
職人の高齢化が進み、 若手の人材不足にあえぐ土木工事業界において、 逆境をチャンスととらえ、 自らの企業をたった7年で湘南地域No.1にした上原総栄。 彼が実践する「同時並行」と「先読み」から生まれる「3倍速ワーク」という考え方を軸に、 その独自の経営哲学を、 実例を交えながら解説。 今の仕事で大きな成果をあげたい、 起業して周りの同業者が見過ごしたチャンスをつかみ成功したい、 そんな熱意と夢を抱いた人々に贈る一冊だ。
土木工事というと、 どんなことを思い浮かべるだろうか。 「旧態依然としている」「高齢化が進んでいる」……。 まさにその通りで、 業界に入ってくる人材はバブル期をピークに年々減り続け、 若者はほとんど入ってこない。 工事の絶対数はそれほど増えることはなく、 多くの会社が一進一退のジリ貧状態。 その上、 折からの原価高騰で先行きが大いに危ぶまれているのが、 土木工事業界の実態。そんな業界にも「絶対にチャンスがある」と考え、 地元・神奈川県茅ヶ崎で土木工事会社を立ち上げ、 わずか7年で地域トップに成長させたのが上原総栄氏。
建築業の許可業者数は1999年から2018年の20年間で20万社以上減少。 受注の多くを大手企業にとられて、 中小企業が苦境に立たされているのです。 この「ジリ貧」の原因は業界の古い体質にあると上原氏は考えた。原価高騰にもかかわらず、 仕事も見積もりの額さえも今まで通りの前例主義。受注は自治体からの公共事業がメインだが、 業界の「多重下請け構造」で3次請け、 4次請けになることも。 また、 比較的工期が長い。仕事の段取りが悪い。 また、 そもそも仕事を急ぐ気がない。このような状況に対して、 上原氏がとった独自の戦略が、 仕事の質を落とさずにスピードを重視する「3倍速ワーク」だ。
受注は不動産会社やハウスメーカーなど、 民間からの「元請け」に徹する。「同時並行」と「先読み」から生まれる「3倍速ワーク」で、 通常の作業工期を3分の1に短縮する。これらの効果で、 創業1年目の売上が約3億3000万円となり、 いきなり地域3番手に。2年目には4億円を超え、 オフィスを借り、 ダンプ2台、 ユンボ1台を購入し、 社員4人を雇用。 6年目には売上が20億円となり、 地域No.1の会社へと成長。
著者・上原総栄のメッセージ
人間の能力にそれほど大きな個人差はありません。 誰にだって、 成功のチャンスはある。 にもかかわらず成果に大きな差が生まれるのは、 姿勢や意識の違いでしかないのです。 一つひとつ体当たりで問題にぶつかって解決に導くことで、 真の実力がついていきます。 叶えたい夢があるなら、 ラクをしないことが一番の近道。 それが私の信念です。