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トップレポート「純喫茶マスター大集会」【後半】カウンターがあって、一言二言喋る...人と人との寄り合いで素晴らしい人生を作る純喫茶は永遠です!

「純喫茶マスター大集会」【後半】カウンターがあって、一言二言喋る...人と人との寄り合いで素晴らしい人生を作る純喫茶は永遠です!

2020.06.02

2019年6月9日@阿佐ヶ谷ロフトA 純喫茶マスター大集会
【純喫茶マスター】
神田・エース、新宿・らんぶる、目黒・ドゥー、虎ノ門・ヘッケルン、駒込・アルプス
【純喫茶コレクション】
難波里奈
 

それぞれのコーヒーに対する想い

後半|終演後.jpg
 
難波:さて、前半はこのメンバーで1人10分っていうのはすごく短くて、全然、皆さん喋り足りないと思うんですよ。なので後半は皆さんに自由討論していただいたり、お客様からの質問に答えていくということをしたいと思います。質問のある方いらっしゃいますか? 質問してくださった方には、マスターたちに持って来て頂いたコーヒー豆とかマッチとか差し上げます。
 
太田:我々も質問したら貰えるの?
 
難波:あ、じゃあまず太田さんから皆さんへの質問をお願いします。
 
太田:先ほど裏で話してたんですけど、皆さんのコーヒーに対する想い。いかがなものかな、とそれをお訊きしたいと思います。
 
難波:じゃあ清水さんから。
 
清水:今から45年前にですね、「コーヒーに似てるものは何があるんだろうか?」と自分なりの発想をしまして。インゲン豆、スイカの種、それからお米、小豆…これ全部、10種類くらい焙煎してみたんですよ。そしたらね、コーヒーにいちばん近いのは意外なことにグリンピースですね。それで、常連の方に「コーヒーです」って出してみたんです(笑)。そうしましたらね、「このモカ、美味しいね!」って言うんですよ。ネタばらしをしたらビックリしていました。もちろん、お店では出してませんけど。
 
難波:他の方も、何かを煎ってみたり、コーヒーに似た何かを焙煎してみたことはあるんですか?
 
森:ハイ! じゃあ私がやりしょう。私よりも大、大先輩の人がね、とにかく家に日に3回、来てくれて。この人がね、コーヒーの豆がないときにね、大豆を持って来たんですよ。「それを煎ってやってみてください」って言うの。それで煎ってみたら、それなりのコーヒーでした。戦争時代、コーヒーなんてものはない時代ですから。今コーヒーはどこでもあるけど。だから私も今度コーヒー屋、辞めてね、大豆コーヒー豆を…
 
清水:じゃあ一緒にやりましょうか!
 
森:一緒にやりましょう! やっぱ男同士、手を握ってね……やっぱ女性の方がいいよぉ!(笑)
 
難波:嵯峨さん、森さんとはコンビ解消ですか? 浮気してますよ(笑)。
 
森:アンタも好きよ!(笑)
 
嵯峨:(苦笑)トリオにします。
 
難波:嵯峨さん、コーヒーのこだわりはいかがですか?
 
嵯峨:擬似コーヒーじゃないんですけれど、いろんなブレンドを作ってみたことがあります。うちは10種類のコーヒー豆を使ってますが、もう面倒臭いから、全部を均等に混ぜたんですね。それで、常連さんたちみんなで飲もうって。そしたらみんな「不味い」って。ダメですね。ブレンドの奥深さっていうのが、すごくあります。さっき、清水マスターとお話ししたんですけれども、『エース』さんのブレンドミックスとうちのブレンドの配合が全く同じなんです。それでも、やっぱり大事なのは焙煎。焙煎によって豆の特徴が変わります。ですから一度、飲み比べてみてください。僕は『エース』さんにお邪魔したことがあります。とてもいいお店で。マスターが丁寧に淹れてくださったコーヒーを、「美味しいな」と思って飲んだんですけれども、配合はわかりませんでした。ストレートコーヒーっていうのはわかります。特徴のある焼き方をしますんで。僕は清水マスターみたいに焙煎できないんで、信頼できる業者に頼んでます。
 
難波:『エース』は、全部が手焼きではないんですよね?
 
