Rooftop ルーフトップ

INTERVIEW

トップインタビュー【ロフトプロジェクト直営・下北沢新店舗プロジェクト始動】大塚智昭(ロフトプロジェクト音楽部門統括)×じゃいあん(下北沢新店舗店長)×きなこ(同店舗副店長)

テーマは“ロックで踊れるクラブ”、“大人が夜遊びできる音楽スペース”! 下北沢駅前、〈SHIMOKITA FRONT〉の地下にロフトプロジェクト直営の新たなライブハウスが2020年2月にグランドオープン!

2019.10.01

 現存するロフトプロジェクト運営の店舗としては12軒目となる新たなライブハウス(店名未定)が、2020年2月に下北沢の駅前にオープンすることになった。ロフトの下北沢進出は、下北沢ロフト(1975年、現在は店舗譲渡)、シェルター(1991年)に続き3軒目、約28年ぶりとなる。下北沢駅東口前に現在建設中の新築ビル〈SHIMOKITA FRONT〉のB1フロアにオープンするこのライブハウスは、一体どんな意図をもった音楽スペースなのか。また、ライブハウスがひしめき合う下北沢の街で新風を吹き込むことができるのか。主要スタッフの3人に話を聞いた。

 

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▲現在、下北沢駅前に建設中の〈SHIMOKITA FRONT〉。

ここへ来れば面白いことや面白い人と出会える

──どんな経緯で下北沢に新店舗を構えることになったんですか。

大塚:ロフトにとって下北沢という街は昔から縁のある街だと思うんですが、シェルターとはまた違ったタイプのライブハウスを出したいという計画はここ数年あって、どこかいい物件がないかずっと探していたんです。そんな折、ある人を通じて〈SHIMOKITA FRONT〉のオーナーである柏さんを紹介してもらったんですが、柏さんはすごく下北沢に愛着のある方で、このビルから新しい文化を発信していきたいという強い思いを持っていたんです。そこに共鳴したというのが一番の理由ですね。「よし、やろう!」と決めて、じゃあ店長を探さなきゃということで、渋谷のclub 乙-kinoto- の店長だったじゃいさんに声をかけたんです。ブッキング経験が豊富だし、いろんなコネクションがあるのはもちろんだけど、じゃいさんの周りには常に誰かしら人が集まってるんですよ。ライブハウスをやるなら人のところに人が集まってこないとダメだし、それが店長として一番必要なことだし、じゃいさんと一緒に店づくりができたら面白い化学反応が生まれるんじゃないかと思ったんです。

──それで大塚さんの指揮のもと、店長のじゃいさんと副店長のきなこさんの3人を中心に新店舗を立ち上げることになったと。

じゃいあん:きなこは渋谷のclubasiaで働いてた過去があるし、クラブ遊びにも慣れてるので、力を借りたくて僕が声をかけました。

きなこ:私はasiaでホールスタッフとして働いた後、地元である鹿児島のライブハウスで働いたんですが、やっぱり東京はカルチャーの最先端で刺激もあるので戻ってきたくて、某レーベルでバンドのマネジメントの仕事をしていました。

──新店舗のコンセプトは?

大塚:一言でいえば「ロックで踊れるクラブ」です。自分が20歳の頃に恵比寿みるくへ行って、こんなに背伸びして楽しめる空間があるんだなと思って。当時はすでに新宿ロフトで働いていましたけど、全く見たことのない別世界でした。みるくには特定のバンドのライブがあるから行くのではなく、そこへ行けば面白いことがある、面白い人と出会えるという理由で通ったんですが、そういうドキドキする空間が最近は少なくなった気がして。新店舗ではそんな店づくりを目指したいですね。

──大塚さんは新宿ロフト店長時代、バー・スペースを面白い人や音と出会える空間にしようと取り組んでいましたよね。新店舗ではその試みをよりダイレクトにできると?

大塚:〈BAR THE LOFT〉はお客さんと出演者とスタッフがコミュニケーションを取れる場所ですが、新宿ロフト自体、500人のお客さんと出演者の距離感がちょっと遠いんですよ。SNSではお客さんと出演者の距離が縮まったけど、リアルな空間では逆に遠くなってる気がして。でもこの新店舗のサイズ感と形態なら、今まで以上に密なコミュニケーションを取れる可能性があるんです。

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バーラウンジとライブステージの2フロア構造

──新店舗のキャパシティや内装はどんな感じなんですか。

じゃいあん:フロアが2つあって、入口をバーラウンジ、奥をライブステージにする予定です。キャパはライブフロアがスタンディングで220人、バーラウンジは座って呑むなら2、30人くらいかなと。立ち呑みを含めれば4、50人は入りますかね。

