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トップレポート映画『BLUE/ブルー』トークイベントに東出昌大、

映画『BLUE/ブルー』トークイベントに東出昌大、

2021.03.31

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『ヒメアノ~ル』(16)、『犬猿』(18)の*田恵輔が監督・脚本を務める、映画『BLUE/ブルー』が4月9日より新宿バルト9他にて全国公開。
 
3月30日に代官山蔦屋書店でトークイベントを実施し、東出昌大と*田恵輔監督が登壇した。本作では一般客を前にしてのイベントは初めてとなり、東出は「皆さんの前で*田監督と1時間も話せるのがすごく楽しみです。監督のオリジナル脚本だからこそ描けるリアリティがあって、静かだけれども骨太で味わい深い映画だと確信しています。そして、そういう作品だからこそ語りたいものも多いので、今日はじっくり話せたらと思います」と挨拶。
 
最初に出演経緯を聞かれ、東出が「オファーを頂いて、もちろん脚本が素晴らしかったというのもありますし、*田監督と松山さんとご一緒できるならぜひ引き受けたいと思いました」と答えると、監督が「実はオファーして、まだ出演が正式に決定していない段階で偶然、釜山映画祭で東出さんに会ったんです。ホテルのチェックインでたまたま東出さんが前にいたんですよね。それが初めましてだったので、突然声を掛けて怪しまれないかと心配で、“東出さんですよね…?”とおそるおそる話し掛けました(笑)。その後エレベーターで一緒になったんだけど、“僕って階級は何になるんですかね?”と聞いてくれて、まだ返事はもらっていなかったけど、やる気はあるのかなと思い嬉しかったです」と、初対面でのエピソードを披露した。
 
東出は身体づくりやボクサーとしての精神面など、どのように小川という役と向き合っていったか問われると、「ボクシングの技術面での練習や身体づくりをすることによって、徐々にボクサーというものが分かっていったような気がします。ボクサーの精神性というのは身体と同時に培っていくものなんだと思います。実際に僕もトレーニングを続けることで、小川への印象が変わっていきました。トレーニングを始める前は、この作品では挫折や努力しても報われない結果というものが描かれているので、小川という役についても複雑さや虚しさがあるのかなって予測していたんです。お客さんが鑑賞後に暗い気持ちになったりしないだろうか、とも少し思っていました。でも、ジムに通ってトレーニングを続けているうちに、彼のラストが決してバッドエンドではないと思えたし、小川って本当に良い役なんだなと、台本を読んでいるだけでは感じられなかったキャラクターの広がりが自分の中にありました」と振り返った。
 
そして、初の*田組について「撮影現場で印象に残っていることがあるんですが、僕が演技をした後に“あ、なんか違うかな”と引っかかりを感じた瞬間があったんです。そしたら、僕の表情を見る前に監督から“もう一回”と声がかかったんですね。そういう俳優の些細な心の動き、目に見えない機微みたいなものをすぐに読み取る方なんだなと。あと、監督って現場になぜかぬいぐるみを置いていて、いつもそのぬいぐるみを撫でているんですよ(笑)。あれは精神安定の役割を果たしていたんでしょうか…?」と、ずっと気になっていたことを告白。監督は「どの現場でも置いていて、なんかぬいぐるみを持ってたら大きな声で怒鳴りづらいじゃない?わーっと声をあげそうになっても、“あ、ぬいぐるみ持ってるんだから冷静な言い方にしなきゃ”と思いとどまれるんだよね(笑)。あと、ぬいぐるみを持ってるだけでヤバそうな感じが出るから、これで若手の役者とかをびびらせてやろうかなって(笑)」と予想外の回答で会場を沸かせた。
 
監督自身がボクシングを30年以上続けてきたからこそ描けたリアリティについて、東出は「小川はパンチドランカーの症状が出てくるので、役の参考にするために、症状にまつわる実際にあった話などをいろんな方々に聞いたんですが、まさに脚本に書いてある通りの話でした。それで、改めてこれは監督が本当に30年ボクシングを続ける中で見てきたものなんだなと感じました」と語った。監督は「ボクシングっていうとカッコよくて華やかで、爽やかな青春映画にしたくなるかもしれないんだけど、現実は危険もあるし、リスクを背負って戦っているんです。自分がやっていると、カッコいいところだけをくり抜いて描くということはできないですね。なるべく現実と向き合うような作品にしました」とリアリティを追求した脚本について言及した。さらに、細かいボクサーあるあるも盛り込まれているようで、東出は「例えば僕が演じたものでいうと、試合で勝った後のシーン。皆さんボクシング映画で、試合後に勝者がカッコよくリングのロープに駆け上って、拳を掲げるシーンを見たことがあると思うんですが、僕はよろけてロープに引っかかりながら上っていて不恰好なんです。実際の試合だと、終わった後すぐなのでボクサーは足がフラフラだからあんなにカッコよく登れないらしいです」と説明。
 