清水:全部が手焼きじゃないんですけど、焙煎業者で扱ってない豆ですね。「パナマ」とか「ホンジュラス」とか「ダラゴア」とか。あまり馴染みのない豆を自家焙煎して、お客さんに挽き売りなんかもやってます。年2回、春と秋の3週間ずつ、その珍しいコーヒーを自家焙煎で飲んでいただくというイベントを入れています。
 
難波:太田さん、今の3名のこだわりを聞いてどう思われますか?
 
太田:素晴らしいと思います。自分じゃ太刀打ちできないですよね。自分はどちらかというと飲む側なんで。飲む時に、こういうお客様にこういうものをお勧めしたくて、うちのお菓子はこういう味だから、これに合わすコーヒーを自分で吟味をしてメーカーにお願いして…
 
(マイクの不調)
 
嵯峨:話しすぎて切られちゃったんじゃないですか?(笑)
 
太田:そうか、話が長ぇんだ! えっと、じゃあ簡単に言うと、業者にお願いして自分に合う豆を作っていただいて、それを買い求めて、ブレンドの話も、僕は豆のことわからないんで「もっと酸味を強く、もっと弱く、もっと煎りを深く…」煎りを深くしてしまうと焦げ臭が強くなってしまうんで、それは嫌だからともっとさっぱりとした味わいにして欲しいと言って業者を悩ませて、で、うちはそれを買ってました。
 
難波:重光さん、今日いらっしゃるお客さんが、自分のコーヒーの見つけ方…みたいなのって何かあるんですか?
 
重光:よく言うのはコーヒーって、その時によっても違うし、場所によっても違うので。好きな喫茶店があるとすれば、そこがどういう淹れ方でもいいですし、サイフォン使ってるのかとか、ペーパーでドリップ式なのかとか、プレス式なのかとか、色んな方法があると思うんで。まずそういうのでお気に入りのお店の淹れ方を聞いてみるというのがいいかな、と思いますね。本当に奥深くて、突き詰めるのは難しいと思うんですけど、好きな落とし方とかでまず…それで自分が買った豆とかで同じ方法で落としてみるとか。
 
難波:なるほど。少し前に、ある雑誌で嵯峨さんのところに取材に行ったら、嵯峨さんが、これに勝る言葉はないなということを仰っていて。「嵯峨さん、美味しいコーヒーって何ですかね?」って聞いたら、「誰かが淹れてくれるコーヒーだよ」って言ったんですよ。本当にそれは、どんなに美味しいコーヒー豆を使っても、誰かが目の前で丁寧に淹れてくれる手間とか、愛情とか、そういうものには敵わないんで、皆さん喫茶店に行きましょう! もう、家で飲むのは安いやつでいいです(笑)。

コーヒーに合う甘いものとは?

Q,コーヒーに合う、好きな甘いもの
 
重光:僕は何でも好きなんですよ、口に入るものなら。見てわかる通りなんですけど(笑)。ショートブレッドみたいなクッキーがすごい好きですね。モサモサするような、スコーンとか。
 
嵯峨:僕は、コーヒーに合うと思うのは虎ノ門にある、某喫茶店のプリンですね。
 
会場:(拍手)
 
難波:あれ? 今日、作り手いるんじゃないですか?
 
森:わかってる〜! それしかないんですよ。もう、ほろ苦さ。コーヒーの後にプリンをサッと…これが美味しいんですよ〜。
 
嵯峨:カラメルがね、旨いなぁと思ったの。苦くなる直前で火を止めるでしょう。
 
難波:カラメルはすごいこだわり、2時間かけて作るんですよね。ドゥーにも美味しいケーキがあるじゃないですか。ドゥーは、自家製の、濃厚で美味しいチーズケーキがあるんですよ。ブルーベリーソースがかかってて、その酸味と、甘酸っぱさと…まるで恋のようですよね。
 
嵯峨:難波さんに恋しました(笑)。
 
難波:エースにも甘いものはありますが、清水さんが自分で食べる甘いものは何ですか?
 
