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INTERVIEW

トップインタビュー佐藤信顕(佐藤葬祭)- 生きても大変だし死んでも大変だよ、でもきっとなんとかなる!

生きても大変だし死んでも大変だよ、でもきっとなんとかなる!

2019.06.05

 「亡くなって病院からお家に連れて帰って斎場でお葬式をして火葬するまでの全部をやるのが葬儀屋の仕事」と語る、一級葬祭ディレクターの佐藤葬祭の社長・佐藤信顕(さとうのぶあき)。死のプロフェッショナル、いわゆるおくり人の仕事とはなにか。常に死と向き合い続けなければわからない死への疑問を誰にでもわかりやすく説明するYouTubeの「葬儀・葬式チャンネル」が人気だ。葬儀系YouTuberという異色の肩書きを持つ佐藤さんにお話しをうかがった。[聞き手:吉田アミ/構成:小柳元,石川美帆(Naked Loft)]

お葬式、遺体、火葬の疑問、そして、幽霊の話しまで……なんでも答えます

佐藤:一級葬祭ディレクターの佐藤葬祭、佐藤信顕と申します。YouTubeでYouTuberというのを4年ほどやっておりまして、おかげさまで登録者数は5万5千人ほどとなりました。皆様が普段いちばん聞きにくいお葬式の話し、遺体の話し、火葬の話し、幽霊の話しなんかを喋らせていただいております。突っ込んだ話しというのをなかなかする人がいないと思うので、そうした立ち位置ができているのかなと思います。

──まず、葬儀屋さんってどんなお仕事なのか簡単に説明していただけますか?

佐藤:葬儀屋さんは、亡くなって病院からお家に連れて帰って斎場でお葬式をして火葬するまでの全部をやるんです。具体的にはこまごまあるんですけど、基本的には亡くなって落ち着くまでご一緒しますよっていうことです。葬儀の定義で言うと、“葬”って言うのは草死草と書くんですがこれは遺体の処理のことです。“儀”は人に義理の義、みんなで一緒にやるっていうことです。人が死ぬっていうことはとても大変で大きなことなのでひとりでは受け止めきれないことだからみんなでやりましょう。みんなでやるときに段取りをつけないとどうにもならないのでこまごましたことをちゃんとやって安心していただくっていうのが我々のお仕事なんです。

──代々、家業を受け継いでらして。90年になるんですよね。お父様の代からなのでしょうか?

佐藤:おじいちゃんからですね。おじいちゃんはもともと最終的に戦争中の帆船模型を作っていたんです。軍艦なんかの模型を作っていたんですけど、細かい作業なのでちょっと神経症みたいなことになってしまって仕事を辞めてのんびりしていたんです。それで毎日毎日一緒に釣りをしていたおじいさんがいたんですが、その人に何しているのか聞いたら葬儀屋で、歳だからもうやめようと思っているんだっていうことだったんで、その葬儀屋さんを買ったんです。もともとは模型を作っていたのでまずは葬具屋を始めたんです。位牌を作ったり、四華花や紙の帷子を作ったり。そこから段々と葬儀屋さんになっていったんです、だからM&Aから始まったんですよね!

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弟子は最終的に師匠を越えて行かなければならない。

──お父様と別に師匠がいらっしゃったんですよね。

佐藤:そうです。親父は若くして身体を悪くしてしまったので、お前はこの人に教えてもらうんだぞっていうことで親父が呼んでくれたのが師匠で。僕はめちゃくちゃに怒られて泣きそうになりながらいつも、その師匠にお金を渡して「教えてくれてありがとうございます」って(笑)。無償が普通なのに、僕は金払らって弟子入りでした。師匠って、基本、駄目しか言わないもの。弟子がこうですかって聞いたら師匠が駄目って言うだけなんです。そこで、「これが正解!」って、教えてくれるのは先生なんですけど。そこが師匠と先生の違いですね。そもそも、自分で考える力を育成するにはものすごい時間とお金がかかるんですよ。それができるのが師弟関係で、師弟はお互いに損しかしませんよね、師匠にとっては弟子のことを見てるってのは非効率だし、弟子も自分で考えなくちゃいけないから非効率なんですけど、未知の状態になった時には手順を覚えただけだと何もできないんですよ。無い中から生み出すっていうのは非効率な師弟の関係でないとできないんですよね。

