トップ > インタビュー > THE STREET BEATS('09年10月号)

THE STREET BEATSが今年、結成25周年を迎えた。バンド結成当初から、初期パンク〜ガレージをルーツにしたストレートなロックンロールを貫き、自らの生を刻み込むような歌を響かせてきた彼ら。その生々しい存在感は、6月に行われた新宿LOFTでのライブを収めたDVDとCD(『GO STRAIGHT!〜25TH ANNIVERSARY LIVE〜』)、ベストアルバム『軌跡〜25TH ANNIVERSARY BEST 1984-2009』からも強く伝わってくる。「自分らの曲はドキュメンタリーみたいなもんだから」というOKIに四半世紀に及ぶバンドのキャリアを振り返ってもらった。(interview:森 朋之)

バンドを引っ張ってくれた曲を基準に選んだベスト盤

──結成25周年を記念したアイテムが続々と登場してますね。まず、6月27日、28日に新宿LOFTで行われた2DAYSを収録したライブDVDとライブCD(『GO STRAIGHT!〜25TH ANNIVERSARY LIVE〜』)がリリースされますが、このライブの手ごたえはどうだったんですか?

OKI(以下同)「LOFTは長いことホームグラウンドみたいにやらせてもらってる場所なんだけど、2DAYSは久しぶりだったんですよね。お客さんも、25周年のアニーバーサリーということで、期待してくれてたところもあると思うし。とてもいいライブだったと思いますよ」

──初日と2日目ではセットリストが15曲も違ってたそうですが。

「自分らはもともと、普段のツアーでもどんどんセットリストを変えていくタイプのバンドなので。もちろん、25周年の記念ライブでやっておきたい、刻んでおきたい曲っていうのもあるからね。4月にニューアルバム(『さすらいの歌』)が出たばかりだったから、新曲もちゃんとやりかったし。2DAYSでちょうど良かったですね」

──さらにベストアルバム『軌跡〜25TH ANNIVERSARY BEST 1984-2009』も。22曲で78分オーバーっていう、CDの限界まで収録されてますね。

「うん、ギリギリですね(笑)。なるべくたくさん入れてあげたかったからね、やっぱり」

──これだけ収録しても、選曲は大変だったんじゃないですか?

「すごく苦労した。お客さんひとりひとりに"マイ・ベスト"があるじゃないですか。フェイバリット・ソングというか、思い入れのある曲っていうものそれぞれ違うだろうし。まぁ、ひとつの基準としては、バンドをここまで引っ張ってくれた曲ですよね。それぞれの時期にビーツを引っ張ってくれた曲っていうのがあるから、そのへんはやっぱり入れたかったですね」

──もちろん、今もリアルタイムで演奏してる曲ばかりだし。

「そうだね。自分たちの中で懐メロになってないというか、現役の曲ばっかりだから。その時代によって、音の変化っていうのもあるんだけどね。レコーディングの方法も含めて、いろいろと試行錯誤を重ねてきて。それもひっくるめてのヒストリーだと思うんですけどね」

──25年間の重みがありますよね、このベスト盤にも。いくつか曲をピックアップしながらこれまでのキャリアを振り返ってみたいんですが、まずは『BOYS BE A HERO』から。アルバム『NAKED HEART』の1曲目に収録されていた曲ですが、リリースは'88年ですね。

「曲を書いたのはその2年前のユ86年だから、二十歳の時だね」

──書いたときのことは覚えてますか?

「バンドを組んで2年経ったくらいの時期なんだけど、それなりにライブもちゃんとやれるようになってきて...まぁ、田舎(広島)での話ですけどね。そろそろ、"これが代表曲だ"って胸を張れるような曲が書きたいって思って。今もラインナップから外れてないし、本当に代表曲になって良かったなって思いますけどね。歌ってることも普遍的なことだし」

──そうですね。誰の真似でもなく、"自分のフォームで"生きていくんだっていう。ビーツを象徴する曲ですよね、間違いなく。

「バンドのことよりも、"お客さんにとって"ということだと思いますけどね。たとえば15歳とかでビーツを聴き始めた人が、いまは30代、40代になってるわけじゃないですか。そういう人たちにとって、今も何かを感じてもらえるというのが大事なことだと思うから」

自分らにはこれしかなかった

──'88年当時、バンドの将来像についてはどう捉えてたんですか?

