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INTERVIEW

トップインタビューてらさわホーク - アメコミ映画新時代!

アメコミ映画新時代!

2019.05.03

 TBSラジオ『アフター6ジャンクション』での【シュワルツェネッガーものまね】でおなじみ、映画秘宝などで活躍中の映画ライターであり大のアメコミ好き、『スヌーピー』や『あしたのジョー』にも造詣が深く、映画における爆破や筋肉、陰々滅々とした戦争映画などを愛してやまないてらさわホークが、悲願であったA・シュワルツェネッガーの次に選んだ題材はMCU! もはやコミックや映画などに留まらず、今や『世界最大の娯楽コンテンツ』と化した一連のマーベルコミック映画シリーズ。大団円を迎える(はず)の【一区切り】を目前に、ヒーローたちの本当の敵についても読み解いたこの一冊。ディズニー帝国傘下となったマーベルを相手に、『忖度なし!』で言い切ったその内容とは?[interview:齋藤航(LOFT9 Shibuya)]

原書育ち

──ホークさんとアメコミの出会いは?

ホーク:小学生の頃ですね。日比谷のアメリカンファーマシーとか銀座のイエナとか丸善書店とか…あの辺で映画を観た帰りに。アメリカンファーマシーは化粧品とか薬とかと一緒に、昔はダンボールに入ったアメコミも置いてあったんです。もちろん当時は英語もわからないんだけど、何か惹かれるものがあったんですよね。高校生ぐらいになってからは金を貯めて自分で買ったりしてましたよ。

──当時の日本人だと雑貨などのキャラクターから入ることが多かったんじゃないかと思ったんですが、いきなりコミックそのものから入ったんですね。しかも原書! その当時はどんな作品を読んでいたのですか?

ホーク:小学4〜5年生の頃に映画『2010年』のコミカライズを読んでましたよ(笑)。映画は観てたから知ってる話だし、こんなのもあるのか! って。当時はバットマンとかスーパーマンは分かるんだけど、このX-MENっていうのはどの人のことなんだろうって(笑)。

──そこから映画とアメコミにどっぷり浸かって行かれたわけですが、今回この本を書くことになった経緯は?

ホーク:マーベルシネマティックユニバース(以下MCU)は足掛け11年、21本…今度の『アベンジャーズ/エンドゲーム』で22本。ここまで大きくなっちゃったのはもちろん凄いんですけど、一本一本の作品についてはあんまりみんな語ってこなかったんじゃないかと思ったんですよ。

──確かに矢継ぎ早に続編…というか次の話が公開されていったので、作品単独で振り返ったりというのは少なかったかもしれませんね。

ホーク:ここまでの規模の続き物だっていう部分だったりとか、コミック出版社が映画会社を起こした、しかもそれをディズニーが買い取ったりというビジネス的な部分、あとはやっぱりキャラクター個々の魅力についてはしばしば話題になりますけど。それぞれ一本の映画としての出来はどうなの?っていうのをしっかり観てみようと。しかしまぁ21本もあるから地獄は地獄でしたけどね。前の『シュワルツェネッガー主義』の時もそうだったんですが、まぁ何というか、たくさんあると語るべきところが少ない作品というのも当然あるわけですよ(笑)。

キャップ、偉い

──執筆にあたって観直してみて、新たな発見があった作品はありましたか?

ホーク:キャプテン・アメリカという人は偉いなぁ! と改めて思いましたねぇ(しみじみ)。

──(笑)。凄い人生ですよねぇ。

ホーク:キャプテン・アメリカが対峙してきた相手というのは、時代は変わっても常に『強権的に自由を束縛しようとする奴』なんですよね。「本当の正義とは何か?」というヒーローが向き合いがちな問題も、実はあんまり重要じゃないんじゃないかと。正義や悪かじゃなくて、彼は個人の自由のために戦っているんじゃないかなと思いましたね。その点、アイアンマン/トニー・スタークはブレブレなんですよ。あの人は世のため人のためになりたいという信念はあるんだけど、自分自身の屈折のためにたびたび面倒なことになる(笑)。だから物語にどうしても自分探し的な要素が加わってしまうんだけど、キャプテン・アメリカ/スティーブ・ロジャースはすでに自分を見つけてますからね。ブレないんです。作品として一番好きなのは『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』かなぁ…。『マイティ・ソー バトルロイヤル』も良かったですねえ。