──マニュアルにはできない……。

佐藤:マニュアルは弟子が作るんです。師匠の話ってこういうことですかっていうのを自分でまとめて、その中で矛盾してることも出てくるんですけど、それをどう自分の中で理屈をつけて納得するか、師匠の言葉の先を考えないとわからないんですよね。で、できた手順書を言葉なり紙なりで師匠にぶつけるんですけど、師匠は合ってるか間違ってるかだけは教えてくれるっていう存在なんです。すごく非効率。でもこの非効率をさんざんやっているから、効率しか知らない奴よりかははるかに強いんです。弟子っていうのは最終的に師匠を越えていかなければならないんですよ。自分で定義をするっていうのは、勇気と失敗でじゃないと担保されないんですよ。ここでも「思い通りにならない力」っていう経験を重ねて「思いもよらぬ世界を掴む」っていうことなんですよね。

YouTubeをはじめた理由

──効率ではない。真理を見極める姿勢。私もそれに惹かれて、佐藤さんのYouTubeをみるようになりました。この人、おもしれーって。あ、YouTubeをはじめたきっかけを教えてください。

佐藤:理由はいくつかあるんですが、代表的なところで言うと、やはり遺体や火葬の話っていうのは非常に高いプライバシーを伴うことなんですよ。だからなかなか本当の話を表に出さないように、きっちり管理して進められているんです。そのせいで世の中には都市伝説やデマや嘘がたくさん蔓延して、みんなの心を騙してしまう、かき乱してしまうんですね。そういう不安を動画で払拭したくて、正しいことを発信していこうというのが基本です。文字ベースの媒体だとコピペの問題というのがあって、結局コピペでどんどん改変されてしまう可能性があるんです。そうすると顔を出して自分で喋って本当のことを言うのはやはり大事なことで、世の中に強く響く形なので、動画ベースで配信させていただいております。

──都市伝説やデマっていうお話だと、人身事故や投身自殺で遺体がバラバラになるわけではないとご指摘されていた「飛び降り自殺の遺体はグチャグチャになるの?」という動画がありましたよね?
 

 

佐藤:現場を見ないで、「葬儀、遺体、事故死」っていうセンセーショナルな記事で一山当てようっていう奴らはたくさんいるんですよ。実際、見たこともないし処置したこともないような人が、さも見てきたかのように世間受けのために脚色をして、大袈裟にみんなの心を煽ってゼニを頂戴ってやってしまう、それがみんなの不安のもとになっている。悪い気持ちで始まったことが悪い結果になっているっていうのがよくないことですよね。それに対するカウンターとして僕みたいなのが存在すると思っていただければと思います。

──YouTubeでは視聴者から寄せられた質問に答えるというスタイルですよね。

佐藤:基本はそうですね。そしてそれがどれだけ難しいことでも逃げないで調べてちゃんと結論まで行こうっていうのを目標にやっていますね。

──ご自分でわからないことは自己判断せず、別の専門家に伺っていらっしゃいますよね。

佐藤:相当聞きましたよ! 相当聞いたし相当調べたし……。調べても調べても答えの出ないことってあるんです。世の中に書籍になっていないことって山ほどあるんですよ。で、そのために専門家の人たちに聞いても最初は答えてくれないんです。「ここまで調べたんですけどこれってどうなんですか?」っていう風に「勉強しました教えてください」と伺って、はじめて「よく調べてきたんだねえ」という一言がもらえるんです。それから「実はさ……」という風に現場の方が言ってくれるように持っていかないとなかなか進まないんですよね。

──ライブ配信もされていますが、普段の動画との違いはありますか?