清水:ウインナーコーヒーなんかで使うホイップクリームを、普通のトーストの上に載せて、その上にチョコレートシロップかけて…これが結構、評判が良くて。それから、難波さんの好きな、ドーナツ。それも、皆さん非常に喜ばれております。
 
難波:すごい美味しいんですよ。カリッとオーブンで焼かれて、真ん中の穴のところにジュワっと溶けたバターの塩気…で、上からはシナモンシュガーがふりかけてあって。今すぐにでも食べたいですよね! 今日はもうやってないので、明日行ってください(笑)。朝7時から営業中。
 
清水:そうですね。私がお店の3階に住んでるんですけど、いちばん早いお客さんが6時半には来店されますね。7時から営業なんですけど…小さい店ですからね。寒い時、暑い時に外で待つのはやっぱり苦痛ですから、「中で待ってください」って言って、7時の開店の時には満席になりますよ。1年半前までは、営業時間が夜の19時までだったんです。歳取ると疲れますんでね、1時間ほど短縮しまして夕方18時で、私と弟と2人でお店を切り盛りしております。1年中「のりトーストが食べたいんだ」って毎日食べるお客さんがおります。男の方だとコーヒー1杯じゃ物足りないと。それで2杯くらい飲む方が多いですね。
 
難波:マスター達には末長くお店を続けて頂きたいので、閉店時間を早めたのは素敵なことなんですけども…私1回、転職してるんですけど、「エースにいつでも行けるところがいい!」と転職先を決めたので、定時が5時半なんですけど、閉店時間が19時だとゆっくりお茶ができていたんですけど、18時なんで死ぬほど走っていって、15分くらい前に滑り込んでコーヒー1杯飲んで18時に出て息が切れているっていう状況なんですけど(笑)、それでも会いたくて行ってしまうっていう、もう魔性の店ですよね。でも長く続けて欲しいので、営業時間が短くなっても行きますから。
 
清水:ありがとうございまーす!
 
難波:森さんもまだ話してないですよね。
 
森:私はね、大福が好きです。甘いものは何でも好きなんですけど。他のものを考えてたんですけど、重光さんの顔を見たらね、大福に変えました(笑)。
 
難波:あとで楽屋で喧嘩しないでくださいね(笑)。
 
清水:男の人と喧嘩したくない(笑)。
 
難波:明日、店に大福が山ほど届くんじゃないですか? ひとり1個までとかにしないと、100個くらい届いちゃいますよ。
 
清水:まずいですね。
 
難波:じゃあ太田さん、どうですか? 
 
太田:僕自身が甘いものを食べたくないから…
 
難波:あれだけ美味しいケーキを作っているのに!(笑)
 
太田:毎日、見てるんですよ。毎日、甘い空間にいるんですよ。…飽きます。だからコーヒーはストレート、だけ!
 

落ち着けるお店の工夫

後半|阿佐ヶ谷ロフトA看板.jpg
 
Q.どのお店にも行ったことがあるんですけど、どのお店も個性的で、どのお店が良い! とかではなくて、どのお店も居心地がいいというか、そう行った雰囲気があるんですけども、お店側として、お客さんが落ち着けるようなお店を作るために何か気をつけてることとか、ポリシーとか、そういったものはありますでしょうか?
 
太田:皆さんにくつろいでもらいたい、その一言に尽きますね。うちの店はすごく冷やしてあるんです。理由は、お菓子をいちばんいい状態で食べてもらいたいと。出来るだけいいもの…いいものとは何なのか、それは親にも言われました。親族にも言われました。簡単です、そのお店の中で食べるものですね。お菓子は。やっぱり輸送すると、揺すってますから、だんだん物性が変わっていってしまう。物性が変わらない状態で食べてもらいたい。ただ食べるだけだったらその辺のお店でいいですから。じゃなくて、うちの場合はとりあえず広い空間、安価でありながら、高級な雰囲気を味わって欲しい、というポリシーと考え方でしたね。ですから、うちに来たことのある人はわかると思いますけど、椅子とか、本物の木です。一応、自分の手に入るもので最良のものを…グラスとかも全部、クリスタルガラスを使っていました。そういうところで食べてもらって、心の充足感を感じで欲しかった。
 
