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WOMCADOLEとBrian the Sunが「DREAM MATCH 2019 〜VS SERIES〜」で見せた2マンライヴの意味と意義!

2019.06.14

SHINJUKU LOFT KABUKI-CHO 20TH ANNIVERSARY
DREAM MATCH 2019 〜VS SERIES〜
WOMCADOLE / Brian the Sun
2019.6.6 @新宿ロフト
 
そこに確かな信頼関係が築けているが故に、容赦なくバチバチにお互い自身のアイデンティティや音塊を安心してブツけ合える。そしてそれらを経て辿り着いた、お互いのファンも交えた尊い時間への昇華……。2マンライヴに於ける意味や意義。それらを改めて感じた一夜であった。
 
新宿ロフトが歌舞伎町に移転して20年。その周年ライヴシリーズの一つ、新宿ロフト名物ブッカー樋口寛子メイキングのライフワーク的イベント「DREAM MATCH」のVS SERIESの一環が6月6日にBrian the SunとWOMCADOLEを迎え行われた。
これまで時々の共演があったこの2バンドだが、実は2マンライヴは初。片や相変わらず魂を吐き出し、聴く者の胸に剛速球をブチ込んでくるWOMCADOLEと、この日はこれまでとはまた違った、新旧極端なセトリにて、いい意味で放ちたいものを放ったBrian the Sun。双方、音楽性やタイプ、伝達方法は異なれど、同じ「放つ」スタイルにて多くの集まった者たちに拳をあげさせ共鳴を誘う様を見た。
 
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まずはWOMCADOLEが終始力強い無数の拳をあげるべくステージに現れ、その魂をブチ放った。幕が上がり、赤い照明で燃え上がるようなステージに4人が登場。愛情溢れる交戦スタイルがいきなり繰り広げられる。まずは「人間なんです」がライブを走り出させた。呼応する無数の拳。その照明の赤さそのままの情熱さと哀愁さを擁した同曲が突き進むようにフロアへと飛び込んでいく。そこを抜け、明るさを取り戻すべく入った「ドア」では、ドライブ感のある前傾姿勢なサウンドが、今度は「場内を引き連れん!!」とばかりにフロアを巻き込んでいく。ここでは古澤徳之(G.)の情景観溢れるギターソロも印象深かった。
 
相変わらず魂が飛び出してくるような歌声を立て続けに放った樋口侑希(Vo.&G.)。「最後まで魂込めて歌うのでよろしく」と挨拶。「これは俺とお前の曲だ。よく聴いとけよ!!」(樋口)と入った「月」では、途中から豹変したような安田吉希(Dr.)による2ビートがライブを激走させていく。何としても、どんなことがあっても君に会いに行く。その歌に込められた執念にも似た気概が場内に溢れ、最後は「月が綺麗ですね」とロマンチックに同曲を締めくくる。
 
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「もうロックンロールの新しい夜明けは始まってるんだよ!!」と樋口。それを立証するように飛び込んだ「夜明け前に」が闇をこじ開けにかかり、「お前は夢を見続けてるか?」と場内に詰問してくる。またダンサブルさを呼び込んだ「絶望を撃て」では、黒野滉大(B.)のベースの躍動感に場内が身を委ねる様を見た。
 
中盤では彼らの魅力の一つでもあるロマンティックさやスイートさも楽しめた。ミディアムなバラード「ミッドナイトブルー」では、ミラーボールもロマンティックに回り出し、歌われる遠く離れた愛しい人へ、「この気持ちよ届け!!」とばかりに吐き出される歌が胸を締めつけた。また、「自分のそのあんよで目的地まで辿り着くことに価値がある。もしそこを目指し、歩けなくなったら俺が二人三脚で歩いてやるから!!」的な信憑性溢れるMCを経て、心のど真ん中めがけ、疾走8ビートと共に豪速球が放り込まれた「アルク」では、樋口もフリースタイルを交え歌い崩し、帰着した最後のバースでの会場交えての大合唱も想い出深い。
 
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この日は新曲も披露された。「この汚れた世界に旗を掲げろ!!」と会場を引き連れて突っ走るように歌われた同曲が夜明けに向け会場ごと引き連れにかかる。まさにその誇らしく掲げた旗と共に場内も並走。途中にマーチも交え雄々しいアンセムライクな大合唱も耳を惹いた。「勝手にあんたと俺らは似てると思ってるし、置いてかねえから」と樋口。見放された青い春を取り戻し、見返してやるとばかりの気概も込められた「アオキハルへ」では、炎は芯の青白い部分が一番温度が高いことを思い起こさせ、ラストの感動的で雄々しく響いた「ライター」ではシッカリと魂の灯をともしてくれた。「真のロックバンドってのは人間臭えんだよ! よく覚えとけ!!」の言葉を遺し、最後までの彼らは二人三脚にて我々と激走してくれた。
 
