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真夜中の果物 / 加藤千恵

2011.03.10   CULTURE | BOOK

幻冬舎 / 520yen

 加藤千恵の短歌は情景を切り取るのがとても巧い。例えば「必要のない音楽を聴いていた 泣くことだけは避けたかったし」(『放課後』収録)という作品を読むと、失恋したばかりの女の子が夜一人部屋で音楽を聴いている姿(あるいは帰りの電車の中、うつむきながらヘッドホンで音楽を聴いている姿?)が連想される。31文字の言葉が、読者を一瞬にして映画の1シーンの中に連れて行く力を持っているのだ。最近は小説の刊行が多いが、もともと歌人としてデビューした加藤千恵が最初に出した小説集が『ゆるいカーブ』。それを加筆して改題したのが本書となる。4ページほどの短い小説と短歌1首から成るショートストーリーが37篇収録されていて、1つ1つが恋愛映画の1シーンのようだ。世の中には人の数だけ恋愛ストーリーがあり、それぞれが喜びや悲しみ、決意や諦観などを抱えている。それらすべてが愛おしいと思えるような小説集だ。(加藤梅造)

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