重光:僕は引き継いでいるので、祖父母が始めたお店であるんですけど、とにかく居心地なんですけども、接客を含めて、ホテルのラウンジとかとは違いますし、うちの場合は箱の大きさが広いので、下手したらファミレスみたいになってしまいがちなんですね。そういう中で、ホッとできるような距離感というか、あんまりベタベタしない、よくいらっしゃる方がいるんですけど、話しかけられたりとかがなければ、基本は毎回、初めてのような接客をしています。お客様の方から「いつも来てるんですよ」っておっしゃった時は、「もちろん知ってますよ!」みたいな…喜んでおしゃべりさせて頂くんですけど、基本は、付かず離れずというか。こちらから圧力がない方がいいかなと思って接しております。
 
清水:居心地のいいお店っていう定義ですけど、今、チェーン店がたくさんあります。個人店が平成の5年ごろから急に減りまして、うちの周り50メートル範囲で50軒の純喫茶がありました。現在は、うちが最古参になってしまいました。居心地のいい店っていうのはどういう店なのかと。長年やってますと、お店とお話ししたい方もいれば、「放っておいて下さい」っていう方もいるわけですね。これは大体、お客さん表情でわかります。特にカウンターに座る方はですね、どっちがお客さんなんだかわかんないような会話になりましてね。「まだ生きてたの」なんていうお客さんもいるし。「あと何年やってくださるの」って方もいるし。お客様から話しかけてきてくださった時は、こちらもそれなりの対応をしますね。北は北海道から南は九州まで、特に土曜日はですね、地方からのお客さんが非常に多く来店されますんでね。その県、その県のミニ知識をですね、自分なりに勉強しておかないと、会話ができませんので、よくそういうところでは気をつけてますね。ですからお客さんの趣味とか、好きな食べ物とか、なるべくお客さんから引き出すようなね、そういうことを心がけています。
 
難波:並並ならぬ日々の努力の積み重ねですね。コミュニケーション能力がみなさんとても高いじゃないですか。そういうちょっとした技が自然に…元々そうだったんですか? それとも、喫茶店を始めてからそういうものがどんどん高くなっていったんですか?
 
清水:そうですね、私もサラリーマン10年くらいやっていまして、話し上手ではなく聞き上手にならないといけないなと。つくづく思います。ですから、会社ではお話しできない方なんかが来て、アドバイスなんかはすることはありますね。自分の経験から、「こうした方がいいんじゃないか」とかそういうことが言えることが多いですね。
 
難波:森さんはどうですか? 森さん、今日この中でいちばん年上ですか?
 
森:清水さんと同じ年! お店のオープンも一緒。皆さんと同じですけど、人を大切にする。お客さんの気持ちをキャッチしなきゃいけない。ただ喋るだけじゃ、愛情に欠けるんですよ。でも、うちのお店はおしゃべりなお客さんがいっぱいいます。だから私も、高射砲のように喋ります。ただし喋らないとなったら、全く喋らない。それはルールです。喋らなくても、うちのコーヒーを飲んで、プリンを食べて、穏やかに「美味しかった」と言う言葉があると、最高ですね。でも満腹感で寝ちゃいけませんよ! うちの店はね、「眠らないでください」って書いてあるんですよ。経緯はね、34年前の発展です。ちょっとね、「寝ないでください」っていうワッペンを書いたんです。それでそれをテレビで放映したんです。でも放映した翌日に、恥ずかしかったからね、切ってゴミ箱に捨てたの。そしたら、女性が3人入ってきましてね、「ここ、『寝ないで』っていうお店ですか?」って。「書いてないじゃないですか」って。 「ゴミ箱の中にあります」って言ったら、「見たかったわ〜!」って言うんですよ。そしたらうちの女の子が「書いてあげればいいじゃないですか」って言うんですけど、恥ずかしいから私は書くのやめたんですよ。そしたら、「もしまた明日きたらどうするの?」って言うとこでね、まあいいかと思って書いて貼りました。そしたら翌日また女性が3人入ってきましてね、「あ! 書いてある〜!」って。うちはうちはコーヒー屋なのにそっちの方で感動しててね、それ以来お店にずっと、貼ってあります。
 
清水:森さん、店名変えないといけないんじゃないですか?
 
