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INTERVIEW

トップインタビューいとうせいこう -『脳天パラダイス』この映画は解毒剤なんです。

『脳天パラダイ』この映画は解毒剤なんです。

2020.11.19

世界的な感覚を持っている人

──結局は人間だぜって、正義も悪もごちゃ混ぜになっているのも良かったです。

いとう:そうそう。そういった作品なんですけど極めて倫理的なんです。性差別的なことや性暴力的なことは一切ないんです。山本さんは世界的な感覚を持っている人なんだなと思います。

──確かに、それも凄い才能ですね。

いとう:意外とやっちゃうんです。でもこの映画ではない。LGBTQも普通に出てくるし、それに対する差別的な発言もない。そういう意味ではマイノリティに対する配慮もあって。共感があるんだよね。そのことは素晴らしいことだと思いました。

──その通りですね。仲間はずれがいないっていうのは素晴らしいことだと思います。

いとう:人間ってこういうのがいいよねって信念があるんだと思います。それが逆に自由でいいだろというところにも繋がっている。でもちゃんと気を使っているので、悪い意味のツッコミどころは無い。これは世界に出してもいい映画です。ローザンヌ映画祭でもとても盛り上がったそうですよ。

──海外の人の方がこういう作品に理解がありますからね。

いとう:そうですね。

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凄くロジカルな人なんだなと感じました

──観てる側は嵐のような情報量でしたが、実際の撮影現場はどのような現場だったのですか。

いとう:もう、淡々と落ち着いて撮っていました。山本さんは凄くロジカルな人なんだなと感じました。本当にアドバイスも落ち着いていて素晴らしかったです。こちらがこうしたいということがあればそれを汲んでくれて、その場で組み立てを変えて、こうしましょうというのがすぐ出てくる方でした。実際に会う前はもっと暴力的なイメージを持っていたのでビックリしました。

──私もそういう方だと思っていました。

いとう:そう思いますよね。実際は冷静でロジカルな方なので、そこからあのクレイジーでパンクな世界が出来るっていうのが、面白かったですね。

──他のみなさんはどのような感じだったのですか。

いとう:みなさん、山本さんに対する信頼感がありました。どういう繋がりかはよくわからないけど、成立するんじゃないかということで、委ねていました。

──やはりバランス感覚が凄いんですね。

いとう:そうでないとあの長さであの群衆シーン撮れないですよ。インド映画が出来て、もう日本映画ではできないのかなって思っていたことが出来ていたじゃないですか。それは凄いことです。

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──今は規制だらけでつまらないので、そこをぶち壊すという意味でも素晴らしかったです。「君たちもやっていいんだよ」ということを見せてくれたようにも感じました。

いとう:そういうことを感じて、あとに続いてもらえると嬉しいな。そのためにもお客さんが入って欲しいですね。理解して騒いでくれる、こういうのが映画の良さなんだよって人もいて欲しい。それが全部である必要がないけど、今はガチガチになっている世の中なので、こういう作品がきちんと成立していなければならないし、成立することが気持ち良いよ、みんなにとっても窮屈じゃないよ、と伝わってほしいですね。

──話しを伺って、改めてよくこれをまとめたなって感じる作品ですね。

いとう:脚本の段階で自分の決定の画がはっきり決まっていたんでしょうね。そうじゃなきゃ、この映画のパワーに自分が負けちゃいますから。よくわかんなくなるというのが山本さんにはない。凄い体力だし、知力があるから出来ることだよね。僕には到底、できない。

──無理です、普通は削ろうとしますよ。

いとう:お祭りの所とか切っちゃうよね。それを入れて膨らませてるんだけど、山本さんの中にはシーンとして動くという信念があるんです。

──バカ騒ぎして、あれだけ盛り上がっても、最後には「再婚しないから」とあっさりしていて。

いとう:そこがこの映画の白眉ですね。そういう話にはしない、なにも変わらない。

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──これだけヤバイ奴ばかりで浮世離れしてるのに、どこかで地続きを感じるという。

いとう:そう、リアリティがないわけじゃないんですよ。

──そうなんです。私の好きなセリフが「長男なら死体くらい毅然と対応しろ」なんですけど、ヤバイことを言っているのに妙な説得力があって、それを言った父親は祭りの裏で博打を打っている、やばい奴なのにどこかに居そうな妙な説得力。

いとう:こういうダメな人は居るよね。

──この感覚をどう伝えるのかは、なかなか悩ましいところです。

いとう:あらゆるタイプの硬直をほぐす作品ということだと思います。今はいろんな規制が自分にかかっているから、それをほぐすことが出来る、それが『脳天パラダイス』(笑)。

──まさにタイトル通りなんです。改めて見直します。何度観て見ても理解できないので何度も観れるんです。

いとう:そうですね(笑)。「こうだったけ?」って観るごとに発見があるので、何回も観て欲しいですね。どこから観てもいい作品ですから。

──はい。それで、毎回いい感じだったなとデトックスします。

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LIVE INFOライブ情報

脳天パラダイス

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2020年11月20日(金)より全国劇場にて公開
 
<出演>
南果歩 いとうせいこう 田本清嵐 小川未祐 玄理 村上淳 古田新太 柄本明
大河内健太郎 小竹原晋 星野園美 沢井小次郎 安田ユウ 李丹 張天屹 野村陽介
ニール・ターリセッチィ アレック・アスギャリー 和川ミユウ 植田紗々 髙橋里恩 江波里香
渡瀬うみな 齋藤勇真 森川貴 庄司浩之 ノブヲ 畑中タメ 吉田茂樹 牧山みどり 紀那きりこ
藤本国彦 島津志織 小林敏和 菊地敦子 清水ひさを 鳳ルミ 柳川竜二
永山愛樹/竹舞(TURTLE ISLAND/ALKDO)
 
<スタッフ>
監督:山本政志 脚本:金子鈴幸、山本政志 撮影:寺本慎太朗 照明:渡邊大和 録音:光地拓郎
美術:木岡菜津貴衣装:宮本まさ江 現場衣装:津田大 メイク:佐々木ゆう 編集:小原聡子
助監督:佐和田惠 演出補:平波亘 振付演出:南流石 メインテーマ:Oto 装飾:岩間洋
特殊スタイリスト:百武朋 操演/特殊効果:羽鳥博幸 特機:塩見泰久 技術コーディネーター:豊里泰宏
VFX ディレクター:中口岳樹、島田欣征 ドローンオペレーター:池田佳史、山本雅映 庭師:高見紀雄
宣伝美術:千葉健太郎 スチール:江森康之 メイキング:永山正史 テクニカルスーパーバイザー:溝口洋
賽本引き指導:柳川竜二 撮影協力:井戸賢生 エグゼクティブプロデューサー:吴清萍、大江戸康
プロデューサー:村岡伸一郎 アソシエイトプロデューサー:根本礼史 コープロデューサー:大高健志
キャスティングプロデューサー:関谷楽子 アシスタントプロデューサー:翁長穂花
企画:シネマインパクト、C・C・P 協賛:高見庭園 配給:TOCANA
製作協力:UNIVA Guangzhou Trading 製作:パンクチュアルカルチャー 大江戸美術
 
©©2020  Continental Circus Pictures
 
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