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トップレビュー沢木耕太郎 「流星ひとつ」 

沢木耕太郎 「流星ひとつ」 

2018.08.02   CULTURE | BOOK

新潮社
724yen(tax in)

 さすが、バックパッカーにとっての教本になった「深夜特急」の作者・沢木耕太郎である。沢木のドキュメント作品やインタビューは、実にリアリティがあり面白い。この本は、1979年引退直前の歌手・藤圭子にロングインタビューをした名本である。一挙に読みこなせる。藤は、インタビュアー沢木と、多分その一線を超えたところで親密な会話を交わしている。もしかしたら藤は、沢木耕太郎に好意を持っていたのではないか。「日本の芸能界を引退してアメリカで英語の勉強をする」と沢木をアメリカで待ったが、妻子のいる沢木は現れなかったらしい。その後、彼女は宇多田氏と結婚、娘ヒカルの大成功の15年後、新宿の高層マンションから飛び降り自殺をした。このインタビューは藤の精神の危うさ、彼女の過去の重さからかその「苦難の人生」を見事に表現していると思う。まさにインタビューの原点に迫っている。作者自身この本は忘れられないのではないだろうか。(平野悠)

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