森:今度、変えます。『ヘッケルン』から、『寝ないで』に…(笑)。次50年後に名前を変えるとしたら、『ペッケルン』にする(笑)。
 
難波:今のお話で思い出したんですけど、前にイベントでヘッケルンでお会いした人たちに、色紙を書いてもらったじゃないですか。森さん何枚も書いているうちに、自分のお店の名物メニューわかんなくなっちゃって、「ジャンプリン」とか「ジャンポリン」とかなんのこと書いてるのか全然わかんないサイン表になっちゃったことがありましたね(笑)。)嵯峨さんのお店も居心地がとってもよくて、お客様の質が良いですよね。
 
嵯峨:おかげさまで、ハイ。いちばん大事なのは、お店の空気だと思います。大切なのは、ホッと一息、自分の時間…だから、清水マスターがさっきおっしゃってたように、こちらから声をかけた方がいいお客さんかそうじゃないかは経験でわかります。ですから、お客さんがそれぞれ望む環境を、ひとりひとりに作ってあげないといけない。それをすごく注意してますね。狭い店なんで、カウンターにぎっしり並んじゃう店でも、それでも、人と人の間合いっていうのがすごく大事。それをきちんと作れるように、精進しております。
 

マスターおすすめのお店

 
後半|当日限定配布チロルチョコ.jpg
当日限定配布チロルチョコ
 
Q.マスターのお気に入りの喫茶店
 
難波:今日ここにいるメンバーのお店は無しにして、「ここオススメだよ」ってところにしましょうか。
 
清水:渋谷の道玄坂にある『珈琲店トップ』。渋谷に行くときはよくここに寄ります。それから、渋谷の神山町にある、『渋谷SWING』。ここは、「うちでものりトースト出していいですか」っていうことで、お昼に出してるみたいです。店主の方がトロンボーン奏者で、店内が7坪くらいなんですけど、LPレコード3,000枚あって、好きな曲をかけてくれる、非常に心温かいミュージシャンですね。大体そのふたつですね。あとは…自分の店が営業してる時は他のお店に行けないですし、うちが休みのような時は、他の店も休みなんですね。そうするとなかなかね、他のお店に行くということが、あるようでないんですね。
 
難波:じゃあ、『エース』以外で「のりトースト」を食べられるのは『渋谷SWING』…
 
清水:あと京都の『喫茶ウズラ』っていう店でも。
 
難波:でもすごいですよね。「のりトースト」は作り方を秘密にしてもいいのに、惜しげなくレシピをいろんな人に公開して伝授されてるじゃないですか。素晴らしい。
 
清水:難波さんの本にもレシピを載せてもらってますし…打ち解けた方なんかとは、カウンターの中に入って、「それじゃあ一緒に作りましょう」なんて言ってね。
 
会場:(爆笑)
 
難波:6年前くらいにトークイベントで、私が喋りながら、清水さんが延々「のりトースト」を焼くっていうのをしたこともありましたね。「のりトースト」食べ放題で。それで清水さん、腱鞘炎になっちゃったんですけど(笑)。
 
森:私は好きな喫茶店、なかなか行けないんですよ。それで、さっきも話したけど、身体を壊したときに『ドゥー』さんと『エース』さんに行ったんですよ。今日いるメンバーのお店を抜きにしてって言うけど、やっぱり抜きにはできません。やっぱり素晴らしい。
 
重光:僕は、さっき『ヴィオロン』の話をしてしまったので…ここにいる人たちみんな行ったことあると思うんですけど、神保町の『ミロンガ・ヌオーバ』ですとか、『神田伯刺西爾』とかはよくウロウロしてます。
 
難波:話しかけられたりとかしますか?
 
