在日ファンクはガンガン生きてますよ!
── その3連発コラボ・シングルですが、構想はいつ頃に? シングルとはいえ、1枚3曲入りで、合計したら9曲とアルバム並みの作業が必要だったと思います。
浜野:今年の3月とか4月くらいに案が出ましたね。なんか、楽しい時期だったんで、話題性が無くなるのが怖かったというか、忘れられたくないというか(笑)。シングル出して「在日ファンクはガンガン生きてますよ!」みたいな事を言いたかったっていう(笑)。あと、溢れ出るように曲をいっぱい作ってたんで、もったいないから出そうぜ、みたいな。みんなには過酷な労働をしてもらいましたけど。
村上:正に労働でしたね。9曲を5日間でレコーディングしましたから。しかも、会社員がいるから、土日土日土曜、みたいな。
久保田:まぁ、楽しかったけどね。今までの在日ファンクにはない、凄い勢いがドーン!って入ってきたみたいな感じで。“勢い”の感じも、共演相手によって違うし。
浜野:在日ファンクには実力はあるのにくすぶっている人が多いんで(笑)、その実力が今回のコラボで引き出されたとは思います。
── レコーディングは、在日ファンクでアレンジをしてトラックを録って、歌を入れてもらうという流れですか?
浜野:いや、ボーカルも含めて一発録りでしたね。ジュンさん(サイトウ“JxJx”ジュン)がそういうのを好きだったんで。でも、上野くん(サイプレス上野)は疲れたって言ってましたけど(笑)。あと、ROYくんだけは別録りでしたが、歌を入れる時に僕と一緒に。区切るんじゃなくて、1曲通しで。アレンジに関しては、僕が結構バーンと作って、楽譜にしたりして。他所様の曲なので、アレンジは凝らなきゃいけないなと思いながら一生懸命やりました(笑)。とにかく、派手にしようと。でも、ジュンさんと上野くんとの楽曲は、前からライブでもやっていて、レコーディングのみだったんで。とにかく、全曲派手で、かましてる感があるんですよ。オラー! みたいな。だから、アルバムとして全曲入れると疲れちゃうかもしれないから、シングルで区切るぐらいがちょうど良かったんじゃないかと。
村上:うん。小出しにして、やっと消化出来るぐらい(笑)。
── サイトウ“JxJx”ジュンさん、サイプレス上野さんとのコラボは、問答無用の楽しさは保証済みで、絶対的な安心感があります。ですが、ROYさんとのコラボは未知数と言いますか、驚きがありました。
村上:ROYさんが歌を入れる前の状態のトラックからは、全く想像が付かなかないものになりましたね。実際、僕はTHE BAWDIESをあまり知らなかったというのもあったんですけど、歌が入った事で一瞬で化けたというか。
久保田:うん、ビックリするぐらい。
浜野:へぇ〜。そうだったんだ。派手になったってこと?
久保田:ミルクだった在日ファンクに、コーヒーがビチャーン! って入って、わー! 全然違うものに変わった! というか(笑)。
村上:ROYくんて凄い強烈な存在だから、それがドカン! と在日ファンクと交わった事で、ハマケンが違う物体になったというか…立ち位置にいるような感じがしますね。ジュンさんや上野さんとハマケンの関係はもちろんバッチリ合うんだけど、ROYくんはそれとは一線を画すというか。
浜野:へ〜。ヒール役ってのはどう? 俺が。なんか、登場してオラー! ってやって、わざと負けるみたいな(笑)。いや、わざとじゃなくても、負けるな(笑)。
久保田:いやいや、そうじゃないでしょ。
村上:うん、全然違うと思う(笑)。
久保田:ハマケンはやっぱり在日ファンク側だったんだなって、っていう感じかな。
村上:あぁ、そうだね。例えば、ジュンさんとハマケンだと、皆で在日ファンクって感じがするでしょ? それは、ジュンさんとやってたスペシャボーイズとか、これまでの関係性もあるんだけど。ROYくんが入ってくる事で、ハマケンはこっち側なんだって。
浜野:うーん、たしかに。今回の醍醐味な部分ではあったかな。
村上:だから、そういう立ち位置も含めて3作を聴く比べてみても面白いかもね。
── 今回のコラボ・シングルには、在日ファンク単体のオリジナル曲も収録されています。“ファンク”というと、セッションを元に楽曲が生まれるイメージがあるのですが、やはり基本的にはセッションから曲が生まれるんですが?
