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春へつづく/加藤千恵

2013.07.05   CULTURE | BOOK

ポプラ社 / 608yen

 本作は中学生や学校司書など8人を主人公とした短編集であるが、北海道のある中学校を舞台に描かれた1つの群像劇にも読める青春小説だ。ただし、青春という言葉からイメージされるはつらつさや躍動感とはほど遠い、出口のない鬱屈とした心の声を著者は丁寧に描写していて、登場人物のほとんどは、人間関係のわずらわしさを抱えながら日々をどうにかやり過ごしている。そして、この学校には卒業式にまつわる1つの言い伝えがあり、そのジンクスについて主人公たちがふと自分の願いは何なのかを考えることで、人生がわずかに変化していく。本人も気づかないようなごく小さな変化。それを読者がどう受け止めるのかが本作の1つの読み所と言えるだろう。巻末には著者と岡村靖幸との対談が収録されていて、共に十代の頃「何かに救われたい」気持ちがあったと回想しているが、私もまた彼らの小説や音楽に救われているのかもしれないなと思った。(加藤梅造)

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