小さい頃に屈辱的な体験をしたことがある人はこれから書く気持ちを分かってくれると思いますが、ふとしたきっかけで閉じ込めていた感情と言うか、負の記憶が爆発して溢れ出すことがあります。
 私、すっかり忘れていた記憶があったのですが、小学一年生の時に担任のO先生(女性)が短期留学だったかそれも記憶が定かでないのですが、とにかく二学期の途中から一年生の終業式くらいまで外国(カナダ)に行ってしまったことがありました。
 O先生は、おそらくですが私のことをほんのちょびっと贔屓していたと子ども心に感じていました。と言っても、本当にちょっとだけと言うか、人間誰しも接する人に対しては平等な気持ちで接したいと思いながらも、この人は自分に合うなとか、この人はちょっと苦手だななどの無意識の意識というものが働くような、それくらいのものだったと思いますが、好意というのは伝わるもので、O先生は私がお気に入りの生徒なんだろうな、ということはなんとなく肌で感じていたけれど、決して嫌なものではなくむしろ嬉しいという感情が勝っていました。
 私もO先生がとてもいい人だなと思っていたし、単純に自分が気に入った人・好きな人に好かれているということは嬉しいもので、O先生が外国へ行ってしばらく会えない(毎日会っていた人に急に会えなくなることへの寂しさ)というのはとても辛く悲しいことでした。
 小学校に入学して間もなく、O先生が長期不在になるという事態に見舞われた私たち一年二組の生徒は、他のクラスに十数人ずつ出席番号順に里子に出されました。
 私は一年四組に振り当てられ、四組の担任の先生は、まだ若い女性でした。
 でも、なんとなくこの人、私のこと嫌いなんだろうなという気持ちを感じてしまい、どうにかO先生が帰ってくるまで目立たずおとなしく過ごそうと思っていました。
 なぜこの若い女性教師(名前すら覚えていない)が私を嫌っていると感じたのか、それは事あるごとに誰かが何かやらかした時、無関係なのに一緒に叱られることが多かったりとか、他にもいろいろ理由はあるけどなんか気に入られてないんだな、目の敵にされてるなと感じていたからです。
 なので、できるだけ目立たないように日々をやり過ごそうと思っていた矢先、工作の授業みたいなので生徒の作った作品(という名のガラクタ)を展示していた時期があったのですが、クラスメイトの作品(という名のガラクタ)を眺めていると、部品の一部が取れていることに気づき、何気なく「あ、壊れてる」と思って、それをひょいと拾い上げたのです。
 「あー! 浜崎が壊した!」とクラスメイトの誰かが叫びました。
 「違うよ、最初から壊れてたよ、部品が落ちてたから拾っただけ」と言っても、そのバカが「浜崎が壊した! 壊した!」とお前が壊れたロボットかよとばかりに繰り返すので、周りにいた人たちがザワザワし始めました。
 あー、誤解されちゃったなと、とりあえず場を丸く収めようとした時に例の女性教師が登場し、私の言い分も聞かずに「謝りなさい」と言うではないですか。
 もう意味不明ですよね、何を言っても聞き入れてもらえずに「お前は悪いことをした、謝れ」の一点張りで、もう絶望ですよ、これからまだ四組で過ごす時間はたっぷりとあるのに、勝手に犯人扱いされちゃ居心地が悪くなるし、正直地獄でした。
 そして驚くべきことに、なんと私、そこからO先生が戻ってくるまで、つまり二年生に進級するまでの記憶が一切ないのです。
 これ、よっぽど嫌だったんだなと思います。自分を滅却して過ごさないと保っていられないくらい、濡れ衣を着せられたことは子ども心に屈辱だったんだろうなと思います。
 なぜこのことを思い出したのかと言うと、人と話していた時にそう言えば小学校の頃に濡れ衣を着せられたなと思い出して、それ以降、夢でそのシチュエーションを何度も見るようになったのです。
 私は絶対あの女性教師を許せないし、こんなこと許せないことだと思うんです。教育者の人もそうでない人もよく覚えていてくださいね、どちらか片方だけの言い分しか聞かずに物事を判断するような真似をしないでね。それ以来、あの女を大嫌いになったし、卒業するまで校内ですれ違うこともしたくなかったし、もの凄く憎んでいたけど、ここにこう書くことによって彼女に対して少し復讐できたかと思うので、まぁ良しとしても良いかなと、この話を終えたいと思います。
Blue Forest