佐藤:いや、違いは大して無いですよ。やっぱりみんな大変だなっていうのと、知りたいことが調べられないでいる中での不安があるんだなっていうのは感じますね。特に人の死、家族の死のわだかまりみたいなものは心の中で小さな魚の骨のように引っかかったままずっと取れずに残っているんですよ。それが大きな骨でも小さな骨でもちゃんとそれが「こういうことだったのか」とわかったときに初めて愛情が素直に出せるようになる。そういう不安や分からないことに答えてあげる存在がいないとみんなちょっとずつ痛いまま生きていくのはとても大変なことだなって思うので、ライブ配信だと即興でお答えするし、メールだと長く対応できるしっていう違いはありますけど、みんなの“小さな骨”っていうのをどういう風に扱っていこうかなっていうのが動画配信の基本であることに変わりはないですね。

──多かった質問や印象に残っている質問はありますか?

佐藤:一番、多かった質問は、「母が死んだら耐えられません」っていうことですね。でも、原則的に生き物っていうのは生きて、死ぬ。今の人はなにか特別なことがないと死なないと思っているような節がある気がするんですけど、“生き物”っていうのは生きて死ぬところまでが“生き物”なんですよね。だから、その時に残される方が、「しっかりする」っていうのがいちばん安心して生きて、「居られる」っていうことそのものなんですよ。死ぬっていうのはそこで終わるということではなくて、誰かが引き継いでこの世界からはなにもなくならないっていうのがすごく大事なことなんじゃないかなと思います。

──引き継いでいるから、この世に生きて「居られる」。そうですよね、誰かがいて、自分が居るということに感謝できる。あ、あと、他には料理動画、「食べて供養」動画も人気コンテンツだと思うのですが……。温度差(笑)。

佐藤:料理動画は僕の思想の一つの表現なんですよ。生きることと死ぬことは表裏一体のことで、死っていうのはひとりで受け止めちゃいけないよっていうのが“供養”つまり“供に養う”っていう精神なわけですが、養うってなに? ってなったときに食べることっていうのは生きていくことそのものなんですよね。ちゃんとみんなでご飯を作って食べて供養しようねっていうのがあってそれをたまに動画として上げてるのが料理動画なんですよ。

──ケンタッキーの再現動画とか、すごく好きです!

佐藤:だってケンタッキー美味しいでしょ? いろいろ終わってしんみりするだけじゃなくて、みんなで飲んだり食べたりする方がいいんです。「一緒にいる」っておしゃべりするだけじゃなくてそこには飲み物や食べ物が必ずあるし、それが供にいるっていうことなんですよね。更に言うと供養っていうのは死んだ人とするだけじゃなくて生きている人同士も“供養”できるんだよっていうのが僕の考えです。

──死んでいても生きていても共にある……。そう考えると、救われる気持ちです。

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佐藤信顕(著)
「遺体と火葬のほんとうの話」

6月21日発売予定
二見書房 ¥1,400+税

amazonで購入

LIVE INFOライブ情報

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6月12日(水)ネイキッドロフト

神社本庁から創価学会、ぼったくり葬儀の裏側まで、宗教ジャーナリストと葬儀系YouTuberが宗教業界の闇をバッサバッサと斬り捨てる日本で一番ありがたくない宗教トーク!

【出演】佐藤信顕(葬儀葬式ch)、小川寛大(宗教ジャーナリスト)

OPEN 19:00 / START 19:30

前売り¥1,500 / 当日¥2,000※1オーダー必須(¥500以上)         

前売りは店頭WEB予約にて販売中

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/naked/118860

 

6月22日(土)ネイキッドロフト

葬儀屋と坊さんが話す幽霊っているの?あの世って何?

【出演】佐藤信顕(葬儀葬式ch)、本多清寛(泰陽寺 副住職) 【聞き手】吉田アミ

OPEN 12:30 / START 13:00

前売¥1500 / 当日¥2000※1オーダー必須(¥500以上)

前売りはe+と店頭WEB予約にて販売中

https://www.loft-prj.co.jp/schedule/naked/119108

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