「いやいやいや、まったくもって何も考えてないよ(笑)。バンドを組んだときから"絶対にプロで音楽をやっていくんだ"とは思ってたけど、そのほかのことはまったく考えてない。10年、20年先のことなんて、想像すら出来てなかったね。それを考えてたら、二の足を踏んでたかもしれない。だいたい、計画性があったら、こんな人生にはなってないよ(笑)」

──そうかもしれないですね(笑)。計画性のある人は、バンドを選ばない?

「うん、そうだと思う。自分らにはこれしかなかったけどね。バンドというか、ビーツだけだったから」

──『約束できない』は、まさにビーツが広島から上京してきた時期の曲ですよね。

「そうですね。ホントにこの歌詞のまんまですよ。先のことは何もわからないし、どっちに転ぶかもわからない。でも、前に進むしかないっていう...。まあ、転んだら転んだで、また起きればいいさ、って思ってたからね。実際、そういうことの繰り返しだったし」

──でも、音楽的な方向性はハッキリしてたんじゃないですか?

「いろんなことをやってみたい、って思ってましたね。たとえばメジャーデビューして、もっと予算を引っ張ってこれるようになったら、フルオケを使ってみたいとか。あと、ロンドンでマスタリングとかね。そういうことは考えてたかな」

──ロンドン・レコーディングは実現しましたよね。ベスト盤でいうと『BARRIER CRASH』あたりがそうですよね。

「うん。たまたま世の中の流れとリンクして、そういうことが実現できたわけだけど。でも、音は良かったですよ、やっぱり。音の乾き方が違うっていうのかな」

──もちろん、イギリスのパンクロックはビーツのルーツになってるわけだし。

「まぁ、最初のインパクトっていうのはデカイですからね。マッチョなオッサンたちがやってる音楽よりも、ロンドンの痩せぎすの連中がやっている尖った音楽のほうがわかりやすかったというか。パンク、ガレージ、もっと遡ってストーンズ、ビートルズ。カッコよかったよね、それは。近いところで鳴ってるっていう気がしたし」

──なるほど。それ以降、バンドの音楽性に影響を与えるような出会いはなかったんですか?

「なかったですね、そう考えてみると。もしかしたら、いろんな影響を受けることを拒否してたところがあったかもしれない。バンドを組んだ瞬間から、聴くものから演るものに変わったというか。単純に楽しいからね、自分たちでやるほうが」

──では、音楽に向かうモチベーションに変化はありますか?

「うーん...。ライブに関していえば、お客さんが集まってくれることに対する喜びはデカくなってますね、昔より。今のビーツのライブには、いい大人たちが集まってくれるわけじゃないですか。それぞれ、いろんな事情を抱えているに決まってるんだけど、そんな人たちが金と時間を割いてわざわざ足を運んでくれてるんだから。ありがたいことだよな、って思いますよ。今回のライブDVDもそうだけど、お客さんがすごい嬉しそうな顔してるんだよね。それを見ることがものすごく嬉しい。そういうのって、二十歳くらいのときはなかったかもしれないね」

──20代のときは"どうだ、すげえだろ"っていう感じだった、とか?

「そうかもしれない。でも、それでいいとも思うし」

ペダルを漕ぎ続けてないと倒れてしまうチャリンコみたいなもの

──『少年の日』の歌詞にあるような、

「この胸のすべてを熱くするSomething」を求めている感覚は今でもありますか?

「うん、あるよ。若いときとまったく同じ質の情熱かどうかは、わからないけどね。何て言うか、どんな仕事でもそうだけど、温度をキープするって大変だと思うんですよ。キャリアを重ねるごとに、求めるものも変わってくるかもしれないし。でも、それが表に出てるかどうかは別にして、何かを求めてるっていう気持ちは強くなってると思う」

──なるほど...。僕、来年40歳になるんですよ。この年齢になっても、解決できないことってたくさんありますからね。

「わかります。問題の根深さに気づいてしまうというか。とっくに気づいてたはずなんだけど、解決できないこともあるし」

──愕然としますよね。

「愕然とするね、ホントに(笑)。たぶん、そのあたりも含めて、自分らの状態っていうのが出てるんだと思うけどね。音楽でも映画でも小説でも、作り手のことが見えてくるっていうのがおもしろいところだと思うし。それを過剰に見せつけられると"ちょっとカンベンしてほしい"って思っちゃうけど、そのあたりはバランスを取りつつ」