本作では、チャンピオン目前の小川が試合に負け続きの自分よりも弱い瓜田を“強い”と発言する場面がある。そのシーンについてそれぞれ問われると、監督は「ボクシングの世界って、本当に結果が全てなんです。先輩後輩よりも、強いか弱いかで上下関係が決まったりもします。そういう世界で、本質的な強さってなんだろうっていう問いかけを描いているんですよね」。東出は「小川は瓜田よりも強いんですけど、瓜田のことをバカにはしてなくて、むしろ尊敬しているんですね。僕がジムに通う中で感じたことなんですが、ボクサー同士って尊敬し合っているし、みんな優しい方たちばかりなんです。努力しても決して報われるとは限らないという中戦っているので、肉体的な痛みだけでなく、人の痛みがわかってるんですよね。小川にもそういうところがあります。あと、これは松山さんが意識的にしてくださったことなのかもしれないんですが、松山さんの方が長く役作りをされていたので、僕や(柄本)時生にアドバイスしてくれたり、ミット打ちを受けてくださったり、空き時間に垣根なく僕たちのためにいろいろしてくださったんですね。その姿が瓜田と重なる部分があって、より小川として瓜田という存在を尊敬できて、心から“強い”と思えた気がします」と松山との共演を振り返りながら答えた。
 
また、「時生が演じる楢崎と彼のおばあちゃんのシーンはすごく印象に残っています。楢崎はモテたくてボクシングを始めて、キャラクター的にもコミカルな部分がある役なんですが、そのおばあちゃんとのシーンは本当に素晴らしくて僕はそこで泣きました。改めて良い役者さんだなと思いました。松山さんと時生以外に、もう一人のボクサーの生き様も描かれていて、それが守屋(周徒)くん演じる洞口というボクサーなんですが、彼のキャラクターも良かったです」と同じくボクサーを演じた柄本や、あまり語られることのない4人目のボクサーについても言及。すると監督が、「守屋くんは5年前くらいに俺のワークショップに来ていて、“どうやったら監督の作品に出れますか?”と聞かれたので、今度ボクシング映画撮りたいからボクシングをやっておいてとお願いしたんです。しばらくして、“もう2年間ボクシングやりましたけど、どうなりましたでしょうか?”って連絡が来たんだけど、その時はまだ作品が決まっていなかったから続けといてってお願いして、結局彼は4〜5年くらいすることになったんですよね(笑)」と洞口役のキャスティング秘話を明かした。
 
最後に監督は「ボクシング映画っていうと少しとっつきにくい印象かもしれませんが、この作品はそんなことありません!特に瓜田、小川、そして木村文乃さん演じる千佳の3人の関係性は“あだち充”を目指しました。タッチを観ているような感覚で、俺の表現したあだち充感をぜひ楽しんでほしいです」とメッセージを送る。そして、東出は「実は僕、初号を観終わった後すごく感動して、普段はそんなことしないんですけど、すぐ監督に電話しなきゃ!と思い“『BLUE/ブルー』すごく良かったです”って電話したんです。そしたら“ブルーって何?”って言われて。興奮して間違って、吉田大八監督に電話かけてたんですよね(笑)」とチャーミングなエピソードを明かしつつも、「僕はすごく大好きな作品なのですが、本当に言葉で表現するのが難しい作品。これがテーマだって一言で表せられないものだから、2時間かけて監督が描いたんじゃないかと思っています。それくらい味わい深い素晴らしい作品です。まずはボクサーの方々に観て頂きたい。華やかでカッコいいところだけを描いたものではないから、きっと“俺たちの思いをよく表現してくれた!”と思ってもらえるはずです。そう言っていただけるだけの自信があるし、そこまでの役作りや掘り下げができたと思っています。そんな作品を一般の方に観ていただいたときにも、何か爪痕を残せればと思います」と監督との1時間に及ぶ熱いトークセッションを締めくくった。
 
 

Live Info.

映画『BLUE/ブルー』

松山ケンイチ 木村文乃 柄本時生  /  東出昌大
監督・脚本・殺陣指導:*田恵輔 ※*田恵輔の「*」は「つちよし」が正式表記
主題歌:竹原ピストル「きーぷ、うぉーきんぐ!!」(ビクターエンタテインメント)
製作:『BLUE/ブルー』製作委員会(東映ビデオ 日活 ファントム・フィルム AMGエンタテインメント レイラインピクチャーズ)
製作幹事:東映ビデオ 制作プロダクション:ステアウェイ 配給・宣伝:ファントム・フィルム
2021年/カラー/ビスタ/5.1ch/107分 
公式サイト:phantom-film.com/blue  #挑戦者たちの青春
©2021『BLUE/ブルー』製作委員会
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