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創始者が自ら書き綴ったライブハウス「ロフト」の軌跡──

平野 悠・著
ライブハウス「ロフト」青春記

ロフトの歴史、それはすなわち日本のロックの歴史である

 まだ「ライブハウス」という言葉すらなかった時代──。坂本龍一、山下達郎、浜田省吾、サザンオールスターズ、BOφWY、スピッツ……日本のロックのパイオニアを数多く輩出してきた音の「ゆりかご」=ロフト。
 その41年に及ぶ波乱の歴史の黎明期を創始者・平野 悠が自ら書き綴った『ライブハウス「ロフト」青春記』が先月下旬に講談社から刊行された。本誌の連載コラム『ロフト35年史戦記』(2005年3月号から2010年7月号まで掲載)を大幅に加筆した壮大なフォーク/ロック・クロニクルだ。烏山(71年3月)、西荻窪(73年6月)、荻窪(74年11月)、下北沢(75年12月)、新宿(76年10月)、自由ヶ丘(80年6月)と、9年の間に6店舗のロフトを矢継ぎ早にオープンさせ、手探りのまま独自のコミュニケーション空間を構築していく様と知られざるミュージシャンたちの横顔は興趣が尽きない。  歌謡曲に対するカウンター・カルチャーとしてのロックが日本で市民権を得る過程において、ロフトが果たした役割とは一体何だったのか? また、既成の音楽に飽き足らず、若い表現者たちが発する“五線譜に乗らない音”を一貫して支持し続けてきたロフトのスタンスとは? それらが躍動感溢れる筆致で描かれた『ライブハウス「ロフト」青春記』を読めば、ロフトの歩みが日本のロックの歴史と符合することを実感できるはずだ。

 「こうして自分の半生を書き綴ってみて思ったのは、何やかんや言って僕の人生はロフトと共にあったということでしょうね。10年近いブランクはあったにせよ、こうして41年間ロフトとともに過ごしてきたわけだから。この本の中で書いたことはロフトにとってまさに青春だったし、日本のロックにとっても青春に当たる時代だった。だから『ライブハウス「ロフト」青春記』というタイトルにしたんです。それと、僕の人生においてお客さんとのコミュニケーションが凄く大事だったんだなと改めて思いました。僕はずっとお客さんに育てられてきたし、お客さんこそが先生だったわけです。出演者やお客さんとの信頼関係を築きながらライブハウスという心地好い空間を作り上げて、自分の人生を切り開いていった。その紆余曲折の様をこの本の中で余すところなく書き綴ったつもりです」(平野 悠)


【新宿ロフトとは…】

 1976年10月にオープンした日本のライブハウスの先駆者的存在であり、今なおアマチュア・バンドの登竜門として名高い(1999年4月に現在の歌舞伎町へ移転)。ロック・ファンやプロ・デビューを志す者にとって絶対的なステイタスを持つライブハウスである。
「新宿ロフト」のオープン前にも「烏山ロフト」(1971年3月)、「西荻窪ロフト」(1973年6月)、「荻窪ロフト」(1974年11月)、「下北沢ロフト」(1975年12月)がそれぞれオープンしていた(当時の店長に譲渡された「下北沢ロフト」以外は閉店)。


【著者プロフィール】

平野 悠 Yu Hirano
1944年8月10日東京生まれ。
大学中途にて学生運動をやめ、郵政省東京地方貯金局に潜り込み、新左翼労働運動に従事。ブント(共産主義者同盟)の歴史に残る革命的労働者組織「東貯行動委員会」を設立。ブント分裂の折、逃走。1968年、出版社芸文社に潜り込み、労働組合を作る。1年後指名解雇、指名解雇白紙撤回を勝ち取った後、脱サラ。
1971年千歳烏山にてジャズ喫茶「烏山ロフト」、翌年中央線西荻窪にてライブハウス「西荻ロフト」、その後、荻窪、下北沢、新宿、自由が丘にロフトをオープン。
1981年、日本を飛び出し、5年で84カ国を放浪。1987年ドミニカに日本料理店をオープン。1990年大阪花博のドミニカ政府代表代理、ドミニカ館館長に就任。1991年ドミニカ撤退。翌年ロフト復帰。1991年ライブハウス「下北沢シェルター」、1995年世界初のトークライブハウス「ロフトプラスワン」をオープン。著書に『旅人の唄を聞いてくれ!』(ロフトブックス/1999年12月刊)がある。2007年に社団法人音楽制作者連盟の「音楽主義AWARD」を受賞。現在はロフトプラスワン席亭、ロフトプロジェクト代表。

  • ライブハウス「ロフト」青春記
  • 平野 悠・著
  • 並製四六判/304頁/定価:本体1,600円+税
  • ISBN978-4-06-217709-2 C0095
  • 講談社・刊
  • 全国の書店にて絶賛発売中

講談社BOOK倶楽部


Live info.

『ライブハウス「ロフト」青春記』出版記念トークライブ
「創始者・平野悠が語るロフト41年史」

2012年7月12日(木)ロフトプラスワン
OPEN 18:30/START 19:30
前売 1,500円/当日 1,800円(共に飲食代別)
【出演】平野悠(ロフト席亭)
【MC】椎名宗之(ルーフトップ編集局長)
【ゲスト】KEITH(ARB)/仲野茂(アナーキー・SDR・ゲタカルビ)/高橋まこと(ex.BOφWY・De+LAX)他
『ライブハウス「ロフト」青春記』を講談社から刊行したロフト席亭・平野悠が40年以上にわたるライブハウス「ロフト」の歴史を自ら回顧! ロフトと縁の深いゲストを迎えつつ、無数の表現者とオーディエンスに支えられてきたロフトの存在意義、自著を通じて伝えたかったことなどを賑々しく語り尽くします!
前売チケットはイープラスにて発売中!
問い合わせ:ロフトプラスワン 03-3205-6864(18:30〜24:00)