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INTERVIEW

トップインタビュー山田ノジル - "女性の周りに漂うトンデモな世界"のハナシ

山田ノジルの”女性の周りに漂うトンデモな世界”のハナシ

2019.08.01

 自然派・オーガニック・ホリスティックなどのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない妙な健康法を疑い、執筆活動を続ける山田ノジルさん。8月15日(木)にネイキッドロフトにて開催される「怪奇!本当に怖いトンデモの世界」を、楽しんで頂くために、その"トンデモ"なお話しを伺いました。人の欲や不安につけ込む心、そこに根深く巣くう"トンデモ"な世界は、なんだかぼんやりしているのに、複雑です。KKベストセラーズより著書『呪われ女子に、なっていませんか? 本当は恐ろしい子宮系スピリチュアル』も発売中![interview:幸進伍/構成:指中晶夫(Naked Loft)]

女性まわりの“トンデモ”な現実と向き合う 

──どういった経緯で、女性まわりに潜む”トンデモ”を取材することになったんですか?

ノジル:もともと女性向けの媒体で健康記事を担当することの多いライターで、長年いろいろなトピックスを取材するうちに、なんだかおかしなものが結構あるなとは常々感じていたんですよね。そんな折、今の担当編集である三浦ゆえが、文藝春秋から『セックスペディア:平成女性欲事典』という、今時の性に関する言葉を辞典形式で紹介する本を出しました。その出版記念トークショーで、女性たちのスピ活動とボディケアが合体したものの一つとして、ジェムリンガが語られていたんです。あれは衝撃でした。

──ジェムリンガっていうのは…?

ノジル:パワーストーンを棒状に繋げたグッズです。膣の中に入れておくと、子宮が温まる、膣が潤うと謳われる”トンデモアイテム”です。男に愛されるために、膣を常に熱く潤しておけっていうね。それをきっかけに、興味が爆発して。ここまでおかしなものが蔓延しているなら、私ひとりくらい変だと声をあげても良いんじゃないか、と思ってそういった界隈をとりあげる連載を始めさせて頂いた感じです。

──Wezzyの連載「スピリチュアル百鬼夜行」最近の記事では”サイレントベビー”が特に、違和感があって驚きました(笑)。

ノジル:”サイレントベビー”、ママサイトなんかではいかにもそれっぽく紹介されてるんですが、元ネタを読むと笑っちゃう部分もありますよね(笑)。こういった育児出産に関する女性まわりの問題って、当事者にとっては一過性のものが多い。例えば、母乳で悩むお母さんはたくさんいますが、短い人で出産後一年以内に卒乳するから、その後は当事者ではなくなる。加えて、少子化で当事者の絶対数が少ないので、世間的にはあまり注目されないのが現実なんです。

日常生活に漂っていた”呪い” 

──そういえばこれまで、粉ミルクは子供の成長に悪い影響があるって聞いたことがあったので、自分も当たり前のように母乳の方が良いイメージを持っていました…。  

ノジル:それは完全に呪いにかかっていますね(笑)。親や世間がそう言うと、なんとなくそう思っちゃう。「使い捨ての生理用ナプキンなんて、お腹を冷やすのよ」とかね。するとお腹が痛くなると「冷えちゃったかな…」なんて無意識に思ったり。でも、そういうのって、因果関係が不明すぎる。ネットに落ちている情報をただ拾い集めているような健康系の情報サイトが、そういう”トンデモ”の温床だったりします。ぶっちゃけ、女性誌もトンデモの温床でしょう。

──生活の中で、自分が体感できることのすぐそばにある話ですね。

ノジル:めっちゃカジュアルな話題の中に、当たり前のように、「これをしないから、不健康になる」というような呪いがかかっていたりしていて。それがこの界隈の怖さなんです。子宮を大切にすれば愛もお金もがっぽがぽ!と謳うような過激な子宮系スピリチュアルは馬鹿にしていたけど、オーガニックとかデトックスに関しては実は信じていて、冷え取りもやっていたっていう人も多いんですよ。

──ハマっている人には選民意識があるっていう記事を読ませて頂いて、厄介だなぁと感じました。

ノジル:「世の中の人たちが知らないことを知っている」という選民的な感覚があると、他人が言っても目を覚ますのは難しいので、自分で疑問を持たねばどうにもならないですよね。人それぞれに生き方や思考や趣味があるので、全てを否定はしませんが、そこに健康上の目的が出てくると危険です。例えば、子供のアトピーを治すためだとか。自分自身の問題なら、ある程度は勝手にしろと思うこともあるんですけど…。

