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【ライブレポート】1月24日(金)阿佐ヶ谷ロフトA「毒母ミーティング5 女だらけの新年会〜毒父・母息子も寄っといで〜」

2014.02.10

2014/1/24(金)阿佐ヶ谷ロフトA

毒母ミーティング5
女だらけの新年会〜毒父・母息子も寄っといで〜

【出演】
小川雅代(『ポイズン・ママ』著者)
田房永子(『母がしんどい』著者)
信田さよ子(原宿カウンセリングセンター所長)
歯グキ露出狂(ライター/失職女子)

【司会】
丸山桜奈(構成作家、ライター/セラピスト)

 

zentai.jpg 2014/1/24(金)、阿佐ヶ谷ロフトAで「毒母ミーティング5 女だらけの新年会〜毒父・母息子も寄っといで〜」が開催された。2012年6月に第1回が開催されて以来、早5回目。いままでは母娘関係を中心に語ってきたが、今回はその裏にある父や息子といった男性の存在にもふれたいという。

 冒頭に信田さよ子さんから「去年の終わりにNHK総合の、しかも19:30というゴールデンタイムで母と娘の問題を取り上げる番組(NHK 特報首都圏「母娘クライシス あなたの愛が重い」)が放送されたのは隔世の感でしたね」と発言があったように、メディアでの「毒母ブーム」はますます勢いを増している。信田さんは、この広がりには3.11の震災の影響があるとし、「何かの蓋が開いて、(母娘問題が)一部の人のことではなくなった」と述べた。

sakurana_tabusa.jpg 今回の出演者はレギュラーメンバーの小川雅代さん(『ポイズン・ママ』著者)、田房永子さん(『母がしんどい』著者)、信田さよ子さん(原宿カウンセリングセンター所長)に加えて、ゲストに歯グキ露出狂さん(ライター/失職女子)、司会に丸山桜奈さん(構成作家、ライター/セラピスト)が初登壇。丸山さんは以前に小川さんと田房さんの毒母UST放送の司会を務められた経験もあり、ご自身の毒親体験も交えつつスムーズなイベント進行で会を盛り上げていた。

 

母からもらって困ったもの

 歯グキさんは、以前からツイッターで小川さんと田房さんに毒親相談をしており、前回の毒母ミーティングにはお客さんとして参加。その後田房さんの漫画「うちの母ってヘンですか?」(『フォアミセス』で連載)に体験談を寄せて漫画化されたという縁で、今回のゲスト出演となった。「うちの母って〜」では、歯グキさんの家庭の「突然怒鳴るお父さんのために地獄だった食卓」「石像化する弟」といったエピソードが紹介されていて、毒母のことを相談しても父や兄弟・会社の人など男性は知らないふりをするのがうまく「石像化」現象を起こすよね、と盛り上がった。

 他にも毒母あるあるとして、「病気になると怒られる」「変なものを送ってくる」などが話題になり、田房さんが開催している「母からもらって困ったものを話す会」についても紹介。この会は少人数の集まりで、参加者それぞれが「母からもらって困ったもの」についてを話すが、「中古の寝具」「歯形付きの食品」といった「使い古しのもの」が送られてくることが多いと言う。小川さんも母親からもらったおせち料理の鯛を裏返したら全部食べてあった、というエピソードを話し、この心理を登壇者で探ったところ、「マーキングだろう」という結論に。しかしこのようなエピソードも、他人に話すと「母は毒ではない」というフィルターを通して見られ、「微笑ましい」「母の愛よ」と言われるのが苦しいという。

haguki.jpg 「母親から送られるものはゴミみたいなものでも苦しいし、高いものやブランド品も捨てられないので苦しい」と田房さんが話すと、丸山さんが自身の最近の体験から「お母さんは祖母と曾祖母からもらった高い着物を、もう着ないのに捨てられない。自分も母親からもらったものを捨てるのに罪悪感を感じるけど、おかんも捨てられないんだと思って、連鎖というか」と語り、「結局、弟が『着ないなら捨てるでしょ』と言ってくれたおかげで、着物を欲しがっていた妹のところに送ることができた」とまとめた。すると田房さんが「この話のポイントはお母さんが弟の言うことなら聞くってことだよね」と鋭い指摘を入れる。田房さんの周りには、息子に対してと娘に対してで全く違う顔で話しかける親もいるという。信田さんはそのような立場にある息子の苦しみについても理解を示し、いまは毒母ブームで女性は「母が大変だよね」と言えるようになってきたが、「男性たちにはまだ『娘たちだけ言えて良いよね、本当は俺たちも大変なのにあんな風には言えないよな』というやっかみがある」と述べた。

 ちなみに母親からもらって捨てられないものを処分するには、みんなで披露し合って笑い合える場所を持つこと。他人から「捨てて良いよ」と言ってもらうことが効果的、とのことだった。

 

