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音のみならず気持ちや意志も確認出来たフジファブリックアナログ先行試聴会&トークライブ!

2019.12.11

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「アラカルト」「アラモード」レコード先行試聴トークライブ&「エフエムふじごこ 路地裏の僕たちでずらずら言わせて『アラトーク』」公開収録トークライブ(昼の部)

2019.12.7@ROCK CAFE LOFT is your room

フジファブリックの故・志村正彦。元来、音に強いこだわりや想い入れを持っていた彼が生前、憧れや“いつかは…”と思案していたことの一つに、自身の作品のアナログ盤化があったと聞く。そして、フジファブリックのメジャーデビュー15周年と志村十周忌の今年。ロフトプロジェクトの歌ものレーベルSONG-CRUXから2002年10月発売された『アラカルト』、2003年6月発売の『アラモード』もこの度アナログ盤化され限定発売された。

志村が地元・富士吉田時代より書き溜めていた楽曲や故郷を想い返した楽曲、東京での生活の中で新たに芽生えた「意志」や「決意」と共に生まれ育まれた各曲。今聴き返すとそれらには、当時彼がやりたかったこと、目指していたもの、やるべきことが、「強い想い」として込められ刻まれていたことに気づく。

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そしてこの日、その完成した盤を発売する前にみんなで聴く会が催された。場所はROCK CAFE LOFT is your room。アナログ盤を聴くには最良のサウンドシステムを誇る会場だ。そこでは合わせて、「なかなか伝わりづらかったインディーズ時代の志村やフジファブリックを知れる機会にもなれば」と、当時レーベルを運営し、フジファブリックの初期の活動に大きく貢献したロフトプロジェクトの樋口寛子を司会に、ゲストには、極初期よりフジファブリックとも親交が深く、インディーズ時代~メジャーデビュー初期、最近ではDVDボックス『FAB BOX Ⅲ』のデザインや過去の彼らのアーテイストグッズも幾つか手掛けた柴宮夏希と、富士吉田にて今でも志村の想いや存在を多くの人に伝えるべくラジオ放送や展示会を拠点に活動している、志村の小中高校の同級生たちからなる「路地裏の僕たち」も交え、試聴会&トークライブ形式で行われた。

この日は二部構成。昼の部は柴宮、路地裏の僕たちを迎え行われ、夜の部では当時の盤制作に携わったレコーディングエンジニアの杉山オサムと橋本陽英、路地裏の僕たちにて贈られた。以下はその昼の部のレポートだ。

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この日のチケットは即完売。当日券も出なかったほどの大盛況だ。場内には幅広い層の方々が集っており、今でも当時の彼らの音楽が多くの方に愛され続けていることを実感する。そんな中、まずは樋口が満場に向け挨拶。柴宮の紹介と彼女のフジとの関わりの話を経て、早速、一緒にアナログ盤化されたばかりの2枚の視聴へ。『アラカルト』1曲目から順にA面~B面、『アラモード』A面~B面へと針が落とされていく。

実は樋口も実際に盤化されたものを聴くのは初。手元には早目に着していたが、最初は是非みなさんと一緒に聴きたいと、はやる気持ちを抑えこの時まで待っていたという。

これまで何度ともなく聴いてきたこの盤たちであったが、やはりアナログ盤で聴くと奥域や深み、ダイナミズムがCDとは全く違う。特にミッドとローの引き出ぐあいは絶品。込められたグルーヴがグイグイ前面に現れ聴く者を惹き込んでいく。また鮮度が高くなったことで、当時彼らがかなり実験的なことを行い、様々な箇所で細かく音を、時に遊び心も交えて入れ込んでいたことも再発見できた。とは言え、これらはマスタリングにより施された類いではけしてなく、元々擁していたものがそのまま引き出されたものだという。

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皆さん何かを想い出したり想い返したりしているのだろうか?目を閉じ、まるで当時の答え合わせをしているかのように聴き入っている光景も印象的であった。「まるでアナログ盤を前提に制作していたかのようなアナログとして映える音質だった」とは全て聴き終えた樋口。私もそれには同感。かなりの高純度を感じた。

トークに移ると、まずは樋口から今回のアナログ盤制作の経緯が語られた。その後、お客さんからの質問に柴宮が答える形式で会は進んでいく。

志村の当時の印象を尋ねられた際には、「自分は今でも志村正彦臭が強く染みついているんだな…と時々感じる」「初見の際はその映えなさに、てっきり他のパートかと思っていた(笑)。当時はかなりの人見知り。だけど年齢にそぐわないぐらいしっかりと落ち着いていた」。はたまた、当時「彼がよくバイクで来ていたこと」「かなりストイックだったこと」「当時はバイト2つ掛け持ちしながらバンド活動を行っていた」等の裏側ならではのエピソードも語ってくれた。

