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INTERVIEW

トップインタビュー【Brain Police Road to 50th Anniversary PANTA(頭脳警察)暴走対談LOFT編】桃山邑(水族館劇場代表)×山田勝仁(演劇ジャーナリスト)【前編】

知られざるPANTAと演劇の縁由、偉大なるアマチュアリズム

2019.07.10

音楽が主役になるための寸劇があってもいい

──水族館劇場はやはり通訳・翻訳をするのが難しい劇団ですか。

山田:だいぶ難しいですね。

PANTA:曲馬館が演劇史の中でどういった位置づけなのか俺にはわからないし、第一、芝居中に火炎瓶を投げる劇団なんて聞いたことがないじゃない?(笑)

桃山:曲馬館から派生した風の旅団という、桜井大造さんがリーダーのテント劇団があったんです。その風の旅団の名作に『クリスタルナハト』という舞台(1984年)があるし、そもそも頭脳警察には「風の旅団」という名曲があるし、桜井さんは僕の先輩ですけど、やっぱりPANTAとはいろいろと繋がっていると思うんですよ。

PANTA:俺はとにかく、菅さんとの出会いが衝撃的だった。芝居のシの字もわかっていなかった人間からすると、なんでこんなに芝居がヘタで、ろくに歌も唄えない役者ばかり集めているんだろう?と思ってさ(笑)。でもそれが不連続線の趣旨だとわかったし、進藤都夫とか役者の連中ともだんだん仲良くなったんだけど、現代劇がなぜいきなり時代劇になるのか?とか、そういうのが最初は全然理解できなかった。

山田:PANTAさんが最初に劇伴を手がけたのは不連続線が最初だったんですか。

PANTA:その前に、劇団日本の三原元(「人間もどき」の歌詞を共作、「最終指令“自爆せよ”」と「オリオン頌歌」の歌詞を担当)が手がけた『ヤマトタケル』という芝居に曲を提供したのが最初かな。

山田:芝居で関わったのは菅さんが2人目で、長い付き合いでしたよね。

PANTA:最初から最後まで関わったよ。初演『にっぽん水滸伝』から『にっぽん水滸伝二の替わり魔界転生血風録』、『にっぽん水滸伝最終指令自爆せよ』、『いえろうあんちごね特別攻撃隊スターダスト』、『いえろうあんちごね第二部敵中突破悪所之荒事』、『いえろうあんちごね第三部凶状旅奥之細道』まで全部。不連続線で制作と進行をやっていた小野沢(稔彦)君はのちに足立正生監督の『幽閉者テロリスト』(2007年)でプロデューサーを務めているし、制作をやっていた伊藤(裕作)君はいま水族館劇場のスタッフ兼役者をやっているんだよね。

──PANTAさんは若い頃から演劇の世界に精通していたんですか。

PANTA:菅さんからの影響が大きいよ。そうじゃなければ演劇に対して興味を示さなかったと思う。たとえばロック・バンドが劇団とコラボしようとしても、ロックの連中は大抵わがままで主張が強いから演劇の連中とは絶対に反りが合わないわけ。あくまで演劇が主役で、音楽は脇にあるものだからね。だったら音楽をやる俺たちが主役になって、そのための寸劇があってもいいんじゃないかという発想で生まれたのが「前衛劇団“モーター・プール”」だった。当時で言えばジェネシスとかの影響もあったかもしれない。音楽の中に芝居を取り入れてもいいんじゃないかというね。

──時代的にそういった手法を取り入れるのが早かったですよね。

PANTA:頭脳警察というバンド名はフランク・ザッパの「Who Are The Brain Police?」から取っているけど、マザーズ・オブ・インヴェンション自体が非常に演劇的でドラマティックなバンドだったよね。ジェネシスやピンク・フロイドといったプログレのバンドも演劇的要素があったと思うし、そういうバンドが群雄割拠していた時代ならではの演劇的発想だったんじゃないかな。

山田:そんなPANTAさんと桃山さんが去年(2018年)、水族館劇場の公演で出会って、『搖れる大地』という次の公演でPANTAさんが音楽を手がけることになったんですけど、それは桃山さんが昔からPANTAさんの大ファンだったことがきっかけなんですよね。

桃山:そうなんです。僕だけじゃなく、ウチの劇団はみんなPANTAさんのファンなんですよ。

山田:桃山さんはPANTAさんに会った時から舞い上がってましたからね(笑)。

PANTA:会うなり「アルバムは全部持ってます! 2枚を除いては」って言うわけ(笑)。

桃山:(観客に対して)わかりますよね?『マラッカ』で一世を風靡した後の…。

──ああ、〈スウィート路線〉ですか。『KISS』と『唇にスパーク』。

桃山:当時、平岡正明さんが『ミュージック・マガジン』で「PANTA、もとに戻れ」という文章を書いて丁々発止のやり取りをしていましたが、PANTAがやりたいことと従来の硬派なイメージを求める聴き手のズレをどう考えるかというのは、音楽に限らずあらゆる表現において通ずるテーマだと思うんです。僕らも「大掛かりなスペクタクルをやらないのは水族館劇場じゃない」と期待されることに対して悩みはあるんですよ。今日、たまたま読み返していた『ニューミュージック・マガジン』の1974年2月号に内田裕也さんとPANTAの対談が載っていたんですが、「PANTA、音楽で革命できると思う?」と裕也さんが訊いて、PANTAは「できないと思う」と答えているんです。それを読んで、すごい正直な人だなと思って(笑)。

*本稿は2019年3月16日(土)にNAKED LOFTで開催された『ZK Monthly Talk Session「暴走対談LOFT編」VOL.6〜揺れる大地に〜』を採録したものです。

 

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