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INTERVIEW

トップインタビュー【復刻インタビュー】石橋凌('99年9月号)- マイノリティでいいんだと思ってる

マイノリティでいいんだと思ってる

1999.09.14

あえて“祖国”という言葉を使いたかった

──僕はロックが何故影響を与えるのかというと、もの凄く体感できるものであるのと同時に、言葉によるメッセージがあるからだと思うんです。

石橋:僕は7年間全く音楽を聴かなくて、8年ぶりに再開するときに人に薦められていろいろ聴いたんだけど、今流行ってるものとか聴いたりしてもあんまりピンとこなかったりするのね。まず音がノイジーでしょ。ノイジーでアグレッシブだというのはわかるんだけど、イメージとしては体制側が出してる音に感じるのね。今の開き直っている体制は思いっきりノイジーなわけよ。それに対してロックミュージシャンがノイジーな音を出してガーとやっても、俺には何にも響かないのね。その中で言葉というものの復権があると思うんだけど。ただ、昔みたいに左翼とか右翼といったものがはっきり分かれてなくて、今のように混沌としてる時代、そこで求められるのは一人の考え方とか、一人の力だと思う。ものすごくいろいろな価値観があるから、そん中で自分が何を歌うとか、どんな絵を描くとか、何を書くとかいうのは、ものすごく難しいと思うのね。それは受け手にしても同じだけど。そこで、こういう混沌とした状況に対してネガティヴになれば、本当に救いはなくなると思う。さっきも言ったように途方にくれてる状況だけど、そこでは自分がまずどおしたらいいのかだと思うよね。できることというのは音楽をつくること、人前で歌うこと、演技を演じることなんだけど、ARBで詞を書いて歌っていくことは、本当に一語一句選んでいかないと、ものすごいスピードで跳ね返ってくる。

──歌詞に対しては、どんなリアクションが返ってきますか

石橋:例えば『REAL LIFE』の中に“Good-by 我が祖国”というフレーズがあるんだけど、この“祖国”という言葉に対して、今時こんな言葉誰も使わないよって言われたんだけど、僕は死語だということをわかった上で書いたのね。今新聞とか読んでると、ものすごい“祖国”という言葉をつかっている記事が多いんですよ。戦争難民の記事にしてもそうだけど。言葉として、20年前、30年前、あるいはウディ・ガスリーが歌った“祖国”と、時代を何十年も越えて歌う今の“祖国”とは、意味も違ってくるだろうし、膨らみもつくだろうし。ただ、日本語でこういうことを歌うと、どうしても毛嫌いする人がいるのね。最近英語で歌う人が多いけど、言葉はいいや、という人がまだ多いような気がするね。でも、俺がやっぱり小学校中学校の時、一番ロックミュージックから得たものは、言葉なり価値観なり生き方なんだけどね。

──最近の、例えば小林よしのりの『戦争論』がこれだけ議論をまきおこしてる状況をみると、“祖国”という言葉は、いい意味でも悪い意味でも今の言葉だと思いますけど。

石橋:ずいぶん前にはっぴいえんどが『さよなら日本』と歌ったよね。まあ“日本”でも“JAPAN”でもいいんだけど、僕はあえて“祖国”という言葉を使いたかったのね。これを別の人が歌えば、もっと違う意味、それこそ国のために死ねとか、ものすごく怖い意味になるかもしれないけど、一個人としてどこに住んでるのか、どういうものを食って、どういう人と会って暮らしてる国なんだということは、今もう一回世代を越えて考えないと、これから先ぐしゃぐしゃになる一方というか。だったら日本を飛び出して国を捨てるのも自由だけど、俺はまだ可能性として、三十代、四十代のどこかに閉じこもった人達がもう一回アクションを起こさないと、この国はダメになると思う。

峠の蕎麦屋の親父の気持ち

──ARBの7月からのライブスケジュールを見ると、ほとんどが全国の大きな会場の中で、新宿ロフトだけがなんか浮いてますよね。まあ、とりあえずロフトでやっとくかっていう感じなんですか?

石橋:いやいや(笑)。まあそうなんですけど(笑)。確かに前作の『REAL LIFE』は今までのアルバムの中で一番セールスもいいんですね。それに伴ってツアーの動員もいいし、確かに追い風を感じるんだけど、ただね、正直な話、もうあんまりセールスとかを意識したくないんですよ。今の業界の何百万枚がどうのこうのというのは、本音を言うと、もうどうでもいいやと思うんですよ。例えで言うと、山の峠に一軒ある蕎麦屋に親父がいて、いい水使っていいそば粉で、何時間もかけてそこまで来てくれるお客さんに対して、おいしい蕎麦を食べてもらいたいというのが正直な気持ちなのね。作るんであればおいしいものを出したい。50食しかできなかったらそれでもいいと思うのね。以前はもしかしたら、このぐらいの出来でいいやって出してたかもしれないけど、今後出していくからには、ライヴワークもスタジオワークも、やっぱりこだわりはもちたい。そのためにはタームも前以上にマイペースにいきたいと思うし、俺はこのスタンスのままARBがライフワークとしてどこまでいけるかということに興味がある。この前の武道館でも3時間50分ぐらいやりましたが、あれは自分自身がどこまでいけるかと、お客さんにも確実に武道館を楽しんでもらいたいということで、ああいうステージになったんです。だからホールの大小は関係ない。ロフトは自分たちが昔からやってて基盤になった場所だし、そこで普通にやりたい。前以上にマイペースで、自分のやりたいと思う空間でやっていきたいと思いますね。

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