Rooftop ルーフトップ

REVIEW

俺俺

2010.12.02   CULTURE | BOOK

星野智幸(新潮社)1,680円

俺が俺である必然性はあるのだろうか?
現代人の不安を暴く

主人公の「俺」はどこにでもいそうな会社員。そんな俺がある契機を境に増殖する。俺の家族は別の男を俺だと思い、知らないおばさんが俺のことを息子だと言いだす。設定は一見突飛に見えるが、テーマは切実でリアルだ。自分の代わりはどこにでもいる、自分がいなくても世界は回っていく。今日の社会に生きる誰もがさらされている虚無感。「俺がうちに暮らしているのは、おふくろや親父が俺を均だと思っているからにすぎない。入れ替わったって、均だと思う人間がそこにいれば、日常は続くんだ」。同じ価値観をもつ俺同士は、当然誰よりもわかりあえる。しかし俺が過剰に増えると、俺であることに耐えられなくなった俺が謀反を起こす。俺達は自分を信じられなくなり、互いに牽制しあい、殺しあうようになる。そうして極限に追い込まれた俺はある答えに到達する。ラストに賛否両論はあるだろうが、現代の価値観が行き着く先の可能性の一つが、確実に示されている。(LOFT/PLUS ONE:友利祐樹)

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