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トップレポートSING LIKE TALKING、無観客配信ライブ<Day2>、来春のツアーを匂わせる予告も登場!

SING LIKE TALKING、無観客配信ライブ<Day2>、来春のツアーを匂わせる予告も登場!

2020.09.07

 
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9月5日、SING LIKE TALKINGが、デビュー32年のキャリアで初となる無観客配信ライブ『SING LIKE TALKING AP2020 Deliver You<Day2>』を開催した。タイトルに<Day2>とあるが、ちょうど1週間前の8月29日に<Day1>を中野サンプラザから配信。SING LIKE TALKINGの3人プラス、彼らと縁の深い5人の実力派ミュージシャンというバンド編成は同じだが、会場を都内の羽田スタジオに変え、セットリストも大幅に変更し、前回同様、終演後のアーカイブ公開はなし。この設定からして、メンバーが日ごとに違う演奏を楽しめる通常のツアーと同等のテンションで今回のライブに臨んだことが伺える。
 
その<Day1>でも見せた、無観客だからこそ可能な「ミュージシャン同士が向かい合って演奏する」スタイルを<Day2>でも採用。互いの顔を見つつ、演奏を肌で感じながら、ミュージシャンたちのプレイの鼓動と共鳴が唯一無二のバンドサウンドへと深化させていく――。それこそがSING LIKE TALKINGの音楽の肝であり、彼らのライブはそのサウンド構造がリアルに伝わる場であることを、ファンの方ならよくご存じのはず。そのファンですら「実はこんな表情で、こういうプレイをしていたのか!」と再確認できる細かいカメラワークが、<Day2>でも全編通して楽しめた。自宅にいながら、一流ミュージシャンが織りなす豊潤な音楽を、あたかも目の前で体感できるような“Live”。そんな無観客配信ライブならではの価値を我々に提示したこの贅沢な映像は、<Day2>の夜も、『眩暈~Don’t Blame It On The Summertime』で鮮やかにスタートした。オリジナルアルバム未収録曲ではあるが(2013年のライブDVD『Amusement Pocket 25/50』に同梱の新曲CDとして発表)、過ぎ去りし夏の出来事に憶(おも)いを馳せる歌詞を踏まえれば、この日の幕開けにふさわしいと納得のオープニングナンバー。ファンキーな西村智彦のギターとタイトなリズム隊、佐藤竹善と露崎春女が絡み合うボーカルなどの見事なコンビネーションに、のっけから釘付けにさせられる。
 
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続く『My Desire~冬を越えて~』『Finally』と、冒頭の3曲は<Day2>だけのピックアップ。ちなみにこの場面、先週の<Day1>では、デビュー曲『Dancin’ With Your Eyes』から始まり『Through The Night』『Jack Lemmon』と演奏したのだが、(おそらく意図的に)両日とも初期曲から2010年代と比較的最近の曲を織り交ぜた選曲に。それを、新旧ともに“今のSING LIKE TALKINGの音楽”として淀みなく鳴らす様が、観る側に心地よく響く。演奏する彼ら自身も、この日もまた本当にリラックスしていて楽しそうだ。音楽とは不思議なもので、プレイしている側の思いがはっきりと演奏に宿る。それは配信という形でも変わらずに伝わるし、派手なセットやパフォーマンスではなく、ひたすら純度の高い演奏でライブを魅せるSING LIKE TALKINGらしさにつながるものだと、改めて感じられた。
 
そしてライブは、8月26日にリリースされたばかりのニューシングルより、表題曲『生まれた理由』とカップリング曲『サアカスの馬』の披露へ。前者で「人は誰も“生まれた理由”があり、だからこそ“僕”と“君”がいる」と歌い、後者では「災いの絶えない時代だが、前を向いて歩けば笑顔になれるし、その笑顔は生きる力になる」と歌う彼ら。MCで佐藤竹善が「シングルではないけど気に入っている曲」と紹介した1991年の楽曲『願いを込めて』、愛する人と普段の生活の中で小さな幸せを積み上げていくラブソング『6月の青い空』へとライブが続くうちに、「これらは皆、2020年の今こそ受け止めてほしいSING LIKE TALKINGからのメッセージかもな」との思いになる。もちろんそれは僕の個人的解釈なのだが、たとえ受け止め方は人それぞれでも、藤田千章が丹念に綴る歌詞と佐藤竹善の力強いボーカルが聴き手の心へ何かしらの感情を刻むことだけは間違いない。聴く側も真摯に向き合えば、必ずや心の琴線に触れる――それもまた彼らの音楽の大きな魅力だ。
 
