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トップレビューあとは泣くだけ / 加藤千恵

あとは泣くだけ / 加藤千恵

2014.10.01   CULTURE | BOOK

集英社 / 497yen

 一見どこにでもいそうな普通の男女(または友達、親子など)の間に横たわる当人同士にしか分からない葛藤や心の揺らぎを繊細な文体で生々しく表現する加藤千恵。著者の作品はどれもハズレがないのだが、2012年に単行本として出され今回文庫化された本作はとりわけ傑出した一冊だ。加藤千恵の短編集は一編一編が独立したストーリーの中に、ある共通したテーマが設けられることが多いのだが、今作の場合は、主人公がかつて最愛の人からもらった物を発見することが物語の1つのきっかけとなっている。そしてこれはいつも不思議に思うのだが、彼女の作品を読むとなぜか自分自身のかつての出来事を思い出してしまう。まるで、本作の主人公達が無くしものを見つけたことから過去を回想していくように、それぞれの物語が記憶の中のどこかの扉を開けるのだ。これこそが加藤千恵作品を読む一番の醍醐味なのかもしれない。(加藤梅造)

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