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INTERVIEW

トップインタビュー【Brain Police Road to 50th Anniversary PANTA(頭脳警察)暴走対談LOFT編】桃山邑(水族館劇場代表)×山田勝仁(演劇ジャーナリスト)【後編】

知られざるPANTAと演劇の縁由、偉大なるアマチュアリズム

2019.08.11

プロとアマチュアの差とは何か

山田:さっき桃山さんが自分は芝居のプロじゃないと話していましたが、プロとアマの差はどこにあるんですか? アルバイトをしながら役者をやっているのは他の劇団も同じだと思うんですよ。

桃山:役者もミュージシャンもそれで食べていくんだと決意して始める人が多いと思うんですけど、僕がさっき言った演劇すごろくみたいなものにとらわれてしまうと、自分が有名になるための演劇になりかねないんです。それじゃ本末転倒ですよね。人間は弱いし、僕だって弱いから、時には甘い水に惑わされそうになるけど、それを振り捨てるために建築現場で肉体労働をしています。今や日本人はそんな肉体労働をしたがりません。セブンイレブンでレジ打ちしたほうがラクだから。僕が現場で一緒に働く仲間は中国人が多いんですが、これは揺り戻しですよ。戦前戦中に日本人が中国へ渡ったように、今は中国人が日本へ来ている。それも次の芝居は満州を舞台にしたものにしようと思い立った理由のひとつです。…話が長くなりましたが、今の山田さんの質問にお答えすると、僕はこれからも誇りを持って肉体労働をしていくつもりです。なぜか。仕事とは毎日が発見で、やっぱり面白いから。仕事をしている最中に芝居に繋がるヒントが見えてくるし、芝居に転用できる何かに気づいたりするので。仮に芝居でご飯が食べられる状況になったとしても、今の仕事はやめないと思います。それが僕の芝居をする理由なんですね。

PANTA:昔、『イカ天』で審査員をやった時、襖の向こうから出てきたバンドの子たちが「僕たちは必ずプロになってやる!」とか宣言をするんだけど、俺は意地悪だから「君にとってプロって何? お金を儲けること? 有名になること?」って訊いたわけ(笑)。自分の考えとしては、ちょっと格好つけるようだけど、ロックとはグレート・アマチュアリズムだと思ってる。ロック・ミュージシャンはプロじゃないし、もっとエンターテイメントに徹したプロのミュージシャンは他にいっぱいいるからね。だけどローリング・ストーンズの格好良さはグレート・アマチュアリズムにこそあるんだよ。自分はそう思ってる。

──山田さんはプロとアマチュアの差をどう捉えているんですか。

山田:今の役者たちの多くは食えてないと思うけど、だからと言って彼らがプロじゃないのかと言えばそうじゃないわけですよね。お金とアートは別の話ですから。

PANTA:もちろん商業演劇のすごさはあるけどね。『秘密の花園』のホン読みに気楽な気持ちで行ったら、台本を持ってる役者は一人もいないんだよ。みんな事前に頭に叩き込んでいてびっくりした。

桃山:話が終盤に差し掛かってきたので、ビールを頼んでもいいですか?

──もちろんです。

PANTA:桃山君の酒癖はどうなの?

桃山:若い時は酷かったですね。オートモッドのジュネと殴り合いのケンカもしたし(笑)。ジュネとは同級生で、学校も一緒で席も隣りだったんです。

PANTA:水族館劇場は曲馬館ほど事件や問題を起こしてないんですか?(笑)

桃山:自分が親分になってからはいろいろとありましたよ。高速道路でトラックが横転したこともあったし。もちろん曲馬館のほうが過激でしたけどね。翠羅臼という、さすらい姉妹の作・演出もしている僕の大先輩が昔『11PM』に出演した時、あろうことか生放送で「これから我々はひめゆり部隊と合流して昭和天皇の…(以下、自粛)」と言っちゃったものだから、ディレクターのクビが全部飛んだこともあります(笑)。やっぱりね、一貫して反権力なんですよ。それはPANTAの影響でしょうね。

PANTA:ディレクターのクビが飛んだのは俺のせいじゃないよ(笑)。権威は嫌いだけどね。

桃山:僕がPANTAを大好きな理由は、彼がすごく誠実だからです。決して偉ぶることなく、自分だけの世界を誠実に歌にしている。それに男気もある。そこが一番惹かれるところですね。僕はショーケン(萩原健一)よりもジュリー(沢田研二)のほうが好きなんです。このたとえ、わかります?

PANTA:それは村八分と頭脳警察の違いみたいなものだね(笑)。まだ今ほど原発問題が論議されていなかった頃、『ダカーポ』で山口冨士夫と鮎川誠と俺で原発について語る企画があったんだよ。そこで司会にエネルギー問題についてどう思うか訊かれたんだけど、俺は『マラッカ』を作ってエネルギーは日本の死活問題だと理解していたから、「ここで『Yes』か『No』かを簡単には言えない」と答えたわけ。そうしたら山口冨士夫が「簡単だよ。『反対』って言えばいいんだよ」とか言ってさ(笑)。

桃山:PANTAは石油危機が起きた24歳くらいの時にトイレットペーパーを静岡から送ってもらっていたんですよね。

PANTA::俺が? 全然覚えてないな。

桃山:さっき言った『ニューミュージック・マガジン』の内田裕也さんとの対談でそう話してましたよ。ファンというのはご本人が忘れたことをちゃんと覚えているものなんです(笑)。

PANTA:ショーケンで思い出したけど、昔、横浜のセブンスアベニューでやったライブでコーラスをしてくれた女の子が、ショーケンのバンドでもコーラスをやっていてね。その女の子にショーケンから電話がかかってきて、「PANTAにマスターベーションを教えたのは俺だ」とか言ってたらしい(笑)。

桃山:ああ、『日劇ウエスタンカーニバル』のマスターベーション事件のことですね。

PANTA:うん。なんでそんなことをお前に教わらなくちゃいけないんだよ! その前からちゃんとやってたよ!って言ってやりたかったけど(笑)。

桃山:あのマスターベーション事件にしても、僕はある種の誠実さを感じてしまうんですけどね。

山田:本当にPANTAさんの大ファンなんですね(笑)。

PANTA:そこまで言ってくれるなら、〈スウィート路線〉の2枚もぜひ買ってくださいよ。

桃山:…考えておきます(笑)。

*本稿は2019年3月16日(土)にNAKED LOFTで開催された『ZK Monthly Talk Session「暴走対談LOFT編」VOL.6〜揺れる大地に〜』を採録したものです。

 

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