重光:僕は一切、言わないので基本は身バレしないように(笑)。
 
難波:でも見た目が身バレするじゃないですか。今日、見た人は絶対に忘れないと思いますよ。
 
重光:のりトースト食べに行った時も、こっそり行ったんですけど…これからはわかっちゃいますね。あとは、遠いんですけど、リゾート地とか。自然の豊かなところの喫茶店は大体どこもいいんですけど、軽井沢の『ふりこ茶房』。前は『ばおばぶ』って名前だったんですけど、店主が突然「飽きた」って言って店名を変えたんですよ。何より雰囲気が良いんですけど、器が変わった形のものが出てきたりとかして。
 
難波:では皆さん『ふりこ茶房』まで行った際には、『らんぶる』まで報告に行ってあげてください。
 
重光:宣伝費とかもらってませんからね!(笑)
 
難波:では太田さん…
 
太田:みんなすごいな…と思ってね。自分は職人なんで、朝5時くらいから夜9時まで働くんですよ。それ終わってからコーヒー飲みに行ったら眠れなくなっちゃうな(笑)。唯一、行ってるところと言ったら、銀座の金春通りにある『TORIBA COFFEE』さんですかね。あそこ1杯100円で飲めるんですよ。100円なんですけど、豆にも淹れ方にもこだわっている社長がやっているので、そこにしょっちゅう出入りしてますね。
 
難波:嵯峨さんは喫茶巡りを一時期されてましたよね。
 
嵯峨:やっぱりね、昔に通っていた喫茶店。「まだあったんだ、嬉しい」っていうのがありますね。大久保にある『喫茶店ツネ』。ネルドリップで、うちとは全く逆で厚手のカップに入れてくれるんです。冷めないように。マスターとお話ししたら、覚えててくださって嬉しかったですね。
 
難波:『ツネ』、私もよく行くんですけど、「嵯峨さんが久しぶりに来てくれたんだけど、全然、変わってなかったよ!」って言ってました。マスターは山田さんと言う、ダンディな…ロン毛を後ろで結わいているオールバックの素敵な方で、今回、山田さんもお呼びしたかったんですけど、収拾がつかなくなるので…おしゃべりと聞き上手の比率を合わせないとおかしいことになるので(笑)。
 
嵯峨:今度、うちの店は森さん用に「喋らないでください」って言う張り紙をしておきます(笑)。
 
森:私を殺すには、喋りを取るのが良いです。死んじゃいます(笑)。
 

お店を開け続けること

 
後半|書籍・サインしおり.jpg
書籍とサインしおり
 
Q.私は真面目ではあると自分では思ってるんですが、それでもやる気が出なかったりとか、自分の機嫌が悪いとかそういう日があります。マスターの皆さんは自分の都合では休めないお店を続けていく中で、どうやってそれを乗り越えていけるんですか?
 
難波:それは私もすごく興味深いですね。私が喫茶店という空間を愛している以上に、喫茶店のマスターがすごいなと思うのは、今お客様がおっしゃっていたように、自分がお店に立たなかったら一銭にもならない。だから毎日お店に立たないといけない、でも人間だから波がある…でもお店に行った時にマスターの皆さんが不機嫌だと思ったことは一度もなくて、そのフラットな心を保てる人しか喫茶店ができないのか、保つための修行みたいなのがあるのか…人生で大事なことだと思うので、教えて欲しいですね。
 
重光:僕のお店の場合は、皆さんのお店とちょっと違っていて。箱が大きいのでスタッフの子をたくさん雇ってやっているので、お客様と向き合うのはもちろんなんですけど、スタッフと向き合う時に、気をつけている事を。色んな人が働いていて、チームでやっているお店なので。その中で、長所と短所がある。みんなが集まった時にベストになれば良いかな、と思っている。色んな人の色んなところを集めたら、最終的にいいものになる…そういう考えでやっています。
 
難波:重光さんは、学生時代も優しいし、ニコニコしているところしか見たことがないんですけど…達観されていたのかもわかんないんですけど(笑)。機嫌が悪かったり、ムッとしてるなっていうのは見たことがない…
 
