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トップレビュー加藤千恵 「消えていく日に」

加藤千恵 「消えていく日に」

2018.09.12   CULTURE | CD

徳間書店
1,500yen+tax

 加藤千恵の短編集の特徴は、それぞれ独立した物語の中に1つの共通するテーマを持たせることで、全体としてより大きな物語、群像が浮かび上がる所だ。今作のテーマは「記念日」。誕生日、クリスマス、卒業式など様々な記念日を主人公の女性がひとりぼっちでどう迎えるかが9篇の物語として描かれている。「返信を待たない」では2年目の結婚記念日に夫の帰りを待つ女性が料理を作っている。「私が見ている景色と、夫が見ている景色は、同じように見えて、ずいぶん違うものらしい」と感じている主人公の心の揺れ、不幸とも幸福とも言い切れない物事の二面性を著者は巧みに捉えながら物語を進める。表題作「消えていく日」では、ハロウィンの日に街中の仮装行列に迷い込んだ年配らしき女性が主人公で、少しホラー要素も加えた不思議な物語。悲しい状況なのに読後ほっとした気分になるのが秀逸だ。思わず手に取ってみたくなる装丁も素晴らしい。(加藤梅造)
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