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この『6月の青い空』で、SING LIKE TALKINGサウンドの真骨頂を見せつける。曲の後半は中島徹のピアノを中心に、ギター・ベース・ドラムがJazzyなインプロビゼーションを展開。互いに目で見ながら呼吸と音を合わせ、10分近くにわたって繰り広げた怒涛のサウンドの渦に、その演奏を脇で眺める佐藤竹善や藤田千章から思わず笑みがこぼれる。サポートミュージシャンのプレイのダイナミズムがハイライトのひとつにもなるという、「これぞSING LIKE TALKINGのバンドサウンド!!」と唸らせられた瞬間だ。そんな圧巻のバンドグルーヴは、ここでゲストミュージシャンとして彼らと長い付き合いのパーカション・大儀見元が加わり、一層強固なものに。『Together』『Rise』と超ファンキーなグルーヴが奏でられ、佐藤竹善も歌いながら自然と演奏陣の中を動き回る。この辺りの熱気は、もはやリアルなライブと全く遜色がない。そして、もうひとりのスペシャルゲスト、セネガルから来たパーカショニスト“ママドゥー・ロー”がメンバーの輪に招き入れられ、ステージはさらにヒートアップ。
 
2013年の25周年ライブ以来7年ぶりの共演だったが、彼の参加でより高揚したグルーヴを解き放つ『La La La』は、ワールドワイドな視点で戦争への悲しみや怒り、過酷な状況でも希望を持って生きることを歌うSING LIKE TALKINGの代表曲を、ワンステップ上の“新しい『La La La』”として深化させた。佐藤竹善も、演奏直後のMCでその音楽的な収穫を語りつつ、同時に「全国各地、いろんな人が(会場に来ずとも)それぞれの状況で楽しめるこういうライブは、ぜひまたやってみたい」と、配信ライブの手応えと今後の可能性を示唆。愛と未来に向けての希望をバンドメンバー全員で歌い上げる『Spirit Of Love』で、この充実した約90分のライブを締めくくった。
 
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興奮を落ち着かせるかのごとく終演後のエンドロールで流れた映像の最後に、「SING LIKE TALKING TOUR 『Amusement Pocket 2020』in 2021 Spring, To be announced」という、来春のツアーを匂わせる予告も登場。どうやら、今回の配信ライブ2Daysで見せたバンドの魅力を凝縮するような“リアルライブ”の開催を彼らは見据えているようだ。さらに、今年10月3日には佐藤竹善がソロで地元青森から発信する配信ライブの告知も。この状況下でも止まることなく歩み続けるSING LIKE TALKING。デビュー32周年を経て、より前向きな姿勢で、希望と共に進もうとする彼らの今後を、我々も大いに期待しながら見届けていきたい。
 
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文◎笹川清彦  撮影◎西槇太一
 
SING LIKE TALKING AP2020 Deliver You
Day 1 2020.8.29 セットリスト
 
1 Dancin' With Your Lies
2 Through The Night
3 Jack Lemmon
4 生まれた理由
5 サアカスの馬
6 Missin’ You
7 6月の青い空
8 みつめる愛で
9 Rise
10 Seasons Of Change
11 Spirit Of Love
 
 
SING LIKE TALKING AP2020 Deliver You
Day 2 2020.9.5 セットリスト
 
1 眩暈~Don't Blame It On The Summertime~
2 My Desire~冬を超えて~
3 Finally
4 生まれた理由
5 サアカスの馬
6 願いを込めて
7 6月の青い空
8 Together
9 Rise
10 La La La
11 Spirit Of Love

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