大塚:ラウンジは〈BAR THE LOFT〉よりちょっと小さいですね。バーカウンターからお客さん全員に目が届く感じと言うか。入口側のバーラウンジは、昼から翌朝まで誰でもノーチャージで自由に入れるようにしたいんです。ライブを観る人は、バーラウンジとライブフロアの間の真ん中辺りで受付をして入場してもらって。アメリカのバーみたいに入口のラウンジは終夜営業して、そこではライブの映像をモニターで流す。呑んでる人がそれを見ていいなと思ったら当日券を買って生のライブを体感してもらう。そんなふうに2フロアを連動させたいですね。

──バーラウンジにVIPルームがあっても面白いかもしれませんね。

大塚:まだ何とも言えませんけど、ライブフロアの楽屋が空いたらラウンジ側のVIPルームにするのは面白いかなと思ってます。

──シェルターとの差別化はどう考えていますか。

大塚:もう一歩ジャンルを幅広くするつもりです。シェルターに来る年齢層は20代後半から30代全般だと思いますが、それより下と上の世代にも来てもらえるようにしたい。大人が深夜に遊べる場所にしたいので、そのためにもバーラウンジをちゃんと成立させたいんです。「あそこへ行けば何か面白いことがあるよね」と人が集まって、そこから人が人を呼ぶみたいな空間にしたいですね。

じゃいあん:下北沢の駅前だし、昼間はカフェ代わりに使ってもらえると思うんです。自分が15、6年働いてたclub 乙-kinoto- にもバースペースはあったけど、ライブが始まると逃げ場がないくらい狭かったので、僕も新店舗ではバーを充実させたいですね。美味しいお酒とフードも揃えたいですし。ライブに関して言えば、今まで下北沢と縁のなかったバンドや組み合わせをすることで新しく下北沢へ来る人が増えたら面白いなと思ってます。ただ、シェルターのブッキングと僕のclub 乙-kinoto- 時代にブッキングしていたバンドがけっこう被っていまして(笑)、そこはうまくバランスを取りながら差別化を図っていきたいです。大塚さんの言うように大人の遊び場にするのは僕もいいなと思っていて、30代以上の方が来れるような面子を増やしたいし、ジャズやクラブ寄りのアプローチもしていきたいし、ジャンルはあえてレスにしたいですね。

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人と人が繋がるきっかけになる空間

──きなこさんはどんな店づくりをしていきたいですか。

きなこ:お客さんもアーティストも気軽に立ち寄れる店づくりをしたいですね。どんな仕事でもやっぱり人の繋がりが大事だと思うので、人と人が繋がるきっかけになる空間にしていきたいです。バーフロアとライブフロアが分かれていて、気軽に入れるバーの向こうにライブフロアがある形態は昔から思い描いていた理想のライブハウスだったし、すごく楽しいことができると思います。個人的には綺麗どころを揃えた『スナックきなこ』を毎週やりたいなと(笑)。

──今までの下北沢にはなかった全く新しい音楽スペースになりそうですね。

じゃいあん:たとえばレゲエとかヒップホップをやってるライブハウスは今の下北沢にはないと思うんですよ。そういうのももちろんアリだろうし。

大塚:ヴィジュアル系も下北沢のイメージがないですよね。

じゃいあん:それもアリですね。店舗の構造上からもDJパーティーは力を入れてやっていきたいと思っているのですが、下北沢の仲間たちだけが来てワイワイやるような現状の形を超えて、渋谷から新宿から、下北沢の深夜イベントにわざわざ足を運んでくれる人が増えることを意識したいですね。知ってる人ばかりが集まるイベントじゃなく、きなこが言うように人と人が繋がれるイベントをしっかりやっていきたいですね。シェルターと連動するイベントもやれれば面白いだろうし。

──肝心のオープンはいつ頃になるんですか。

大塚:グランドオープンは来年の2月2日です。10月中旬にビルが完成して引き渡し、そこから内装工事、機材設備の工事を経て、1月中旬にはプレオープンしたいですね。音響はSPC peak performance、照明はロフト・チームに任せて、個人的には店内ディスプレイの小物や備品にこだわりたいんです。椅子やテーブル、グラスや皿など、一個一個にこだわってみたいですね。

じゃいあん:僕は映像を綺麗に出せるようにしたいです。最近は照明代わりにプロジェクターだけ設置する店もあって、そういうのも面白いだろうし。クラブに特化したイベントに画は不可欠だし、映像を綺麗に出せる環境を整えれば使いたい人が増えると思うんです。

──ロフトプロジェクトとして新たな試みでもあるし、下北沢の新たな文化の発信拠点になることを期待しています。

じゃいあん:下北沢の街を盛り上げたいし、駅から一番近いライブハウスとして面白いことをどんどん仕掛けていくつもりです。今後いろいろとご報告できることがあると思うので、ぜひ期待していてください。

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▲下北沢の音楽シーンに旋風を巻き起こそうと
意気軒昂なきなこ副店長、じゃいあん店長、音楽部門統括の大塚。

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