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【ライブレポート】苗場の夜に現れた祝祭空間。今とあの頃が交錯するハレーション。MONDO GROSSO、FUJI ROCK FESTIVAL'17 2017.08.08

5611_MONDO GROSSO① 大沢伸一.jpg5611_MONDO GROSSO⑪ bird.jpg5611_MONDO GROSSO⑬ Kick a Show.jpg
 
今年のFUJI ROCK FESTIVAL '17 、7/29(土)のベストアクトとの呼び声が高いMONDO GROSSOのレッドマーキーでのLIVE。14年前のMONDO GROSSOを知るファン、知らないファン、それぞれの思いを“音楽”でまとめ上げた至福の時間をLIVE写真と共にレポートする。
 
MONDO GROSSO @ FUJI ROCK FESTIVAL 2017/7/29。
苗場の夜に現れた祝祭空間。今とあの頃が交錯するハレーション。
 
タイムテーブルを広げて、ひとしきり悩んだのだ。同時刻には、ホワイトステージのLCD SOUNDSYSTEM。そこからレッドマーキーへ急いでも、短く見積もって15分はかかる。決断を保留にしたまま、当日の朝、大沢伸一と東京スカパラダイスオーケストラの谷中敦の対談を読んだ。「フジが終わらないことには、今、MONDO GROSSOとしてライブというかたちで何ができるかわからない」という大沢の言葉。今日この日苗場にいられるのなら、MONDO GROSSOのライブを見逃す手はないのではないのか。直感的にそう思った。
 
たどり着いたレッドマーキー。人の波をかき分け、PA前中央に陣取る。フジロック土曜日の夜を彩りつづけるTRIBAL CIRCUS。そのトップバッターがMONDO GROSSOだ。オーディエンスはどこか浮き足立ち、これから何が起こるのか、その瞬間を待ちわびていた。
 
23時を回ると流れてきたギターリフ。『惑星タントラ』がはじまる。アルバムでヴォーカルをとった齋藤飛鳥(乃木坂46)の声は、音源として再生される。バンドの生っぽさから対照的な無機質な歌声が、さらにその平熱な世界観を浮き立たせる。
 
今回は生バンドとヴォーカル音源によるライブ構成?そう思った瞬間、アコースティックギターを鳴らしていた女性が一歩前へ出て歌いはじめた。『SOLITARY』。作詞・共作曲を手がけた大和田慧だ。繰り返されるリバーブとディレイ、ダブのリズムが、伸びやかな歌声と絡みあう。続く『春はトワに目覚める』も彼女がヴォーカルをとる。
タイトなリズムパターンとミニマルなシンセ音。スピードを増す音の渦、スクリーンには断片的に投影される無機物と有機物。踊りつづけるオーディエンスは、次第にトリップしていく。
 
一転、響き渡るバンドサウンド。下手から現れたおだんご頭の女性は、シルエットだけでわかる。birdだ! 一気にフロアのボルテージが上がる。アルバムの『何度でも新しく生まれる』という表題は、birdが手がけた『TIME』の歌詞に出てくる。手を伸ばし、空高く届くように歌う彼女の姿に、生けとし生きるものの讃歌だと思った。
 
繰り返されるベースラインからはじまる『ERASER』。先ほどから当たり前のように聴いているものの、大沢伸一がベースを弾いているのを観るのはこれが初めてだ。MONDO GROSSOのベーシストとしてステージに立つのは約20年ぶりというから、無理もない。表情を変えずバンドを取り仕切る姿は、ターンテーブルを前にしようと、ベースを弾いていようと、あまり変わらないように思える。屋敷豪太のタイトなドラミングは、縦横無尽に行き交う音色をピシッとまとめる。フロントにはエレキギターを抱えた二神アンヌが立つ。焦燥感とヒリつくような熱。バンドとしての一体感がいよいよ高まる。
 
5611_MONDO GROSSO⑮ 二神アンヌ.jpg5611_MONDO GROSSO⑯ 大和田慧.jpg5611_MONDO GROSSO➆ 満島ひかり.jpg
 
近年、大沢とともに音楽制作に関わる北郷満春が『迷子のアストゥルナウタ』ではヴォーカルをとる。浮遊感漂うニューウェーブサウンド。フロアの天井にライン状に連なったブルーのキネティックライトが降りてくる。ゆるやかに弧を描く光景に、思わず手を伸ばす。『SEE YOU AGAIN』で登場したKick a Showの歌声には、青臭くほとばしるエナジーを感じる。続いて、大沢が2007年に個人名義で発表した『Our Song』。隆盛を誇るエレクトロに肉薄したこの曲は、当時クラブシーンのアンセムとなった。Kick a Showが歌った2曲は、確かにリンクするところがあるのかもしれない。ノスタルジックな情景を、刹那的に切り取ったようだった。
 
そして、暗転。ほどなくしてMONDO GROSSOが14年振りに復活を告げたリード曲『ラビリンス』のイントロが流れる。悲鳴にも似た歓声が上がる。まさか。満島ひかりが、レッドマーキーに現れた。本当に現れた! 前に押し寄せる観衆。流されてステージへと近づく。「見つめないで 哀しい方を」。かすかに震える歌声は、オーディエンスの熱に気圧されたのかもしれない。すぐに平静を取り戻し、透き通ったウィスパーボイスで歌う。その歌声は、ブルーの闇に吸い込まれていく。白いブラウスを纏った彼女は、MVでも見せたあのダンスを踊ってみせる。天使だ。2017年、この歌に出会えたことを本当に幸せだと思う。
 
閃光が7色に輝き、ブラジルのリズムが奏でられる。『LIFE』! 未だ色褪せないMONDO GROSSO最大のヒット曲だ。あれから17年という年月が、私たちに何をもたらしただろう。喜び、悲しみ、楽しみ、憤り……。手を叩き、歌うbirdがフロアにマイクを向ける。にわかに沸き起こるシングアロング。ここは、今を生きる私たちにもたらされた祝祭の場だ。タガを外したオーディエンスの歓声に、壇上のメンバーからも笑みがこぼれる。
5611_MONDO GROSSO④ 満島ひかり.jpg
5611_MONDO GROSSO➂ 大沢伸一.jpg
 
鳴り止まぬ拍手の中、大沢伸一がこの日はじめて口を開いた。「ありがとう、MONDO GROSSOでした。また!」その言葉を信じるなら、きっとまた会えるはず。その瞬間が、そう遠くないことを心から願っている。(※Text by 大矢幸世 ※Photo by Mariko Kurose)
 
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