FAMC-228
価格:2,200円+税
発売・販売:KADOKAWA
2016年6月15日(水)発売

amazonで購入

【収録曲】
01. 硝子のベッド(作詞・曲・編曲:浜崎容子)
02. 雨音はショパンの調べ(作詞:Paul Mazzolini/松任谷由実 作曲:Pierluigi Giombini 編曲:浜崎容子)
03. ANGEL SUFFOCATION(作詞:菊地成孔 作曲:浜崎容子 編曲:浜崎容子・成田忍)
04. 誰より好きなのに(作詞・曲:古内東子 編曲:浜崎容子・おおくぼけい)
05. Forever Us(作詞・曲・編曲:浜崎容子)
06. ねぇ(作詞・曲・編曲:服部峻)
07. Lost Blue(作詞・曲・編曲:浜崎容子)

 浜崎容子の6年ぶりのソロ・アルバム『Blue Forest』が好評発売中(FAMC-228/2,200円+税)。菊地成孔が作詞し、成田忍と浜崎が編曲する「ANGEL SUFFOCATION」、服部峻が作詞・作曲および編曲する「ねぇ」などの新曲を始め、小林麻美「雨音はショパンの調べ」、古内東子「誰より好きなのに」のカバー・バージョンを収録。「誰より好きなのに」のアレンジは浜崎とおおくぼけい(アーバンギャルド)が手がけている。

Live info.

浜崎容子ソロ・コンサート追加公演
Into the Forest 〜Encore
■8月14日(日)渋谷CIRCUS TOKYO

代官山UNIT 12th ANNIVERSARY LIVE『ご安心ください vol.1』
■8月5日(金)代官山UNIT(アーバンギャルド/藤井隆)

ゲンスブールナイト2016
■9月3日(土)六本木スーパーデラックス(浜崎&松永&おおくぼが参加)

アーバンギャルド Presents 鬱フェス 2016
■9月18日(日)TSUTAYA O-EAST(with:オーケンギャルド、ムーンライダーズ、大槻ケンヂ、PANTA、真空ホロウ ACOUSTIC BAND、アカシック、みみめめMIMI、夏の魔物、生ハムと焼うどん and more...)

AOMORI ROCK FESTIVAL '16 〜夏の魔物〜 10周年記念大会
■10月1日(土)青森県東津軽郡平内町夜越山スキー場

*その他のライブはオフィシャルサイトをご参照ください。

連載コラム一覧
  • おじさんの眼
  •  朗読詩人 成宮アイコの「されど、望もう」
  • さめざめの恋愛ドキュメンタリー
  • 今野亜美のスナック亜美
  • 大島薫の「マイセルフ、ユアセルフ。」
  • 能町みね子 新中野の森 アーティストプロジェクト
  • 能町みね子 中野の森BAND
  • アーバンギャルド浜崎容子のバラ色の人生
  • THE BACK HORN 岡峰光舟の ああ夢城
  • ゲッターズ飯田のピンチをチャンスに変えるヒント
  • 戌井昭人の想い出の音楽番外地
  • 最終少女ひかさ 但野正和の ローリングロンリーレビュー
  • 吉村智樹まちめぐ‼
  • いざゆかんとす関西版
  • エンドケイプの室外機マニア
  • 日高 央(ヒダカトオル)のモアベタ〜よ〜
  • ザッツ団地エンターテイメン棟
  • 劔樹人&森下くるみの「センチメンタル「非」交差点」
  • 三原重夫のビギナーズ・ドラム・レッスン
  • ポーラーサークル~未知なる漫画家オムニバス羽生生純×古泉智浩×タイム涼介×枡野浩一
  • the cabs 高橋國光「アブサロム、または、ぼくの失敗における」
  • “ふぇのたす”ちひろ's cooking studio
  • JOJO広重の『人生非常階段』〜今月のあなたの運勢〜
  • マリアンヌ東雲 悦楽酒場
  • 大谷雅恵 人生いつでも初体験
  • ジュリエットやまだのイケメンショッキング
  • ケラリーノ・サンドロヴィッチ ロック再入門
  • 岡留安則 “沖縄からの『書くミサイル』”「噂の真相」極東番外地編
  • 高須基仁 メディア論『裏目を読んで半目張る』
  • 田中 優 環境はエンタメだ!
  • 吉田 豪の雑談天国(ニューエストモデル風)
  • 雨宮処凛 一生バンギャル宣言!
  • 大久保佳代子 ガールズトーーーク!!!!!
  • DO THE HOPPY!!!!!