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成宮アイコ編集部日記タイトル

「されど、望もう」新しい選択肢は、わたしたちでつくろう 2016.09.28

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「されど、望もう」のリンクいろいろ
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そもそも計画を立てた当初は「いつもやっている『カウンター達の朗読会』は凝りに凝っているから、スピンオフ的な気軽なライブでもやろっか、ゆるゆるトーク雑談しながらとか、カッチリ決めない感じでさぁ〜」というはずだったのです。確か…記憶が定かならば…
 
ところが、これ。
会場ビフォーアフター。
何もないモノクロの世界(ラーメンズみたいな色合いだな)から会場全体を色が埋め尽くしました。
 
もう、スピンオフなのかなんなのか分からないくらい本気になってしまったわたしは、気づいたら例のごとく、やりたいことを思いついたまま、メンバーであり頭脳&実行班である絵描きのTokin氏に投げまくっていました。
 
「できるだけ出演者もカラーのない衣装にして、色のない世界からライブペイントで色をつけていく感じがしたい!」
 
「透明の空間に絵が浮いているみたいにして、絵とわたしたちが同じ世界にいるみたいにしたい。あとテーブルクロスとか使えば地面にも描けるんじゃない?視界全部を色で埋め尽くしたい。なんなら絵が出演者の前にあってもいい!」
 
 
さらに、気づけば、音楽班のタダフジカに構成を送りつけていました。
 
「今回は3部構成のライブにしたい。それぞれの意味を組み込むからMCは完全になくして、そのかわりにナレーションを入れたいので、タダさんの声でそれを読んでほしい。」
 
「なにが、ゆるトーク雑談しながらカッチリ決めないライブだよ!」と楽屋で二人から言われた件については、エヘヘとニヤニヤとして誤魔化しました。それでは振り返ってみましょう〜。
 
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ライブ構成中。打ち合わせに打ち合わせを重ね、何度も使いたい素材を探して歩きまわりました。結果、透明アクリル板に決定。しかし、透明は手に入れたけれど、それをどうやって支えるのか。「絵を書いている表情を見せたい!」パチンコ屋さんの新装開店の看板、びっくりドンキーのハンバーグの看板、メガネ屋さんのセールの看板、路上にはたくさんの看板が置かれている・・・参考にし放題!ということでひたすら歩き回っては看板の裏側にまわり、これはどうやって自立しているのか、と研究。
 
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タイムテーブルと絵を描く順番、3部構成の内容を組み立て、それぞれの立ち位置をまとめる。荷物の総重量や買うシートの面積を計算。何度も「これは詩の朗読のライブだよね?」とお互いに確認をしあいながらの作業でした。
 
<構想練り中のお互いインタビュー>
成宮がアイディア超放出モードのためTokinは不安気
 

 
構想がだいぶ固まってきたので、今度はTokinが強気モードにシフト
 

 
当日の荷物を目の前にして言葉を失い、さらに駅のエレベーターが工事中というアクシデントも演出のうち…と泣きながら到着した時点で相当な達成感を得て「終わった〜!!!」と叫びました。これからが始まりだよ!
 
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照明の位置と、あてていく順番を確認。ありがたいことに予約でソールドアウトとなったため、ステージギリギリまで客席になってしまい、見えにくくならないか席に座りながら何度も確認。最前列を少し削って、ステージ横から見える壁席を追加。
 
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いよいよ開演。真っ暗の中、タダフジカによるナレーションでスタート。
 
「今回のライブの中には、
ぼくたちだけではなく「あなた」も存在しています。
はたして、物語の中に入ってしまったのか、もともと物語に入っていたのか。
ぼくたちが生きる世界であなたが、
あなたが生きるせかいでぼくたちが、
この世界で一緒に生きているということを、もう一度、確認するために。
他人どうしが一緒に存在するとはどういうことか。
世界とは?
実感とは?
これはぼくたちの物語です。
されど、望もう。」
 
入場曲に合わせてTokinちゃんが会場を設置していく。地面に透明シートを広げ、左右に透明アクリル板を設置、ステージ背面には真っ黒の大きな紙、そしてライブのタイトル「されど、望もう」を。
 
1部は頭の中の世界。
一人で考えていること。頭の中のモヤモヤ。怒りと苛立ち。積もっていく不安。
Tokinは片方のキャンバスに「自分のカケラをちぎって投げる絵」を描いていきます。
 
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1部セットリスト
タダフジカ:「No woman No cry」
成宮アイコ&タダフジカ:くそくらえのハンドサイン
成宮アイコ&タダフジカ:最後の光 / 虚しさが残るのはなぜ
成宮アイコ&タダフジカ:この衝動はきみのもの
 