重光:そうですね…今は穏やかかな。街がすごく好きなのと、仕事にも、やっていくにつれてどんどん誇りとかもできてきてるので。あと、恥ずかしいことはあんまりしたくないなと思って過ごしてます。笑顔で過ごしていただけるのが、一番いいかなと思います。
 
清水:『エース』の場合はですね、五人兄弟の私が四男で、あと一番下の弟と兄弟二人でやっております。よくお客さんから「兄弟喧嘩するの?」と聞かれるんですけど、やっぱり人間ですから、兄弟喧嘩ありますよね。ですけど、私は、「その日に喧嘩をしても翌日に持ち越さない」というモットーでやっております。神田の生まれですので、嫌なことはその日のうちに忘れて(笑)。弟には弟なりの、いいところがありますんで。ご夫婦とか親子でやってる方はいますけど、男兄弟2人でやってるのは、珍しいでしょう? 弟ですから、阿吽の呼吸っていうんですか。48年やってますと、相手の考えがわかりますんでね。失敗しても、あんまり責めないし、弟も私のことを責めない。なので、秘訣としては「嫌なことはすぐ忘れる」と。それからお客さんが帰り際に「美味しかった」と言ってもらえるのがいちばん、嬉しいです。
 
森:清水さんが、「翌日に持ち越さない」って言ってましたけどね。私はね、反省はすごくするんです。でも1分で忘れる。翌日には持ち越さない。長くやる秘訣は、「お客さんを大事にする」。これは当然です。さっきも話しましたけど、話したくない人には話しかけない。でも、話したい人は私の前に座るから。私の前の席は『A席』なんです。3,000円ずつもらいますから(笑)。残念だけど、払った人は誰もいません! 長年続けていくのは、流されないように一生懸命やっていくことですね。
 
難波:カウンター席が人気なのって皆さんの人柄だな、と思います。喋りたくて行く方がすごく多いんですね。
 
嵯峨:うちの場合、カウンターしかねえみたいなもんだから…(笑)。
 
難波:そんなことないですよ! テーブル席いっぱいあるじゃないですか。嵯峨さんは怒ったりされますか?
 
嵯峨:もうプロですから。フラットでいるのがプロだと思ってますから。もう、森さんと清水さんに全部言われてしまいました。
 
難波:嵯峨さんは、もしなんか嫌なことがあったり、怒った時はどうやって発散して翌日に持ち越さないようにするんですか?
 
嵯峨:ひとりいじめるやつを見つけます。
 
難波:え! 怖い怖い! 急に怖い話に…(笑)。
 
会場:(爆笑)
 
嵯峨:いじめられに来る奴がいるから(笑)。
 
難波:あ、良かった…仲良しですか。その人にはなんて言うんですか?
 
嵯峨:何しにきたんだ、お前って。
 
難波:うわぁ、すごい! ドSです、急に。でも言われたくて来ちゃうんですかね。
 
嵯峨:そうなんですよ、その人にはそれが悦びなんですよ。皆さんもそういう奴ひとり見つけておくと便利です…冗談ですからね(笑)。信頼関係がないとダメですよ。
 
難波:嵯峨さん、こんなにニコニコしてるのに今度お店に行った時に「何しに来たんだ、この野郎」って言われたら、逆に好きになっちゃいますよね(笑)。太田さんはどうですか?
 
太田:毎日お店に立てるコツ…自分が自分でバカになればいいんですよ。何も考えない、何もしない、嫌なことを忘れる…全てにおいてバカになる。それがいちばんだと思ってます。そうしていかないと、次に一歩、進みません。いくらでもクヨクヨすることはたくさんありますから。それを踏まえた上で、前にいかないとダメですよね。「愚痴りたいなあ」ということとかあっても、社員もたくさんいましたし、その子たちの前で文句は言えません。じゃあどこで発散するの? って、それは、仕事です。仕事で発散します。良いものを作る、良い材料を手に入れよう、とそういうことにばかり燃え上がっていて、あっという間だったと。確かに皆さんも、行きたくない時、調子の悪い時、あると思います。でも、調子悪いから行かない…それだとお店が開かないんですよ。お店が開かなかったらお客さんからクレームが来ちゃうんですよ。クレームが来ないようにするにはどうするって、それは自分が100%出すしかないんですよ。そう思ってやってました、ずっと。一番いい方法は、怒った時は歌を歌えばいいんです。社員たちに何を思われようと、歌いながらずっとお菓子を作っていれば、その内に心どっかいなくなりますから(笑)。
 