毒親から身を守るために

 続いては、歯グキさんによる「毒親から身を守る方法」のコーナー。歯グキさんが「法的に親と絶縁し、自分の居場所を絶対に親に知られないようにする方法」を弁護士に相談した際の回答として、
・親と法的に絶縁するには代わりの親になる人を見つけて「特別養子縁組」をする以外に方法はない。
・親が借金を残して亡くなった場合にはすぐに借金の「相続放棄」の手続きをとらないと莫大な借金を負わされることがある。親と連絡を完全に断つとしても死んだのか生きているのかは分かるようにしておくこと。
・親が家に押し掛けて来たときは、3回「帰って下さい」と言って帰らなかったら警察を呼べる。そのときも警察には相手が親だとは言わない方が良い。
といったお役立ち情報が語られた。

nobuta.jpg 信田さんのカウンセリングでも、性虐待などで「自分が死ぬか、親から逃げるか」というところまで追いつめられて来る人は珍しくないと言い、「なぜこのことは世間に広く知られていないのか」と信田さんは嘆く。性虐待のケースでは子供が親を訴えた際に親が自殺をするという結末になることがあり、そのことがより子供を傷つけ、訴えを起こし辛くさせているという。このような場合、「改姓する、名前を変える」ということが親から脱出する大きなきっかけになるとのこと。また、法的には相続放棄をすることが親との縁を切ることであり、つまり法的には親子の縁はお金であるとも言う。

 このコーナーでは司会の丸山さんも「親から逃れるために法的な手段に訴えても良いという発想がなかった」と語ったように、他では聞けないためになるお話が多かった。

 続いて小川さんのコーナーでは、毒母映画として「マミー・ディアレスト」(邦題:愛と憎しみの伝説)を紹介。女優のジョーン・クロフォードによる娘への虐待が描かれている作品であり、毒母あるあるとして共感を呼ぶ一方、あまりにも激しい内容にフラッシュバックを起こしてしまった方もいるようで、みなさんも観賞の際にはお気をつけ下さい。

 

育て方 間違ってたと 謝罪され 謝ったでしょ 悩み聞いてよ

tabusa.jpg 休憩をはさんで、田房さんによる「毒親守唄」のコーナーがスタート。

 まずはネタ元として、某大学教授が提唱しているという「親守唄」という教材を紹介。子どもが親を思って五七五の「親守唄」をつくることを奨励し、テキストではコンクール優勝作を薄く印刷した上をなぞらせたり、空欄を埋めさせて「親もりうたをうつしましょう」、「親もりうたをもっとつくってみましょう」という押しつけっぷりに会場からは悲鳴があがる。

 これを踏まえて開催された「第一回毒親守唄阿佐ヶ谷大会」。上の句の五七五が子供からの言葉で、下の句の七七が毒親が言いそうな言葉という形式の「毒親守唄」を信田さん以外の登壇者4名がつくり、信田さんが大賞作を決めることになった。発表された毒親守唄は以下の5作。

・育て方 間違ってたと 謝罪され 謝ったでしょ 悩み聞いてよ(丸山さん)

丸山さんがパニック障害に陥ったときにメールで謝ってくれたという母。しかし友達がいない母親は、この謝罪をエクスキューズに夜中の2時まで丸山さんに父親の愚痴を送ってくるとのこと。

・ギトギトだ とにかく全部 マヨネーズ ヘルシーだから いっぱいお食べ(田房さん)

「ヘルシーの意味が分からなくなった」という、毒母あるある。

・お父さん 助けて私 殺される アエイウエオアイ イヤイヤイヤイ(小川さん)

母親に殺されるような目にあった小川さんが、俳優である父親に助けを求めても仕事(舞台=発声練習)をしていて助けてくれない。「石像化」するお父さんの姿。

・お母さん 私もう結婚は できないの 結納金は 私のものよ(歯グキさん)
・お母さん 私 就職 決まったの 教えなさいよ 暗証番号(歯グキさん)

歯グキさんのお母さんは暗証番号を教えないとヒステリーを起こしたとのこと。

 信田さんが選んだ大賞作は小川さんの「お父さん 助けて私 殺される アエイウエオアイ イヤイヤイヤイ」。「石像化」する父というのは、俳優の家でなくても通じる姿だということでした。毒親守唄はツイッターのハッシュタグ「#毒親守唄」でも随時募集、とのことなので、みなさんもぜひ投稿して盛り上げて下さい。

 

相談コーナー

 イベントの最後はお客さんからの相談コーナー。

mah.jpg 「母親からしてもらえなかったことをそのままパートナーに求めてしまう」という相談には、信田さんが「パートナーに求めてしまうというのは良くあることだけれど、量的に計れるものではないので、親からもらえなかったから同じ量だけ求めて終わりという風にはいかない。どんどん求めていって破壊的なまでに求めてしまうこともあるので難しい」と答えた。「親からもらえなかったものをパートナーに求めるのは良いしパートナーは受け止めてあげるべきだけれど、どこかで制限をかけてあげないと危ない。エンドレスになってパートナーとの関係もダメになってしまうことがある。パートナー1人ではなくて、こういう場やカウンセラー等に分散するべきですよね」とのこと。また、最初に「私は求めすぎてしまうかもしれないけどそのときは言ってね」と宣言し、求めすぎているときはパートナーが野球のようなサインを出して自制を促す、という方法で上手くやっている夫婦がいるという事例を紹介した。小川さんは「耳が痛い」と言い、自分にも求めすぎてしまうところがあって友達に対して重くなってしまったりするが、「転んで転んで前よりはマシになっている」と話す。