2部はそれぞれの想いが、互いに向かっていく様子。
再度、タダフジカによるナレーションでお話が進みます。
 
「ここまでは心の内側、ひとりぼっちの頭の中の世界のお話です。
ぼくたちの絶望はそれぞれ一人一人の中に積もっています。
それでも絶望しては歩み、絶望しては歩み、今日が来ました。
朝起きて、目覚ましを止め、窓をあけ、歯を磨く。
絶望しては歩み、絶望しては生き延び。
顔を洗い、服を着替え、ため息をつく。
死にたくなっては耐えて、逃げたくなっては泣いて。
深夜のコンビニのあかりに助けられた回数を
競い合うようなくだらねぇことを、あなたとしたい。
酔いつぶれて目がさめたときのこと、
大きな声をあげたくなる焦りのこと、
いつかほんとうに笑えるだろうか。
ぼくたちはいつかほんとうに笑えるようになるのだろうか。
一歩踏み出してみる、一歩踏み出してみようとした。
右足を一歩踏み出す、一歩という長距離。
夢のままでもいい。」
 
ここで、Tokinは1部で書き終わった絵を裏返し、完成系をお客様へ向けて、今度は反対側のキャンバスへ移動。「投げられたカケラを自分自身の体に縫い合わせていく絵」を描きます。
 
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2部セットリスト
成宮アイコ&タダフジカ:葛原りょうカバー「出会いは別れの暗喩」
成宮アイコ&タダフジカ:4文字じゃ足りない
成宮アイコ&タダフジカ:前例を捨てよ、町へ出よう(新作)
 
「前例を捨てよ、町へ出よう」は、相模原の事件からずっと心にあったことを書きました。わたしたちは、自殺をしたり人を殺したりしなくてすむ選択肢を作りたいからライブをやっています。その選択肢を選びたいし、選んでほしい。ないなら一緒に作りたいと思っているんです。
 
わたしたちは十人十色のワンオブゼムだ 
わたしたちは別々の人間だし 
同じ人間なんだよ 
別々の人間だし、同じ人間なんだよ
なんとでも言え、これが本気だ 
(「前例を捨てよ、町へ出よう」より)
 
2部が終わると、Tokinは2枚目の絵の完成系をお客様に向けて裏返します。
すると、最初は背を向け合っていた「自分のカケラをちぎって投げる絵」と「投げられたカケラを自分自身の体に縫い合わせていく絵」が向かい合います。
 
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透明に絵を描いていき、だんだん描き手のTokinが見えなくなっていくところまでは、キャッキャしながら「いいねそれ!」と言いあっていたのですが「裏返して披露するアクションがほしい」と伝えたところ、「完成系で裏返すと互いの絵が向かい合うようにする」というアイディアになって返ってきたときには、1部の頭の中の世界と2部の人と向かい合う世界が、目に見える形となった気がしてとてもドキドキしました。
 
そして3部へ。
最後のナレーションはわたし成宮。
 
「今日、この場所に来るまでの道。
今日、この場所に一緒に座っていること。
今日、この場所で過ぎていく時間。
今日、まぎれもなくあなたが生きていること。
今日、生きているあなたをわたしたちは見えている。
つまり、生きているわたしたちをあなたは見えている。
どんなに忘れたい現実があろうとも
ノンフィクションより愛が溢れるものはない
人となりが見える瞬間、
あなたの生きづらさが見える瞬間、
あなたの葛藤が見える瞬間、
そのときの愛の溢れ方は
ほんとうにかけがえがない圧倒的なものなんだよ
だからわたしたちは生きるバトンを投げまくり続けよう
命のことだけは諦めてる場合じゃない
自分のことを諦めている場合じゃない
生きてきた道を、もう一度、一緒に見ていこう、ね」
 
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そして今ここにいる現実世界へ。
タダフジカによる地元・北区滝野川の歌へバトンタッチ。最近、地元滝野川でライブをして、疎遠になっていた友人たちがライブに来てくれ泣いてしまったというエピソードもあるこの曲は、今回のライブの鍵でした。ここで急に、自分の半径1mのこと、現実のこと、確かに存在する土地・地名・風景のことをみんなで一緒に感じたかったのです。
 
続いて、いつかのツイキャスで「思い出すとつらいから忘れたいけど、でも大切だから忘れたくない思い出という厄介なものは、自分だけで持っていると辛くて爆発して捨てそうになるから、みんなで共有して一緒の引き出しに入れておきたいと思う…」と一人語りをしていたところから、みんなからエピソードを募集して、わたしが構築しなおして詩に組み込んで作った「その足元にまで」。
 
