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INTERVIEW

トップインタビュー【Brain Police Road to 50th Anniversary PANTA(頭脳警察)暴走対談LOFT編】桃山邑(水族館劇場代表)×山田勝仁(演劇ジャーナリスト)【後編】

知られざるPANTAと演劇の縁由、偉大なるアマチュアリズム

2019.08.11

 今年の12月に結成50周年を迎える頭脳警察。PANTAと縁の深い面々をゲストにお招きし、頭脳警察とPANTAの知られざるエピソードを明らかにする連載対談の第11回は、今年の4月に新宿・花園神社の野外天幕(テント)で演劇公演『Nachleben 搖れる大地』を行ない、芝居の主題歌をPANTAに依頼した水族館劇場主宰の桃山邑、演劇ジャーナリストの山田勝仁が登場。「前衛劇団"モーター・プール"」という名曲を生んだPANTAの演劇との関わり、「自前でテントを建てるのも芝居」と桃山が語る演劇集団・水族館劇場の特性について語り尽くします。(構成:椎名宗之)

表現が自分たちの生き方と深く密接していた時代

──十数トンに及ぶ水や無数の鉄パイプを用意したり、舞台を建築する費用はどう工面しているんですか。

桃山:僕が働く建築現場の社長にお願いして安く提供してもらっていますが、なかなかそうもいかないので何百万とかかっています。まぁ1,000万単位ですかね。バカですよ(笑)。でもそのために1年働いて、みんなでお金を貯めているんです。本当は半年働いて、残りの半年は構想と台本に費やしたいんですけどね。

──そうなると、1年に1公演のペースが限界ですか。

桃山:もう1公演、大仕掛けではない芝居を年末年始にやります。山谷や横浜の寿町、釜ヶ崎の路上で芝居をする、さすらい姉妹というユニットです。幕1枚だけの世界ですが、それはそれで面白い。

──山田さんに伺いたいのですが、やはり演劇界でこれほどクレイジーな劇団は他にいませんか。

山田:これほど大量の水を使う劇団は他にいないでしょうね。1週間くらい公演があるとすると、初日にはまず行っちゃいけない劇団と言われています(笑)。

──どういうことですか?

山田:ホン(脚本)がなかなか出来上がらないので(笑)。

桃山:いや、初日は面白いですよ。初日には初日ならではのスリリングな面白さがありますから。

PANTA:俺は客入れする前の、外で見せてくれるプロローグみたいなのが大好きなんだよね。

山田:本編の公演前に表で小芝居をするんですが、それも見所のひとつなんです。

──初日までに脚本が完成するほうが稀なんですか?

桃山:ちょっと真面目な話をしてもよろしいでしょうか…。

PANTA:今までの話は真面目じゃなかったの?(笑)

桃山:あのね、お芝居というのはどういうものか、何を見せるのかと言えば、僕は別に演劇すごろくをやりたいわけじゃないんですよ。スズナリみたいな小劇場でお客さんを集めるようになって、作・演出で出世して、今度は本多劇場だ、紀伊國屋ホールだ、新国立劇場だと段階的に劇場が上がっていくようなことには全然興味がない。そんなことよりも誰も観たことのない、みんながびっくりするようなこと、あるいはこいつらアホじゃないか!? と呆れられるようなことをやりたいんです。観に来てくれるお客さんに対して「これが本物のお芝居か!」と思わせるものを作りたい。60年代のGSから派生した本物のロック・バンド…フラワー・トラベリン・バンドや村八分、もちろん頭脳警察もそうですが、彼らも自分たちにしかできない何か新しいことを社会にぶつけていたと思うんです。また当時の社会はそういうものを求めていたし、社会全体も怒っていた。日本は戦後復興期を迎えて生活が良くなったと言うけれど、60年代には学生叛乱という形で社会に対するアンチテーゼが出てきた。それは自分たちの生き方と深く密接していたからなんですね。僕はその世代から少しズレているんですが、曲馬館からキャリアをスタートさせたもので、どうしてもその世代の尻尾を引きずってしまう。

──桃山さんにとっては芝居こそが自分の生き方と密接したものだったと。

桃山:はっきり言って、プロセニアム・アーチの中でいろんな制約を受けながらお芝居をやったほうがむしろラクですよ。照明もあらかじめ吊ってありますしね。でもそういうことじゃない、自分たちの手でゼロから舞台を作っていくお芝居こそが自分にとって一番やりたいことなんですね。ウェルメイドな芝居を見せるために台本を早く仕上げて練習して、ひとつひとつ再現するためにやっているわけじゃないんです。僕らは20人くらいのメンバーで朝の6時から夜の11時まで仕事をして、不眠不休で1カ月かけて作った芝居が面白くないわけがないだろうと思っているんです。だから初日だろうと何だろうと、セリフが入っていようがいまいがお客さんに見せ切る自信があるんですね。

──自分たちの居場所がないから作ってしまえばいいというのは、パンク・ロックの気概と相通ずる部分がありますね。

桃山:ああ、いいことを言ってもらえた。その意味では曲馬館も僕もパンクでした。言うまでもなく頭脳警察は世界初のパンク・バンドだったと思います。PANTAが素晴らしいのは、パンクでありながら自分を俯瞰する視点があったことですね。当時はまだ密な関係じゃなかった鈴木慶一にプロデュースを任せた『マラッカ』と『1980X』は僕も傑作だと思うし、どちらも2枚ずつ持っています。あの2枚は、音楽の持つ生命力、PANTAがもともと持っていた世界をさらに進化させるべく、価値観も世界観も違う他人に預けることで上手く化学反応を起こした傑作だったと思うんです。だけど〈スウィート路線〉の2枚に関しては、平岡正明さんの言ってることのほうが当時はしっくりきました。

PANTA:平岡さんの言うこともメチャクチャなんだけどね。「PANTA、ステージ前にオ××コしちゃダメだよ。終わってからいくらでもやりな」とかさ(笑)。まぁ、教えは守ったけど(笑)。

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