 続いて毒母ならぬ「毒姉」への対処法を訊ねる質問には、田房さんが「相手は毒母でも父でも、姉、上司、友人でもそういう(毒な)人はいるので、対処法は同じだと思う」と答え、丸山さんは「自分は毒姉かもしれない」と振り返り、「今初めて毒母の気持ちがわかったかも知れない。罪悪感も感じてないし、本人は気づいていないかもしれないから、自分が毒姉だったら『お姉ちゃん毒姉だよ』って言ってほしい」と答えた。

 続いての質問は「辛い思いをしたときにどうやって克服していますか」というもの。田房さんが「私は結構ベタな自己啓発本とかが効いたりする。それでもどうにもならなかったら病院に行く。前に電車の中で自己啓発CDを聞いてたらイヤホンがささってなくて、電車の中に『あなたは、地球から、愛されています…』って大音量で流れてて恥ずかしくて逆に死にたくなっちゃった」と答えて笑いを誘った。歯グキさんは「自分でなんとかしようと思わないこと。病院に行って下さい」と回答。ちなみに歯グキさんは本日イベントに登壇するにあたり、話すことでのフラッシュバックに備えて翌々日にカウンセリングの予約を入れているとのことで、小川さんも「みんなカフェ感覚でカウンセリング行ければ良いんですよね」と賛同した。

 「男性とのうまいつきあい方、コミュニケーションがとりやすい男性の選び方」については「結婚をすると育児をしない男性が本当に多い。育児をしない男性はのちのち絶対に石像化する。年収とかよりも、育児をする男性かどうかを見極めた方が良い」と田房さん。信田さんは「基本的に育児は妻に対する想いでしょう」とのことで、つきあっているときから自分を大切にしてくれるかどうかで見極められるのでは、と語った。丸山さんが「そもそもこの質問者さんは家族やパートナーという相手に意識を向けすぎているので、自分に意識を向けた方が早いのでは?」と問うと、信田さんは「毒母をもっている人は、自分に意識を向けることを母が妨害しているので、そこは難しい。自分のことを見ようと思うとお母さんから言われた『どうせあんたはダメなんだよ』というような言葉が出てきて自分を見つめることを妨害する、それが大きな障害で母の罪、支配」と答えた。

nobuta_mah.jpg 続いての質問は「親が私名義の資産を握っているので、生活保護を受けたくても受けられない」。信田さんによると「『生活保護を受けること無くして親からの自立は無い』という手法は、90年代には私たちカウンセラーはよくとっていたんですよ。でも日本が長期の不況に入ってからは、そういうことをするとその人は生活保護を切れなくなったり、生きられなくなったりするので、今は私たちも方針を出すのが難しい。私は法律の専門家ではないので分からないけれど、弁護士さんやケースワーカーさん、公務員系の人に相談して、うまく生活保護を受ける方法を探ることはできるのではと思います」。歯グキさんは同じような状況でコラムを書いているという立場から、「どれだけ心細くて大変で怖いかよく分かります」と伝えた。

 「うちの母はまだマシなんだという気持ちと、自分も被害者と言っていいんだという気持ちがせめぎあいます。母に対して悪く思うことに罪悪感があるときはどうすれば良いのでしょうか」という質問には、壮絶な体験をされてきた歯グキさんと小川さんも「罪悪感はいまでもある、私程度でこんなことを言っていいのかと思ったり」(歯グキさん)「今も罪悪感は無くなった訳じゃないけど、昔は罪悪感にとらわれ過ぎて、酔っていたかったのか?とも思えるようになりました」(小川さん)と言い、田房さんが「全然言っていいですよ。嫌だと思ったら、自分にとって嫌なことをした人は悪者であるというのは事実だから、それは言って良い。私にお話をする方も『田房さんほどではないんですが』と前置きをされるんですが、話を聞くとその体験がすごくて、『いやいやこっちが引くわ』ということが多い。みんな私の体験をドン引きしてるんだけど、私もちゃんとドン引きしてるんで、大丈夫です。お互いにドン引きし合いましょう」と答えた。信田さんは「それはDV被害の場合も同じですよね。被害者には比較がつきものなんです。世の中から「それくらいのことで」と責められて、被害者だけでつながるってことが出来ないように仕組まれているので。頑張って被害者と思いましょう、って言うようにしないと」と言う。

 質問コーナーの最後には、「遠方に引っ越すのでニコ生などのライブ中継や、札幌での開催を検討して欲しい」という要望が寄せられた。

 田房さんが「毒親守唄の札幌大会もやらないといけないから」と話し、今後に向けてネット中継、ツアー等の全国展開を目指す意向を確かめあって、記念すべき第五回は幕を閉じたのでした。

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