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COLUMN

回「恋せよ、破天荒」

第十回「恋せよ、破天荒」

2018.01.03

目が覚めて、隣りで眠る彼を見つめてる瞬間がとても幸せだった。
 
お正月、最高の冬休みを楽しむようにふたりで朝寝坊をした。
彼のあどけない寝顔を見ているのがとても好きだった。
彼を起こさぬよう、あたしは携帯でSNSを眺めていた。
 
そのとき、なんとなく彼が前に浮気をした女のことを思い出した。
彼のバイト先にそんな女がいた。
浮気発覚後、その女はバイトを辞めたと言ってたけど。
 
軽い気持ちでその女をSNSで探してみた。
アイコンがプリクラだったのですぐに特定ができた。
 
昨日の投稿から過去に遡っていると、その女がまだ彼のバイト先にいることが分かった。年末のバイト先の忘年会という写真でふたりは隣り同士で映っていた。
 
じゅわっと頭に血が昇る感覚がやってくる。
一瞬にしてスイッチが入り、もっと時を遡ってみることにした。
 
クリスマス、この日は彼が遅くまでバイトだったので会わなかった。
 
24日の深夜の投稿、その女の家に彼がいた。
クリスマスツリーにピザ、笑顔の2ショット写真。
恋人同士にしか見えない。
 
さっきまで愛しく見えていた寝顔に憎しみを覚える。
 
すぐに彼を起こし、自分の携帯に映った女との2ショット写真を見せた。
「この写真、なに?」
 
寝起きの彼の表情が一瞬にして青白く変わる。
「ごめんなさい。すぐに別れるから。」
嘘をつけない男だった。
 
彼の言葉を信じることができなかったのは、7回目の浮気だったから。
 
土下座をする彼を無視して、荷物をまとめ、テーブルに合鍵を置き、スッピンのまま部屋を出た。
 
外に出ると真冬だと言うのに春一番のような生温い風が吹いていて、なんて年の始まりなんだろうって思ったら涙が勝手に零れだした。
 
バスが来るのを待ちながら、追いかけてきて欲しいと何度も願った。
 
バスを3本見送った後、また少し泣いた。
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