この新宿ロフトは、続いて登場したBrian the Sunが20代前半~中盤の上京ライヴ時によく出演した会場。それもあってだろう。この日は最新アルバムからの曲とインディーズ時代の楽曲が中心の新旧極端なセトリであった。しかしある意味、最近の彼らのライヴにて意図的な、<やりたいことを自由にやる>その姿勢や気概をシッカリと受け取ることが出来た。
 
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青白く浮かび上がったステージに4人のメンバーが現れる。まずは小川真司(G.)と森良太(Vo.&G.)の2本のギターを中心にシューゲイズ的な音壁が作り出されていく。そこを抜けて現れた「グリーンアルバム」では、だんだんと体温をゆっくり取り戻していくかの如く6/8のダイナミズムなサウンドが会場にゆっくり広げていく。続く「Physalia」では、それとは対照的に緊迫感が呼び込まれ、田中駿汰(Dr.)による2ビート気味のドラミングが場内を並走させ、雄々しいコーラスがブレイブ感を育んでいく様を見た。またノンストップで入った「藍色に。」ではスリリングさが場内に寄与され、サビで現れるストレートさがことさら解放感を引き出していった。そして間髪置かずに飛び出した「フォレルスケット」では、歌われる♪醒めない夢を君と見たくて♪のフレーズがガシッとフロアを抱き締めていく。
「本心から今日は楽しい。会いたくてももう会えない人に向けて」と告げ、「同じ夢」が始まると、ミディアムなテンポの中、染み渡るかのように場内いっぱいに同曲が広がっていく。受け手各人も自身にとっての、<今、会っておきたい人>へと思いを馳せていった。
 
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中盤は往年の曲たちの連射が目立った。会場の雰囲気を一変させ再びライブを走り出させた「Cloudy#2」では、想いが空に舞う様を見、ライブを再び激化させた「パトスとエートス」では、サビで現れるストレートさが気持ち良さと共に場内に無数の拳をあげさせた。また、さらに深部へ会場を引き連れにかかるが如く響いた「Suitability」では、ちょっとしたアダルトさを交えながらも、あくまでもシティポップに響かせず、ロック然とさせている彼らなりの美学も感じ取れた。
 
「どう思われるか? どう映るか? を気にして、この数年は活動していた。対して今は、自分に正直に歌ったり曲を作ったりしている。それが自分にとってのいいスタイルであることに今更ながら気づいた」とスッキリした顔で森が告げる。
ここからは最新アルバムからの曲が立て続けに吐き出されるように連射された。「死」では、ゆったりとした3拍子の中、深いリバーブとスライドを活かしたギターと、たゆたい、沈殿感を擁しつつもどこか落ち着く、そんな居心地の良さに会場中が身を委ね、打って変り再び連れ出し走り出させるように鳴り響いた「Lonely Go!」では、まるで「俺はここにいるよ!!」と誇らしげにスタンドアローンが誇示される様を見た。そして本編最後は、世の中の雑音に対してヘイトをかますように「まじでうるせえ」が会場の負の気持ちを全て代弁するかのように吐き出された。
 
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アンコールは1曲。頼むから神様、もっと俺たちを生きやすい世界へと連れてってくれと、気に入らないこと、腑に落ちないことに対して中指を立てるべく、初期曲「ロックンロールポップギャング」が会場中の同じような気持ちを背負い、バスターしてくれた。
 
片やフロアを赤く染め上げたWOMCADOLE。片や青白く炎上させたBrian the Sun。同じ吐き出しや情熱的な音楽性ながらも違ったタイプのこの日の両者は共に美しかった。それはもちろんバンドもだが、お互いのお客さんも交え作り出した賜物でもあった。そこではしっかりとバンド同士やステージとフロアとの信頼関係の育み、そして、“この一夜を忘れられないほど想い出深いものにしたい!!”そんな頼もしさも垣間見れた。重複するが、2マンライヴの意味と意義。それを改めて感じ取れたこの日のライヴ。素晴らしい2マンライヴとは、バンド同士の信頼関係はもとより、お客さんも交えて育まれた末に味わえるものだったことに改めて気づかせてもらった一夜でもあった。(Photo by Mami Naito  text:池田スカオ和宏
 

WOMCADOLE セットリスト

1.人間なんです
2.ドア
3.月
4.夜明け前に
5.絶望を撃て
6.ミッドナイトブルー(新曲)
7.アルク
8.新曲
9.アオキハルへ
10.ライター
 

Brian the Sun セットリスト

1.グリーンアルバム
2.Physalia
3.藍色に。
4.フォレルスケット
5.同じ夢
6.Cloudy#2
7.パトスとエートス
8.Suitability
9.死
10.Lonely Go!
11.まじでうるせえ
アンコール
En. ロックンロールポップギャング
 
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