──それも、バンドを続けてきたからこそわかることですよね。ビーツは25年間、一度も長い休止期間がない。それはホントにすごいことだと思います。

「ペダルを漕ぎ続けてないと倒れてしまうチャリンコみたいなもんだから。大きな後ろ盾があったこともないし、やり続ける以外になかったからね。とは言え、周りには恵まれてると思うけどね。捨てる神あれば拾う神ありっていうところで、こうやって続けられてるわけだから」

──じゃあ、「あのときはきつかった」っていう時期も...。

「めちゃくちゃあるよ(笑)」

──そうですよね(笑)。

「風向きがいいとか、安定してるときのほうが少ないから。でも、それも織り込み済みだけどね。ロックで生きるっていうのは、そういうことだと思ってたから。だた、ビーツっていう看板を書き換えようとか、下ろそうっていうのはなかったね、一度も」

──強い覚悟ですよね。まさに"十代の衝動"がずっと続いてるっていう...。

「でも、『十代の衝動』は30になって最初に書いた曲なんだよね、逆に」

──30代を迎えて、もう一度根本の部分を確認したかった、と?

「そうでしょうね。その頃もかなりきつい時期だったからね。"またここから、バンドを引っ張っていってくれる曲がほしい"って思って......これが書けたときは、"よし!"って思ったけどね。これでまた、10年は続けられるなってSEIZIとも話したし。実際、10年以上、演り続けてる曲になったからね」

──ひとつの節目だったんでしょうね。40代になって最初に書いた曲っていうのもあるんですか?

「正確には30代の終わりなんだけど『拳を握って立つ男』。これもやっぱり、そのときの気持ちが入ってるよね。自分の中で"これを刻み込んでおきたい"っていうものは、時期によって違うだろうし。さっき言ってた"愕然とする"っていうフレーズも出てくるんだけど(笑)」

──愕然とするような出来事があったんでしょうね。

「そうだね。でも、"じゃあ、そこからどうする?"っていうことだからね、大事なのは。だって、へこみっぱなしでは終われないでしょ。同世代のリスナーも、きっとそういうところで響き合えたところがあるんだと思う」

歌は自分のドキュメンタリー

──年齢を重ねて、現実を知って。その上でビーツの曲を聴くと、よりリアルに感じるというか。

「激動だからね、ほんとに。予定どおりにいってる人なんて、ほぼいないはずだから。歌のおもしろさ、日本語で歌うことの意味っていうのは、そこにあると思うんだよね。それぞれのリスナーの状況だったり心境だったりに重なるかどうか。それはずっと大事にしていきたいよね」

──それは若いころから考えてたことですか?

「いや、考えることではないね。自分のドキュメンタリーみたいなものだから、歌は」

──あー、なるほど。

「俺はもちろん、ものすごく裕福な家庭に生まれたとか、恵まれた環境で育った人間じゃないから。言ってみれば、フツーの人なんだよね。そういうフツーの人が書いて歌ってるんだから、リスナーと重なる部分があって当然だとも思うし。よく言うところの、等身大っていうか。嫌いだけどね、等身大っていう言葉は」

──どうしてでですか?

「等身大じゃない歌って何? って思うから。等身大じゃないとしたら、どのへんから見下して書いてるの? って」

──職業作詞家の場合は、等身大ではないケースもあるでしょうけどね。

「うん、それはファンタジーとして成り立ってるものだから、いいと思うんだけど。自分はドキュメンタリー作家なんだろうね、そういう意味では。まぁ、そういうことも最初からわかってたわけじゃないけど」

──25年ですからね。ドキュメンタリーもかなり厚みがありますよね。

「(笑)でも、そうだね。ひとつひとつ、鮮明に記憶に残ってるからね、どの曲も。そのときのことを曲の中に細かく書いてるわけではないけど、自分たちはわかってるから。それがこうやって作品として残るんだから、ありがたいよね」

