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INTERVIEW

トップインタビュー【Brain Police Road to 50th Anniversary PANTA(頭脳警察)暴走対談LOFT編】桃山邑(水族館劇場代表)×山田勝仁(演劇ジャーナリスト)【前編】

知られざるPANTAと演劇の縁由、偉大なるアマチュアリズム

2019.07.10

 今年の12月に結成50周年を迎える頭脳警察。PANTAと縁の深い面々をゲストにお招きし、頭脳警察とPANTAの知られざるエピソードを明らかにする連載対談の第10回は、今年の4月に新宿・花園神社の野外天幕(テント)で演劇公演『Nachleben 搖れる大地』を行ない、芝居の主題歌をPANTAに依頼した水族館劇場主宰の桃山邑、演劇ジャーナリストの山田勝仁が登場。「前衛劇団"モーター・プール"」という名曲を生んだPANTAの演劇との関わり、「自前でテントを建てるのも芝居」と桃山が語る演劇集団・水族館劇場の特性について語り尽くします。(構成:椎名宗之)

出自は超過激な演劇集団、曲馬館

──まず、演劇界における水族館劇場の特色、特異性みたいなものから伺いたいのですが。

山田:僕が初めて水族館劇場を観たのはゼロ年代に入ってから、駒込大観音の境内でやっていた舞台でした。そもそも桃山さんの出自は曲馬館という70年代に最も過激だったアングラ劇団ですよね。その辺の話を聞かせていただけますか。

桃山:桃山と言います。曲馬館は僕が最初に芝居に身を投じた劇団でしたが、1987年から現在に至るまで水族館劇場という劇団で作・演出をやっています。最初にちょっとお断りしたいのですが、PANTAは僕にとっては憧れのスターで、本来なら「PANTAさん」とお呼びするべきなんでしょうけど、僕は昔からずっと「PANTA」と呼び捨てにしているので、今日もそう呼ばせてください。

PANTA:結構でございます(笑)。

桃山:すみません(笑)。自分にとっては15歳の頃からずっと「PANTA」なので、「PANTAさん」って言うと憧れのロックンローラーに対して逆に失礼じゃないかと思って。

PANTA:(肩を叩きながら)気にしないでよ、「桃山」(笑)。

桃山:…あの、簡単に説明しますね。曲馬館というのは、公園でテントを立てると邪魔な木は全部切り倒して、曲馬館が通った後は草木も生えないと言われた劇団です。札幌の中の島公園では曲馬館の後に他の劇団が舞台をやれなくなったこともあります。名古屋では河原にトラックを乗り入れようとして、金鋸で柵のチェーンを切っちゃって行政が慌てて飛んできたこともありました。それと、池袋のパルコの屋上でテント・フェスティバルというのを巨大資本のパルコが企画して、曲馬館にも出てくださいと依頼を受けたんです。山崎哲さんや竹内銃一郎さん、岡部耕大さんも皆さん出ますよと言われたんですが、曲馬館はただ一言、「殺すぞ!」と言ってお断りしました(笑)。

──繁華街でのゲリラ宣伝で警官と衝突するなどの揉め事は日常茶飯事で、舞台に火を放って燃やしてしまったり、芝居の中で車に火炎瓶を投げて燃やして鉄パイプで窓を叩き割ったり、即興でプロレスのリングを作って役者同士で本気でドロップキックを喰らわしたりしたという逸話を聞いたことがありますけど(笑)。

桃山:ありましたね(あっさりと)。あと、かつて新井薬師前駅の辺りに東京外国語大学の日新寮というのがあって、そこでいろんな劇団がテント芝居をやるということで曲馬館も参加したんですが、執行部がビビって機動隊を導入したんですね。その機動隊に曲馬館は全員で突っ込んでいって、15人が逮捕されました。

PANTA:あまり利口じゃないんだね(笑)。

桃山:その時に曲馬館の弁護をしてくれた唯一の演劇人が、PANTAが音楽を担当した舞台をやっていた菅孝行さんだったんです。

PANTA:演劇集団・不連続線の主宰だった菅さんだね。俺が水族館劇場を初めて観たのは新宿の花園神社だったんだけど、その前に山田君から「絶対に観るべき」というお勧めがあってね。東京ではあまり観られない劇団なので、山田君は三重や福岡まで行って観たらしいんだけど、ちょうどそのタイミングで石川セリから俺に連絡があったんだよ。

山田:2012年に水族館劇場が博多の海の近くにテントを張って公演をやったんです(ベイサイドプレイス博多で行なわれた『NADJA 夜と骰子とドグラマグラ』)。ちょうどその頃、セリさんが原発事故の後に福岡に避難していたので、セリさんに水族館劇場の舞台を観ませんかとお誘いしたんです。セリさんは最初、勘違いをされていたんですけどね。水族館劇場と言うからには、娘さんやお孫さんに観せても楽しい感じの舞台なのかなと。ところが実際に舞台を鑑賞して、そのあまりに混沌とした世界に呆然とされていました(笑)。何しろ、人が乗った船が海の底から浮かび上がってくるんですから。そういう仕掛けを見るだけも面白いんですよ。

──PANTAさんと山田さんは古いお付き合いなんですか。

PANTA:古いねぇ。いつからだっけ?

山田:20数年前くらいですかね。

PANTA:去年、亡くなってしまった高取英が月蝕歌劇団を立ち上げたのと同じタイミングで山田君と出会ったんだと思う。

山田:松山の市街で行なわれた『人力飛行機ソロモン・松山篇』という公演(2008年11月)を一緒に観ましたよね。

PANTA:うん。松山の街全体を劇場にしたすごい公演だったね。

山田:『坊っちゃん』の絵の前で一緒に写真を撮ったりもして(笑)。

PANTA:そんな流れで、今日の桃山君の話はかなり難しいだろうから通訳として山田君に来てもらったんです(笑)。

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