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INTERVIEW

トップインタビュー原田プリスキン@豆魚雷 - 堅苦しくなく面白おかしい『エイリアン』トーク

堅苦しくなく面白おかしい『エイリアン』トーク

2020.04.10

 誰かが言った。

 「カルトとは、人の人生を変えてしまう存在のことである」と。

 ここに、『エイリアン』に触れたことで人生が変わってしまった男がいる。

 輸入トイをはじめとしたキャラクターショップの最大手・豆魚雷の原田プリスキンさんは、その名の通り、"そういう映画"や"そういうキャラクター"によって人生が決まってしまった人のひとり。なかでも『エイリアン』に対する情熱は常軌を逸したものがあり、エイリアンマニアを集めての会合イベントを何度も開催し、ついにはその知識と、そのおかげで妥協できなくなってしまったこだわりを詰め込んだオリジナルのスタチューをプロデュースし、製作販売に至る。

 ...良い! 狂ってる!何かに取り憑かれた人の話を聞くのはロフトの本懐です。[interview:齋藤航(LOFT9 Shibuya)]

業(ごう)

——なぜ、『エイリアン』だったのでしょう?

原田:なぜ、というのはいまだに理屈では分かりません(笑)。出会いは、小学校の頃に通っていたプラモ屋で『エイリアン』の模型の箱絵を見たのがおそらく初めての出会いだったと思います。今からそれがなんの商品だったか確認する術はないのですが、おそらくMPC(※海外メーカー)のプラモデルだったのではないかと。体に稲妻が走ったのを覚えています。「ああ…自分はこういうものを好きで一生を生きていくんだな。」と瞬時に感じました。ミニ四駆が欲しくてプラモ屋に行ったら、エイリアンにやられて帰ってきちゃった。ただ、その時はそれが映画のモンスターだとは知らなかったんです。ひたすら形にやられたんでしょうね。

——映画からではなかったんですね! それも『模型』からというあたり、やはり今の職業に繋がっていますね。一作目の映画を初めて観た感想はどうでしたか?

原田:具合が悪くなりそうなくらい怖かった!レンタルでVHSを借りて家で観たのですが、あまりに怖くて逃げ出したくなるくらいでした。これは凄い映画だと思って、姉に見せたのを覚えています。期待を遥かに超えていて感激しましたね。高校に入ってから、友達がWOWOWで放映された三作目までの一挙放送を録画したというので、幾らかは忘れましたが売ってもらって、擦り切れるほど観ました。各作品の間にエイリアンの着ぐるみが出てくる解説が挟まっていて。あれをもう一度見たいのですが、残念ながら紛失してしまいました。

 

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スタチュー

エイリアンという沼

——『エイリアン』は、映画に限ってもかなりの作品がありますよね。

原田:全部好きですよ!『リプリー・サーガ』と呼ばれる本筋はもちろん、『AVP』(エイリアンvsプレデター)シリーズも楽しいですし。2010年代の二作もいいですね!『プロメテウス』は当初なかなか認めづらい映画でしたが、近年無事に和解しました!

——和解できましたか(笑)! エイリアン好きの観点からは、なかなか難しい作品ではありましたね。コミックやゲームなど映画以外のジャンルでも変わったエイリアン登場するとか。

原田:例えばアメコミだと『エイリアン:ストロングホールド』という話に出てくる『ジェリー』というエイリアンは衝撃でした。知的で英語を喋るし、タバコを喫ったり銃を撃ったりするんです。人間と一緒に行動するんですが、やっぱりエイリアンなので油断ならない緊張感があります。ゲームだったら『エイリアン:アイソレーション』の足が逆関節になったエイリアンがいいですね。四つん這いでなく、二本足でダカダカ走るのが迫力あって怖い。コミック、ゲーム、小説、フィギュアのオリジナルエイリアンまで含めると本当にたくさんの種類があります。

——果てしないですね…。一番好きなのはどれですか?

