番をしっかりこなせば文句は言われないというのはありますけど(笑)」
── 毎回打ち上げってあるんですか?
「長い公演だと初日が明けたら初日乾杯をして、真ん中で中打ち上げして、終わって打ち上げやって。だけど、知り合いが見に来てくれたりすると、終わって一緒に飲みに行こうってなって、毎日飲みに行く事もあります」
── 水野さんはけっこう飲まれるんですか?
「飲みます。量はそんなに飲めなくなってますけどビールも焼酎も好き。プロペラ犬の旗揚げ公演は二人芝居で、楽しくて本番終わってから朝まで飲んじゃって、昼公演があるのに2人ともまだ酔っぱらってるみたいな状態だった時が一回あったんです。でも飲み過ぎてやばい、これがばれないようにしなければいけないという緊張感で集中力が高まり、すごく良い公演になりました(笑)。でもさすがに1ヶ月公演で、あの人飲んで体調崩したとか言われると楽屋で肩身が狭くなりますよ。私は体が強いので、今のところは穴を空けたり本番中に病気になったことはないですが、舞台で出とちったことはあります」
── デトチ…?
「舞台上では芝居が進行していて、このセリフの後に私が出ていってセリフを言うという時に、ボーッとしていて出遅れたんです。これを出とちりって言うんですけど、それをやるとその後だいぶ肩身が狭くなります(笑)。あとは、ナイロン100℃のケラさんのお芝居に出演させて頂いた時に、本番の直前ぐらいまで台本のラストが出来ていなくて、やっと何とか覚えたかなという時に初日を迎えたんです。まだセリフが体にしみこんでなくて怖いから、その時はブドウ糖の力を信じて本番出番の直前にブドウ糖をガリガリと食べたりもしましたね」

音楽も絡めたイベントにしたい

── ところで、3月にシェルターで“プロペラ犬ひみつ集会エクストラ”を開催して頂きますが、ライブハウスでは初の試みですよね?
「昨年赤坂ブリッツの公演は、“エンゲキロック”をテーマに筋肉少女帯の楽曲を使ったロックミュージカルだったんです。私はガールズバンドのボーカルという設定でミュージシャンの知り合いも出来たので、ライブハウスでトークライブをやることによって、生演奏じゃなくても音楽を流してネタ的なものをやるとかイメージが浮かんだんです。次が一発目なのでどういう雰囲気になるのか探り探りなんですが、ここはステージにスペースがあるから、スペースを使って遊べる事もできるかなって」
── シェルターとしても、トークライブはまだそんなにやっていないんです。
「これから増やしていこうという感じなんですか?」
── トークと音楽が融合できたら面白いなというのもあって、トークの中に音楽ライブも盛り込めればライブハウスの境界線もなくなるんじゃないかって。
「新しいものが生まれそうな気がしますよね。いつもトークイベントの最後にやっているリーディングドラマは音楽をかけながらやっているんですけど、ギタリストの人を呼んでアコギの生演奏でリーディングをやったらすごく豪華になるかなと思ってます」
── 構想は、なんとなくできているんですか?
「まだ未知な部分もありますが、最初はいつものトークライブで、音楽もやってるゲストさんがブッキングできたら、音楽を使った遊びもやりたい。動きを付けてお芝居も出来そうですし」
── 仲が良いミュージシャンは、筋肉少女帯さん以外にもいらっしゃるんですか?
「筋肉少女帯さんや山内圭哉さん、劇団☆新感線の方々もバンドをやっていますし、あとTHE冠の冠徹弥さん。彼は二十歳ぐらいの頃からの知り合いで飲み友達なんです。冠くんはいつか一緒にやりたいですね。歌もうまいし、エンターテイナー感とか表現力もすごいし、トークもキャラクターもおもしろいので」
── 水野さん自身バンドをやってみたいとかはありますか?
「音楽いいな、楽しいなとは思いました。昨年の舞台の時に弾き語りのシーンがあって、慌ててエレアコの練習をしたんですけど、初めてギターを触るのにアルペジオから入ってバレーコードとかもあって歌い出すっていう。なんとか練習してやりましたけど、すごく緊張しました。1人だし、ちょっとでも間違えたらすぐわかっちゃうから」
── バンドの人でも弾き語りは難しいって言う人はいっぱいいます。
「まず人前で歌った事がないし、よくやったねって言われましたよ(笑)。バンドで筋少さんの曲を歌うシーンもあったんですが、まずロックっぽい動きがわからないから冠くんをスタジオに呼び出して、筋少さんの曲をあて振りで動いてもらい、それを動画で撮って毎日稽古場で見ながら確認してマネしたんです」
── 同じボーカルでも男女でちょっと動きは違いますよね。冠さんは特に激しい動きだと思いますが…。
「ヘビメタですからね。でもあの芝居はそのぐらいがちょうど良かったんです」
── シェルターでも見たいですね。
「曲だけかけてあて振りでも出来ますよね。劇団鹿殺しってご存じですか? ライブハウスでもやっていて、曲をかけて踊りながらパフォーマンスをしてすごくおもしろいんです。その方々が決まったらいいなとは思うんですけどね」(インタビューの数日後、鹿殺しの菜月チョビさんがゲストに決定しました!)
── この日はトークライブですが、お芝居を観た事がないという方々のために、お芝居の楽しみ方を教えて頂けますか?
「ライブハウスに通う人たちは商業演劇とかミュージカルよりは、下北の小劇場でやってる劇団を観てもらえると、とっかかりとしては良いのではと思います。劇団鹿殺しは芝居の中に歌や踊りが入り、ライブ好きの人にはすんなり入れると思いますよ。映画とか映像を見るのと違って、お芝居は能動的に観る感じ。それで楽しむものだと思うんです。起承転結とかストーリーがわかりやすいものは少なくて、作り手はお客さんにこういうことを感じて欲しいみたいなものを仕掛けているので、受け身で観ていてもつまらないと思う。自分がその世界を想像したり、考えながら観ていくと楽しめるポイントが見つかると思うんです。ライブも座って見てるより、音楽の中に身を投入して乗って観た方が楽しいじゃないですか。それと似てると思います。それに、舞台を作ってる人たちって他の人がやってないものをやろうっていうのがあるから、新鮮な発見がいっぱいあると思う。見た事がないようなストーリー展開だったり、キャラクターだったり、見た事がない仕掛けがあったり、それを生で観られる楽しさはあります。しかもお客さんの空気は舞台上にも伝わるので、その世界の中で参加しているんです。参加する楽しみを感じてもらえたらなって思います」

Live info.

3月13日(日)下北沢シェルター
プロペラ犬ひみつ集会エクストラ

OPEN 12:30 / START 13:00
ADV.¥3,000(DRINK代込み) / 当日未定
水野美紀
ゲスト:菜月チョビ(劇団鹿殺し)
THE 冠

↓4月24日に変更になりました。

4月24(日)下北沢シェルター
「プロペラ犬ひみつ集会エクストラ」(day time)

OPEN 12:30 / START 13:00
前売¥3,000(DRINK代込み) / 当日¥3,500
水野美紀
ゲスト:菜月チョビ(劇団鹿殺し) / THE 冠