──これぞマンガ! って感じが一番強い作品かもしれませんね。

ホーク:今回、連続して観直して気づいたのは、『マイティ・ソー バトルロイヤル』と『ブラック・パンサー』がかなり似た話だったってことですね。主人公の親父が追放した相手が、故郷に帰ってきたことでモメる、という。

──(笑)。『マイティ・ソー』はシリーズ3作品の作風が見事に違うというのも凄いですよね。

ホーク:MCU全体に言えることですけど、実は考えて作っているようで探り探りで続いてきたところもあるんじゃないかなと思いますね。

──ケビン・ファイギ(※総合プロデューサー)、実は場当たり的?

ホーク:柔軟なんでしょうね。あとはちゃんとヒットさせる能力と、そのために邪魔な人間をきっちり排除する政治力。『ちょっとこれはどうかな…?』っていう作品でもヒットした理由の中には、ファンとの共犯関係を築いたことも大きいと思いますよ。これだけ続いているシリーズ、「この一作がコケてこの先のシリーズが無くなったらお前ら、困るだろ?」っていう(笑)。

エンドゲーム、その先

──『アベンジャーズ/エンドゲーム』はどうなりますかね?(※収録は公開前)

ホーク:上映時間181分!…もっとやってくれよって思いますけどね。『東京裁判』(277分)ぐらいやってもいいんだぜ…? って(笑)。期待していることとしては、話についてはもう、どうまとめるかってことだけだと思うんですが、『絵』でビックリさせて欲しいですね。ここ最近の作品だとあんまり絵づくりで無茶をしなくなってきちゃってる部分がある。「これマンガじゃねぇか!」みたいな驚きをね。

──確かに『ブラックパンサー』も、全体のデザインは新しかったですけど絵としてはビックリするものはなかったかもしれません。

ホーク:『ブラックパンサー』にしろ『キャプテン・マーベル』にしろ、どうしても似通いがちな一連のオリジンストーリーになってしまうので、話に変化をもたせるためのツイストの弊害で、単純明快な気持ちの良さを損なってしまってるところもあるんですよね。今後については、『アベンジャーズ/エンドゲーム』のすぐ後に公開されるMCU作品としては『スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム』、あとはDr.ストレンジの続編とかで今後は引っ張っていくわけですからね。なかなか大変だと思いますよ。X-MENシリーズも合流するという話ですが…。関係者がみんな濁し始めましたよね。どこまで終わって、何が続くのか。

──X-MENといっても今はウルヴァリンもいないですしね…。

ホーク:ケビン・ファイギも言ってます、「このあともう一回土台を作るには5年はかかる」って。見守るしかないですね。

オトコノコ映画祭

──町山智浩さんがネイキッドロフトで始めた『オトコノコ映画祭』(※最初のタイトルは『映画秘宝オトコノコまつり』)ですが、もう8年目となります。

ホーク:町山さんという父親が居なくなってからよくここまで続きましたね。途中、もはや映画だけの特集でもなくなって『真夏のロシアナイト』『真冬のメキシコナイト』とかね。なかなか長寿な雨傘番組じゃないですか(笑)。今回はこの書籍についてや『アベンジャーズ/エンドゲーム』はもちろんですが、基本的にはいつもの感じですかね。

──予告編が出た映画や、大作の公開規模に割りを食った映画も紹介していく流れですね。今年はシリーズものの最終作が続きます。来年以降、大作映画がなくなっちゃうんじゃないかと心配です。

ホーク:来年2020年は『ゴジラ対キングコング』に『ランボー』の新作が控えてますから。…人類はもはや新しいものを産み出さなくなったのかもしれない。

──(笑)。

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