原田:ありきたりですけども、やっぱり最初のやつ……『ビッグチャップ』(一作目のエイリアン)が究極にして至高です。多くのエイリアンは、二作目の影響を受けすぎてますね。四つん這いで動きが素早いのが多い。『ビッグチャップ』は動きがゆったりしてて、佇まいとか動きに神々しさがあります…。

——やっぱり初代ですか。その数多く存在するエイリアンのなかで原田さんが至高の存在と考える『ビッグチャップ』の製品をプロデュースしたんですよね。こだわりポイントはありましたか?

原田:全身にわたって、こだわっていない場所はひとつも無いと断言できるくらいこだわっています。なんとなく作った部分はありません。言うなれば、リファレンスを全て自前で用意したのがいちばんのポイントかもしれません。

——怖いですね…原田さんが(笑)。

原田:これまでのエイリアンのフィギュアは、過去に発売されたフィギュアを少なからず参考にして作ったものが多いと思います。僕たちはスイスのギーガー・ミュージアム、そして映画で実際に使われたスーツを所蔵しているドイツのフィルム・ミュージアムに行って本物を研究し、40年前にビッグチャップのスチルを撮影したカメラマンにコンタクトを取って、大判の写真を譲ってもらったりしました。制作過程で本当にたくさんの事実が判明していったのですが、スタチューが1/3スケールと特大だったぶん、あらゆる部分に反映させることができました。この大きさは狙ったわけでなく版権の関係です。日本の住宅事情に合わないのはわかっていますが、その時は夢が叶うならなんでもいいやと思っていました(笑)。

 

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こだわり一例・踵にはスーツの皺と実物通りの鹿の顎骨を表現

研究の果てに

——豆魚雷さんとは、過去にもロフトでイベントを開催していただいてますよね。それ以外にも学会と呼ばれる会合を開いているとか…?

原田:豆魚雷の20周年イベントや、フィギュアで振り返るホラー映画史、俺だけの名場面映画祭など、色々な企画でお世話になりました! 二年前くらいからは、エイリアンの研究結果を発表するイベントを不定期で開催しています。スタチューの造形を手掛けたエイリアン狂の原型師である藤本圭紀さん、僕のエイリアンの師匠である「サイコモンスターズ」の三島わたるさん、プロップ研究家である「大日本工房」榎本龍彦さんと「エイリアンゼミナール」というのをやっておりまして……。はじめはなんとなくつけたLINEグループの名前だったんですが、結局みんな好きなので、かなり本気でエイリアンを研究しています。

——今回のLOFT9 Shibuyaでのイベントは。

原田:やはり『エイリアン』の最新の研究結果を発表させていただきたいなと! いまの僕らのトレンドは、『ビッグチャップ』の「頭部ギミック」なんです。といっても生物的な話ではなく、小道具としてのアプローチです。劇中では機械仕掛けのヘッドが使われているのですが、口を開けたり、唇を開いたりと、大きく分けて五つの動きがあるんですね。それがいったいどんな内部構造になっているのか、どんな機構になっているのかを現在わかっているところまで話したい。

——なるほど…。

原田:このへんを研究しているのは、世界でも僕たちくらいなのではないかと思います。それから、エイリアンのコミックの翻訳本をリリースしている出版社『フェーズシックス』さんをお招きして、エイリアンのコミック史も語っていただく予定です。それからエイリアントイの歴史ですね。さらに、僕らが手掛けているエイリアン商品の最新作も間に合えば飾りたい。かなり盛りだくさんになりそうです。だいぶコアな内容に思えるかもですが、一見さんお断りではなくて、堅苦しくなく面白おかしい、少しでも『エイリアン』に興味があれば楽しめるトークにしたいと思っています!あまり身構えず、ぜひ軽い気持ちでいらして下さい!

ショップ情報「豆魚雷」
高円寺店
東京都杉並区高円寺南4-29-2 宮下ビル2F
高円寺店:03-3312-3937

 

 

LIVE INFOライブ情報

豆魚雷presents エイリアンアカデミー総会(仮)

4/26(日)LOFT9 Shibuya
※詳細はLOFT9 Shibuya・HPにて近日発表!
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