難波:そういう時には何の歌を歌うんですか?
 
太田:適当に口ずさんでますね。歌詞の内容が怒りの歌(笑)。
 
難波:じゃあ歌に反映されるから、ケーキには発散されなくて、ケーキは美味しいままってことですかね。コーヒーとかたまに淹れる方の機嫌が出るっていうじゃないですか。
 
太田:入ってると思うんだけどなあ。
 
難波:そうなんですか!? じゃあ、怒り入りのケーキを食べたことがある人もいるかもしれないですね。
 
太田:多分ね、しょっちゅう怒ってるからそれが味になっちゃってるかも(笑)。先ほど楽屋でずっと、先に自己紹介とか休みの日には何してるかとかひとしきり盛り上がって、「もう話すこと話したし、ステージに上がらないでもう帰ろうか」って話してたんですよ(笑)。でも、何故、出てきたのでしょうか?
 
清水:それじゃね、娘(難波)に怒られちゃうからね(笑)。でも、相当、盛り上がりましたね。
 
森:喫茶店はね、新橋・虎ノ門界隈でも、何百店もありました。15年前くらいから一気に減り始めまして、もう界隈では私がトップのお店になりました。外国資本のお店がいっぱい出来ましたね。純喫茶っていうのは人と人との会話、これが大事なんです。外国資本のお店は会話も少なく、トレーでもらってトレーで返す。それも違反でもない。でも、カウンターがあって、一言二言喋る…それが純喫茶で、人と人との寄り合いで、素晴らしい人生を作るとおもうんです。だから、純喫茶は永遠です。
 

純喫茶は永遠です

後半|マスター達.jpg
 
難波:今日は皆さん長い間ありがとうございました。では最後に一言ずつお願いします。
 
重光:今日は皆さんお忙しい中、こんなにたくさん集まってくださりありがとうございました。終わったあとお時間あればお話しできればと思いますので、よろしくお願いします。
 
太田:本日はお忙しい中、お集まりいただき、誠にありがとうございました。二度と会うことはないかもしれないし、もしかしたら道で会うかもしれないですけど、実際、道で会ったら誰かわからないものです。お後がよろしいようで、それでは。
 
嵯峨:皆さん今日はどうもありがとうございました。こちらも、けっこう楽しむことができました。またよろしくお願いいたします。
 
清水:今日は皆さん、お天気がこういう中、本当にありがとうございました。我々も、皆さんの基調で率直な喫茶店のお話を聞かせてもらって、自分のお店の方に少しでも活かしていければと思っております。今までは我々の横の連絡というのがあまりなかったんで、これを機会に、情報交換をして、皆さんに少しでも愛される店にしていきたいと思います。10年20年…50年だっけ、森さん!(笑) 頑張りたいとおもうんで、皆さんどうぞよろしくお願いします!
 
森:ひとこと言わせていただきます。純喫茶は永遠です。終わり!
 
難波:今日お集まりくださった皆さま、お誘いくださった阿佐ヶ谷ロフトA様、そして出演してくださった皆様、本当にどうもありがとうございました。第2回などができたら、観に来て欲しいなと思いますので、マスターのリクエストなども、お待ちしております。でも今日のメンバーでまた会えたらいいですね。では、帰りは皆さんどこかの喫茶店に寄ってから帰ってください(笑)。これからも皆さん、純喫茶という文化を、平成が終わって令和が始まってもずっとあって欲しいとおもうので、皆さんが通って、お金を遣うことで維持していきましょう! ありがとうございました。
 
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