このときTokinはわたしたちの足元にしいた透明のビニールの上に、客席側から前に歩いていく人をたくさん描いていく。
 
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エピソートを教えてくれた方が会場にも何名かいらっしゃっていたので、その人に届くように、そして全員で共有できるようにとにかく丁寧に大切に、必死に読んだ。(このあと鼻水がとまらなくなって、タダフジカに「すぐ戻る」と耳打ちをして一瞬舞台裏にはけたくらい。)
 
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そして、ライブタイトルでもある「されど、望もう」はライブの一番最初にタダフジカが歌った「No woman No cry」を再度織り込みました。同じ曲、同じ言葉でも聴いた時間・場所・感情によって意味が異なったりする、それをみんなで感じてみたかったのです。
 
「everything's gonna be alright
 悲しけりゃ泣いたっていいんだよ」
 
と繰り返すタダフジカの声にかぶせて何度も何度も叫ぶ。
 
「されど望もう。明日また死にたくなってもされど望もう。
いつかまた死にたくなっても、されど望もう。
されど望もう。」
 
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Tokinはいよいよ舞台背面に張っていた最大面積の黒い紙へ。透明アクリルキャンバスに描いた二人の女の子が手をつないで入ろうとしているのは、会場となった「あさくさ劇亭」。地面を歩いている人たちが向かっていたのは、ここ、だった。この場所、今いる場所だったのです。
 
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3部セットリスト
タダフジカ:北区滝野川
成宮アイコ&タダフジカ:その足元にまで(新作)
成宮アイコ&タダフジカ: されど、望もう(新作)
成宮アイコ&タダフジカ:あなたのドキュメンタリー / 僕たちのドキュメンタリー
 
そして終演。
 
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知り合いだから / 友人だから=一緒にやっているというわけじゃなく、詩の朗読もギターも歌もライブペイントも、全部がお互いに存在する理由があって、それぞれの意味を補完するため、さらに伝わる形に補強するためで、全員が個人活動をしている中で、集まって一つのライブを組み立てていくこと。全部の工程に意図を込めて、毎回、構成しています。いただく感想やツイートで、その想いが伝わっていることが、とっても嬉しいし、今度はこの日に感じたことをスタートに、あなたの自分語りが聞きたいなぁといつも思っています。
 
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自分が死なないために始めた「詩の朗読」でライブをして、ライブペイントと音楽と合わさって、各地に行って、いろんな人に出会って、便宜上、詩と呼んでいたものがみんなの中でそれぞれの意味になっていくことは、一番望んでいる「言葉なんて手段として使いたいし使われたい」ということそのものだな、と思いました。
 
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11月3日にツーマンをする「スーパー猛毒ちんどん」のメンバーも会場に来てくださいました。本当は30名近くいるんだよ!人数では負けるけど、絶対負けない。覚悟しておけ!
 
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【ライブスケジュール】
【東京】2016年10月1日(土)
「おんがくのじかん7周年記念イベント・初日」@三鷹おんがくのじかん
【大阪】2016年10月9日(日)
「釜ヶ崎ソニック2016」@釜ヶ崎三角公園
【長野】2016年10月22日(土)
「生きづらさを抱えるすべての人への人間賛歌
〜Painting vol.1 〜」@Give me little more.
【東京】2016年11月3日(木・祝)
「スーパー猛毒ちんどんvs成宮アイコ+タダフジカ+Tokin
逆襲のロックショー~オレたちは馬小屋で産まれてない~」
@幡ヶ谷CLUB HEAVY SICK
【東京】2016年11月23日(水・祝)
青山祐己&成宮アイコ ツーマンライブ「ぼくの理由ときみの理由」@西荻アートリオン
【新潟】2016年12月11日(日)
こわれ者の祭典・新潟公演「LGBTを考えよう!」@新潟市総合福祉会館 多目的ホール
【大阪】2016年12月18日(日)
「成宮アイコ+釜凹バンドツーマンライブvol.2 in 釜ヶ崎・難波屋」@難波屋
【千葉】2016年12月23日(金・祝)
「吹く詩の宴 10周年アニバーサリーイベント」
【東京】2017年1月7日(土)
「こわれ者の祭典・東京公演」@新宿ロフトプラスワン
 
 
次の約束を作り続けるから、死ぬ前に会いたい。
 
 
 
プロフィール

成宮アイコ(なるみやあいこ):ロフトプラスワンで開催している”生きづらい人間集結!”を合言葉としてお笑いを交えたパフォーマンス集団「こわれ者の祭典」メンバー。ネイキッドロフトで不定期ライブ「カウンター達の朗読会」を主催。詩や短歌を絶叫朗読するスタイル。サブカルクソ野郎のテンプレを体現していたらついうっかりロフトへ入社。サブカルってマジョリティじゃん?と錯覚する毎日。

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