──映画「クローズZERO」「クローズZERO II」のオープニングテーマにもなった『I WANNA CHANGE』のメッセージも深いですよね。変わり続けるんだ、っていう。

「留まっているってことが、ロックから一番遠いと思ってるから。どんな仕事でもそうだけど、キャリアを重ねて時を経ていくうちに、変わらないもの変わっていくものが見えてくるんだろうし。だって気持ち悪いよ、この年齢になっても、16歳の感性のままだったら」

──確かに(笑)。

「よく言うじゃない、"いつまでも少年の心を失わない"とか。言わんとすることはわかるんだけど、そういうことを平気で言える人たちは信用してない。お近づきになりたくないね(笑)」

──どこかにウソがあるというか、不自然ですよね。

「うん。ちゃんと今を生きている中で、何かの拍子で自分の青臭い部分が見えてくるっていうことはあると思うけどね。そのときに感じてる気恥ずかしさもリアルだと思うし。すげぇ情けないんだけど、"まあ、これもアリかな"っていう。その部分だけをデフォルメされると気持ち悪い、っていうことだよね」

──逆に変わらないところもありますか?

「うん、見えてくるよね、良くも悪くも。たぶん、それが自分らの本質ということになるんだろうけど」

──レコーディングのスタイルについてはどうですか? このベスト盤を聴いてると、基本的なスタンスは変わってないと思うんですが。

「うん、基本的には変わってない。でも、もっと突き詰めたいっていう気持ちはどんどん強くなってるから。まぁ、丁寧にやってるほうだと思うよ、こういうスタイルのバンドにしては。出来上がってる音はシンプルなんだけど、そう聴こえるように作ってるから。その過程においては、かなり手間がかかってる」

──細部まで作りこむ、ということですか?

「いや、そういうことでもないんだけど、"3日でフルアルバムを録りきる"とか、安かろう、悪かろうという作り方はしないっていうことかな。方法論は何でもアリだし、"一発のカッコ良さ"を求めるのもいいと思うんだけど。やりたいことをやるためには、環境を整えないとダメなんだけどね。そのためにがんばってるわけだから。特に自分らはずっとセルフ・マネージメントだからね。3年目くらいから、全部自分たちでやるようにしてるから」

──この25年の中で、音楽シーンも大きく変わりましたよね。

「そうだね。音楽が軽んじられてきてるのは、間違いないと思う。よく"CDが売れなくなった"なんて言うけど、当たり前だよ、そんなの。あれだけ安売りしたんだから。最近はライブに人が戻ってるっていうけど、それも本当なのか...。もちろん、そうなっていけばいいなとは思うけど」

──でも、悲観してるわけではないですよね?

「悲観でもなく、楽観でもなく。そういうふうになってるんだなっていうだけ。自分らはもう、凌いでいくしかないんだから。紙媒体も大変でしょ?」

──はい、凌ぎまくってます(笑)。ビーツは10月から新しいツアー(25TH ANNIVERSARY TOUR VOL.2"GO STRAIGHT!"2009)もスタートしているし、来年以降もこのまま走っていくんですよね?

「うん、やるべきことをやるだけ。それしかないよ」



結成25周年記念ライブDVD
GO STRAIGHT! 〜25TH ANNIVERSARY LIVE〜

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GO STRAIGHT! 〜25TH ANNIVERSARY LIVE〜

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Live info.

★25TH ANNIVERSARY TOUR VOL.2 "GO STRAIGHT!" 2009★
10.11(日)千葉 LOOK
10.12(月・祝)横浜 BAYSIS
10.24(土)豊橋 LAHAINA
10.31(土)京都 MUSE
11.01(日)神戸 WYNTERLAND
11.03(火・祝)熊谷 HEAVEN'S ROCK VJ-1
11.08(日)つくば PARKDINER ※EVENT
11.12(木)福岡 DRUM Be-1
11.15(日)姫路 Beta
11.21(土)浜松 MESCALIN DRIVE
11.23(月・祝)さいたま新都心 HEAVEN'S ROCK VJ-3
11.28(土)仙台 CLUB JUNK BOX
12.05(土)大阪 MUSE
12.19(土)東京 渋谷 O-WEST
12.24(木)名古屋 CLUB QUATTRO
12.26(土)広島 NAMIKI JUNCTION ※TOUR FINAL