浜野:セッションだと仕切る人が必要じゃないですか? 僕はそれが出来ないんですよ。でも、曲を完成に近い形まで作ってメンバーに渡して…って事も出来ないんですよ(笑)。だから、ある程度作ったものをメンバーに提出して、赤点くらって、ダメ出しをされながら仕上がっていくって感じですね。僕はいつも「出来た!」って感じで持っては行くんですけど…。
村上:在日ファンクって型があって、そこにハマケンの持って来た曲をはめるけど、はまり切っていないところがあって、修正しながら仕上げるって感じです。あと、在日ファンクってバンド名ではありますけど、特にファンク・バンドだとは思ってないですね。もちろん、ファンク・ミュージックは好きだけど、それを在日ファンクでストレートに体現しようという訳ではないですね。ハマケンが持ってくる曲って変なのが多くて、構成やアレンジも変だし。だから、ファンク的でも違うものになった方が面白い、って感覚がありますね。それが、在日ファンクの特徴でもあるような気がします。あと、歌詞も普通じゃないですしね。
バンドにとって今年のビックウェーブ
── メロディーに対する歌詞ののせ方や、言葉のチョイスが独特ですよね。
浜野:いやぁ、歌詞は皆の前で歌うのが恥ずかしくて(笑)。メンバーが茶化したりするんですよね。
久保田:いや、あれは面白いなって思って聞いてるんだよ。
村上:「バカだなー」って思いながら(笑)。
浜野:ま、それで鍛えられたってのはあるけど。
村上:バンドメンバーが最初のお客さんみたいなもんだからね。
── 言葉の響きに、こだわりを感じます。
浜野:こだわりというか、しっくりこないと恥ずかしいじゃないですか。ライブとかでお客さんを巻き込みたいけど、ただ「イェーッ!」ワーッ!」だけじゃ薄いし。それをやたら叫んでても恥ずかしいし、まったく意味の無い言葉をのせるっていうのは、なんかつまらないですよね。で、そうなった時に、ものすごいグレーゾーンのところに答えがあるって気付いたんですよ。そんなのを教えてくれたのがZAZEN BOYSだったりするんですよ。
── たしかに、初めて在日ファンクを見た時は、ZAZEN BOYSの持つ匂いを感じました。特に歌詞の部分で。
浜野:“笑っちゃうくらいにどいつも同じ”って歌詞が特に好きで、すげーカッコいいなって。それをずっと言ってるだけなのに、やっていくうちに、無意味に近くなっていくのが良いですよね。
── なので、ZAZEN BOYSとの共演してほしいというのは常に頭にあって。そして、念願叶って、11/21に対決が実現しますが、意気込みなど聞かせてもらますか?
久保田:…緊張するね(笑)。
浜野:うちのメンバーって、バラバラのシーンの人たちの集まりだから、興味を持っている部分も違うんですよ。でも、ZAZEN BOYSは皆好きなんですよね。そんな中で共演が実現したっていうのは、在日ファンクも面白い方向に向かってるんじゃないかなって思いましたね。なので、来るべくして来た! みたいな。ま、早過ぎるピークではありますけど(笑)。11/21の反響も内外で凄いあるんで、尋常じゃなく気合いを入れて、喰うつもりで、ね?
久保田:うん。これ、ZAZEN BOYSも同じような気持ちでやってくれたら、凄い日になりそう。
浜野:…ああ、まぁ、俺らが頑張ればすごい日になるよ。ZAZEN BOYSはいつでも気合いが入ってるからさ。
久保田:ホーン隊も危機感を持ってます。
浜野:ホーン隊が一番危機感が無いですからね(笑)。
浜野:この戦いを乗り越えれば、かなりタイトなバンドになると思いますね。当日は、挨拶して手を差し伸べられてもパンッ! みたいな(笑)。
久保田:終わるまでしゃべりません。
村上:いやいや、怖いよ。そんなこと出来ない。でも、対決ですよね、本当に。濃縮したものを出したいね。
浜野:踊り、もっと練習しなきゃ。
村上:疲れちゃだめだね。
浜野:衣装替えするでしょ?
村上:あ、そうだね、休むポイントもちゃんと作らなきゃね(笑)。
浜野:結構、バンドにとって今年のビックウェーブなんで。1年の総括的な。生きるも死ぬも、この日次第。ま、脇目もふらず。次のことは考えずに。もし、2ndアルバムで癒しの音楽を作ってたら、「あ、心が折れたんだな」って思ってもらえれば(笑)。