全ての責任が”女性”に向かう

ノジル:ただ、女性に特化した”トンデモ”の酷いところは、子供を引き合いに脅すことなんです。妊娠前の食生活を叩いて、「こんな食事で体に毒素を溜めてしまっているから、子供が障害になるんだ」とか。本来は全く関係のないことですが、母親の責任にすれば罪悪感から高額な商品やサービスに財布のひもを開いてしまう。また、生殖関係のことをいわれると今、子供がいなくても、いずれ生まれてくる子供への責任を意識しますよね。だから多くの女性がドキッとしてしまう。特にそれなりにお金を持ち始めつつ、一昔前は「高齢出産」と言われた30代は特に。そういった罪悪感や不安につけ込んでいく、厭らしさを感じています。 

──そういう過激な意見って、ネット上だとさらに注目されたりするし…。

ノジル:そうなんです。衝撃を与えて注目されなきゃこの手の商売は成り立たないですからね。この界隈は十中八九でビジネス的なところがあるんです。水や靴下が売れるとか、自分のセミナーに客が増えるだとか。

──注目された人も、周りから神輿を担がれて、後戻りできなくなってしまったり。 

ノジル:でも、はじめはそこまでのつもりじゃなかった…っていうケースもあるでしょう。その典型例が、胎内記憶界隈だと思っていて。稀に、胎内にいたときに感じた色や音を覚えている、その程度の感覚が、胎内記憶だったはずなんですけど。なぜかそこから、魂の段階の赤ちゃんが空の上からお母さんを選んでやってくるという、霊界の話しに広がっている。それはエビデンスより、自分が納得できる物語を選ぶ人たちから需要があるということでもあります。

向こうにハマっていく人たちの気持ち

──身近な人がハマってしまったら、どうやって対応するのが良いと思いますか?

ノジル:ハマることには、理由がありますよね。例えば、体に悩みがあるだとか、人間関係に悩みがあるだとか。その理由に目を向けるのが良いんじゃないかと思います。頭ごなしに正論を言ってもどうしようもないんですよね。その人は、そこになにかしらの魅力や必要性を感じていますから、否定してもなかなか戻ってこないんです。気持ちを理解しつつ、ハマっていることは否定しない。そうやって、生ぬるく見守るしかないってことですね…。綺麗事なんですけど。

──逃げ道も作ってあげるような。

ノジル:そうですね。私は、あくまでもこういった風潮があるよというレポートだけで、正直、撲滅は目指していません。なんでも隙間って大事ですよね。お互いに。でも、子供が関わってくるものだけはあまり悠長なことは言っていられないんですけど…。

──考えが変わるタイミングに、共通点はあるんですか?

ノジル:浅い段階で気づく人は、実際に会う教祖の酷さに目が覚めることが多いみたいです。その取り巻きも然り。人に呆れて戻ってくるのが一つのパターンですね。あとは、教えを実践してもなんの効果もなかった。これが一番多いですね。

──そのハードルを超えちゃった人って、戻ってくるのは厳しいんですかね。

ノジル:やはり経験っていうのが何よりも強烈だと思うんですよ。根拠は分からないけど、自分には効果があった!とか。「救われた」と思ったら、それも本当のことなのでなかなか難しいものですよね。そういった点も含め、人の心理って怖いなと思いますね。

──次回、8月15日(木)に出演していただくイベントは「怪奇!本当に怖いトンデモの世界」と題して、怪談がテーマです!実は、人っていうジャンルが一番怖いんじゃないかと思っているんです。

ノジル:そうですよね、人の欲や不安に漬け込む心は怖いです。”トンデモ”な問題は一見、怪談とは別モノの様ですが、闇を見るっていう点では同じだと思うんですよね。怪談でいうところの、”人怖”のジャンルと地続きにあると思うんです。自然なものを食べなければいけないとか、女性は子宮を大切にしなければいけないだとか。そういう刷り込みで、可笑しなことに走ってしまう怖さを、うまく伝えられたら良いなぁと思っています。

──今回、山田ノジルさんと一緒に出演して頂ける大泉りかさんと三浦ゆえさんには、特にセックスまわりのトンデモな怖い話を。産婦人科医の太田寛先生には、現在の科学的証拠に基づいて、トンデモ話しを総評して頂きます!怖いけれど、実は自分とそう遠くはないトークばかりで、きっと為になります。是非、ネイキッドロフトへお越しください!

 

著者:山田ノジル
『呪われ女子に、なっていませんか?本当は恐ろしい子宮系スピリチュアル』

KKベストセラーズ
価格:1400円+税

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LIVE INFOライブ情報

2019年8月15日(木)『怪奇!本当に怖いトンデモの世界』

会場:ネイキッドロフト

OPEN 18:00 / START 19:00

前売¥2000 / 当日¥2500(要1オーダー¥500以上)

※前売はイープラスにて発売中!

【出演】山田ノジル、大泉りか、産婦人科医@syutoken_sanka、太田寛

【司会】三浦ゆえ

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