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また両盤のジャケットデザインに際しては、「それぞれフジや志村の音楽を聴いて浮かんだものを描いた。『アラカルト』は1案のみで、当時のフジのバンドとしての怪しさや毒とミスマッチ感、そして彼らの醸し出す不思議さを表してみた。また、『アラモード』は真面目、おしゃれ、不思議な感じと、自分の思う志村正彦ワールドを3案を提出してみた。どれも世の中に出していいか?との不安もあった(笑)」。また、彼らの魅力について「(良い意味で)独特のダサさ」と言及した際には、<カッコつけ路線とは俺たちは違うんだぞ!!>と当時志村が回りに対して思って感も手伝い、自分や志村が感じ、そして醸し出していた<いい意味でのダサさ>もあえて反映し表に出してみた」と語った。

また初期のスタッフも兼ねていた彼女。当時のツアーを一緒に機材車で回った際には、「ストイックで真面目、だけどふざけるときはふざける。愛されキャラだった」と志村を感じ、また初めてのレコ発ライヴの時に映像を作った際には、「当時はこれに限らず、みんなが志村ワールドを楽しみ、一緒に作って広げっていった感じだった」と振り返った。また最後に、現在のフジへのメッセージして、「続けてくれてありがとう。そして、それをずっと追い続けているファン方々が居ての今に至っていることに嬉しさと凄さを感じます。これからも志村の意志の引継ぎも含め長く続けていって欲しい」との言葉を遺してくれた。

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20分の休憩をはさみ、後半は路地裏の僕たちとのトークライブに移った。今朝、富士吉田から駆け付けた彼ら。既に出番までにかなりお酒の方もたしなまれていたようで、それも手伝い、普段ラジオで鍛えている饒舌ぶりをいかんなく披露。場内を終始和やかな雰囲気に包んでくれた。

『アラトーク』と題され、彼らのラジオ番組「エフエムふじごこ 路地裏の僕たちでずらずら言わせて」の公開録音も兼ねたこの日。「上で聴いていた。グッときた」とのアナログ盤を一緒に聴いていた感想を始め、志村にまつわる想い出、曲の中から伺える富士吉田観、各人の好きな曲等、こちらも会場からの質問に答える形で進められた。

中でも志村の幼い頃の想い出として「あまり前に出るタイプではなく、中学の頃はこだわっているかのようにカラオケでも奥田民生さんばかり歌っていた。彼はまるで吉田のうどん。最初は“なんだこの変わったのは?”との印象だが、徐々に味が出てきてクセになる」と隊長のマサト。「高校の頃はバイク禁止だったのだが草むらに隠して登校していた」とスナオ。「みんながゲーム等で盛り上がっている中、一人ギターを練習していた」(カズ)等のエピソードと共に、小中高の頃の志村の面影に出会うことが出来た。中でも印象深かったのは「正彦」の名前の由来。当日の来場者から質問があり、路地裏の僕たちのみんなが志村のお母様に名前の由来を尋ねてみたところ、「正しいことを言える人間になって欲しい」との願いを込めつけられたことが語られ、それを実践し生きてきた彼の足跡を改めて振り返らせた。

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また、隊長から「今年年末の富士吉田の夕方のチャイムは「茜色の夕日」が流される予定である」ことも告げられ、「富士吉田に訪れた際には、在りしの光景を思い浮かばせる「陽炎」を是非聴きながら歩いてみてほしい」とも伝えられた。

その後この日は、発売日に先駆け、ここに集まった方々にのみ1セットづつ特別に各アナログ盤の先行発売が行われ、こちらも大盛況であった。

盤に込められた、時間の隔たりを経てもけして色褪せない音や想い…それらを改めて、より良い音で確認し、その意志も確信出来たかのような、この日。また、これまでなかなか話に出ることのなかった地元時代の志村並びに初期のフジファブリックの数々のエピソードを訊けたのは大変貴重であった。試聴の際には、「これだよ、これこれ!!」「ここの部分が聴きどころなんだよ!!」等々が、はたまたトークの際には「おいおい、そこまで言うかよ(笑)」「そんなことないだろう(笑)」と、志村本人からの解説やツッコミが聞こえた気がしたのは私だけではなかったはずだ。

作品に込められた音や伝えたかったことを改めて感じたと共に、“作品には作り手の人間性までも収められる”そんなことを改めて実感したイベントであった。

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PHOTO:Mami Naito TEXT:池田スカオ和宏

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