Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

個性的な4人が生み出すエキセントリックな音の世界

2011.02.09

伝えたいことはないけど、“叫ぶ動機”はある

101002_shinjukumotion_0134.jpg── 日本の音楽シーンのメインストリームってメロディ重視だし、「メッセージを音楽を使って伝える」というフシがあるじゃないですか。モーニングスはそれとは真逆ですよね。
けいか:はは(笑)。
キシノ:ありがとうございます(笑)。
ポンタ:俺ら、伝えたいことは何もないんです。
キシノ:そういうのが嫌いってことで今があります(笑)。
── メロディよりもリズムやサウンドのテクスチャー重視のとことか、歌詞も明確にしてないところなど、現状のシーンに対して何か思うところあるんじゃないかというのは伝わってきますよ。
キシノ:そういうのをファックだと思ってますから。押し込められた流れの中でやってる音楽っていうのが、ホント嫌いなんです。そこからもっとはみ出た、オリジナリティのある音楽が好きだし、自分たちもそういうのを作りたいと思うし。みんな“世界観”とか言ってますけど、音楽作っていく上で、そんな大層なことは考えてないんじゃないかと思うんですよ、ホントは(笑)。でもそれを、さもありますみたいな感じで言われてもさ。“コスモ”とか。
ポンタ:コスモ!?
キシノ:いや、あんじゃん。「このヴォーカリストにはコスモが宿っている」みたいな表現。そんな大層なもんじゃないだろ、って(笑)。それより音とかがおもしろい、カッコイイって思う感覚の方が大事だと思う。
── ヴォーカルの立場からしたらどうですか? マイク握ってステージに立ったら、やっぱり特別な力を得るというか、つい、何かを伝えたい気持ちになったりしません?
ポンタ:う〜ん。僕の場合は何かを伝えたいというよりは、自分も楽しみたいし、お客さんにも楽しんでもらいたいっていう気持ちの方が強いんですよね。いわゆる目立ちたがりな性根のせいもあるんでしょうけど、自分が起こしたアクションに対して他の人が反応してくれるっていう状態がおもしろい。伝えたいことはないけど、お客さんに楽しんでもらうためにどうするかってことは考えますけどね。
キシノ:うん。俺も伝えたいことは別になくていいと思う。でも“叫ぶ動機”は必要だよね。だからそれをわかりやすく伝えるために日本語で歌って。バンドの“詞世界”みたいなのもなくていいけど、気持ちを伝えるためには、そういうところは必要なのかな、と。
── ああ、とっかかりとしてね。
ポンタ:うん、ホントとっかかりなんですよ。意味がわかんなくても耳に残った方が面白いじゃないですか。そういう意味で言うことをハッキリさせるっていう。いくつかフレーズがひっかかるものがあれば嬉しいな、と。そういうところがないと曲としてはあんまり良くねえなって思うんですよ。
キシノ:あと、マインドの部分もあるんじゃない? ポンタの心の奥で、わかんないこと言っててもそこに気持ちがあるっていうのが大事なんでしょ?
ポンタ:感情っていうのではないな。それよりもヤバイ感じをどう出すかとか、「えっ、こんなことやるの?」ってところで方法として叫ぶってことがあると思うんです。
── モーニングスの衝動って、どんなところから生まれてくるんでしょう? 何がドライヴィングフォースになっているの?
キシノ:それは2種類に分かれてて、ひとつは音楽を作るっていうことと、もうひとつはライヴをやるっていうこと。この二つは完全に違います。作る方では、変なコードの重なり方だったり、リズムの変化とか、そういった手法で、昔洋楽聴いて感じたカッコイイっていう気持ちを、音のテクスチャーとか重なりで再現したいんですよ。ただ、ライヴではそういうの全然関係なくて、それを“衝動”と言うんだと思いますけど……楽しいとかさらけ出すとか。でも、そこに大層な意味があるわけではないんです。
── ギターの脱臼した感じとかはディスメンバメント・プランを彷彿とさせるというか……私このバンド大好きなんですけど、彼らに通じるとんがったセンスを感じるんですよね。
キシノ:ディスメン、好きですよ。確かに初期はエモっぽかったからそうかも。曲書いてると、すぐこいつ(ラリー)が○○っぽい、って言うんでムカつくんですけど(笑)、影響を受けてるとはあまり言いたくないものの、そのひとつではあると思いますね。実際、3人でコピーしたことがあります。
けいか:大学のサークルで。すげー難しかったです(笑)。
── 「彷彿とさせる」というのは文章で音楽を伝えることの便宜上で、もちろん似てるという意味ではないですよ。ただ、やっぱりセンスの上で近いものを感じた理由がわかった(笑)。あと、モーニングスって、アイディアに技巧が伴ってるところが凄いですよね。
キシノ:いやいや、まったくですよ。
けいか:最近の若いバンド、みんなうまいですもん。
── 緻密なアンサンブルは聴きごたえあります。
キシノ:でもね、実は僕らの曲ってフレーズごとに分解すると結構簡単なんですよ。前はもっと複雑にしてたんですけど、最近は単純なフレーズで聴かせることにシフトしてる。
── 間にあるグルーヴで聴かせる、ということ?
キシノ:そんな感じです。たとえば『マッドチアガール』なんてアルバムに入ってる中では一番新しい曲なんですけど、それは全部4拍子で書いた初めての曲なんです。フレーズごとは単純なんですけど、実は細かいところで変なことやってたりして。基本的にベースがあまり弾けないっていうのがあるんで、いつもベースから作るんです。ベースが弾けるような簡単なフレーズを考えて(笑)。
DJラリー(B:以下ラリー):だけどねえ、弾くのは難しいよ(笑)。

── 曲にいろんな要素が入ってて、多彩な印象を受けるんですが、逆に「これがあればモーニングス」って言える要素とは?
ラリー:変なことやってるんだけど、ハイテンションでポップになるっていうか。
キシノ:うーん、ハイテンションってところは特に考えてないよ。
けいか:そうだね。
キシノ:むしろ共通してるのは、聴いてくうちにポップだなって感じると思うけど、初めて聴いた時はどの曲も「何これ?」って思うってことかな。曲作ってて、自分もびっくりしたいし。自分達がやってて「わけわかんねえもんが出来ちゃったな」って思いたいんです。誰にも似てるって言われたくない。
── なるほど。そんなモーニングスが一目置いてる日本のバンドが気になりますが……。
ポンタ:多いですよ、凄いと思うのは。
キシノ:たとえば“タコボンズ”。
一同:(うなずく)

キシノ:もう10年ぐらいやってるバンドなんですけど、スリーピースで、変なことする。リズムで遊んだりして。
ポンタ:あとはティアラとかディープスローターとかも好き。
── けいかさんは紅一点的な役割も担っていますが、バンドとしての在り方に女性としての視点を入れることは考えていますか?
けいか:うーん、特に意識はしてないんですけど、私が一人いることで、バンドの見え方がキャッチーになるのかなって自覚はありますね。“つかみ”にはなるのかな、って。でも昔はプレイヤーとしてそういう風に見られるのはイヤだったんですよね。私は別に自分がうまいとも思ってないけど、人に「女の子のわりにはうまいね」とか言われるのはイヤだったな……っていうか、今でもイヤか(笑)。

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